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ローマの休日 米 1953年 118分 |
| 製作・監督 ウィリアム・ワイラー 原作 ダルトン・トランボ 脚本 イアン・マクレラン・ハンター ジョン・ダイトン ダルトン・トランボ 撮影 フランク・F・プラナー アンリ・アルカン 編集 ロバート・スウィンク 音楽 ジョルジュ・オーリック 出演 オードリー・ヘプバーン グレゴリー・ペック エディ・アルバート |
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関連映画 ウィリアム・ワイラー オードリー・ヘプバーン ・おしゃれ泥棒 グレゴリー・ペック ・白い恐怖 ・大いなる西部 ・オーメン |
「神様」と呼ばれる映画監督が何人かいる。「西部劇の神様」はジョン・フォード、「喜劇の神様」はビリー・ワイルダー、「サスペンスの神様」はアルフレッド・ヒッチコック。
で、この映画の監督ウィリアム・ワイラーはさしずめ「ドラマの神様」といったところか。しかし、西部劇も喜劇もサスペンスもドラマの一つのジャンルであるから、ワイラーは先の三人よりも一ランク上の神様になる。実際ワイラーはどんな題材でも名作に仕立てる一流の腕を持った職人だ。エミリー・ブロンテ原作の文芸物「嵐ヶ丘」、ハンフリー・ボガート主演のサスペンスの傑作「必死の逃亡者」、サイコスリラーの原型とも言うべき「コレクター」、雄大なスケールの西部劇「大いなる西部」、極めつけは歴史大作「ベン・ハー」。監督したすべての映画がそのジャンルの代表作だ。 ただし、基本的には登場人物の性格を追及したシリアス・ドラマを得意とした。戦前の「孔雀夫人」、「デッド・エンド」、「偽りの花園」、戦後の「探偵物語」、「噂の二人」など、どれも酷烈なタッチで人間性を探求し、他のアメリカの映画作家に求められない文学性を持っていた。この辺りは非常にヨーロッパ的で(ワイラーはフランス出身)、作家性と職人技を高度な次元で併せ持っていたと言える。 で、「ローマの休日」はそんなワイラーとしては珍しいロマンチック・コメディだが、ワイラーが撮るとやっぱりそのジャンルの代表作になってしまうから凄い。後続の多くの同ジャンルの映画はこれを下敷きにしてるんじゃないかと思うほど完成度が高いが、完成度が云々とか評論家じみたことを言うのが馬鹿らしくなるほど素敵な作品。 ヨーロッパ各国を歴訪中の某国の王女アンは、滞在中のローマで過密スケジュールに音を上げてこっそり宮殿から抜け出す。ところが、鎮静剤のせいで夜の町のベンチでうつらうつら。それを見かねたアメリカの新聞社に勤めるジョーは自分のアパートへ泊めてやるが、翌日になってその若い女性がアン王女と知って、職業を偽り仲良しのカメラマン・アービングと共に王女の独占取材を試みる一方、王女も身分を隠して一日だけの休日を二人と共に楽しむ、というお話は今更言うまでもないほど有名。 見どころをあげればきりがないが、何はともあれオードリーの魅力に卒倒しろ!これほど男性からも女性からも愛される女優はいないのではないか。序盤のスカートの下で足をモゾモゾ掻いたり、乳母相手に駄々をこねている場面のお茶目ぶり。鎮静剤でフラフラしている時の何ともいえない危うさとあどけなさ。髪をばっさり切る時のあのおどおどした表情と、切った後で鏡を覗き込む時の驚きと嬉しさにキラキラ輝く瞳。ジョーとアービングと遊び歩く時の屈託のない笑顔。そして、夜が来てジョーと別れる間際で見せる切ない表情と、宮殿に戻った際に見せる王女としての威厳。金髪のグラマー(ジェーン・マンスフィールドやマリリン・モンロー)がもてはやされていた時代に、胸の小さい痩せっぽちの、ネコのような顔つきの若い女性が映画史上の神話となった瞬間が、この映画のフィルムの隅々まで焼きついている。 物語は「逆シンデレラ」ともいえる他愛ないものだが、全編にユーモアとペーソスを盛った見せ場がバランスよく配置され、ワイラーによる名場面(有名な「真実の口」の場面やカフェでの大乱闘の場面等)が連続して少しも飽きさせない。もちろんローマの史跡や生活も見事に活写されていて魅力たっぷり。個人的にはエディ・アルバート扮するアービングが出てくる場面が好きで、スラップスティック調の演技で見事なコメディ・リリーフぶり。グレゴリー・ペックは生硬さがあってピンとこないが、まあいいだろう。でも、最初にオファーがあったというケイリー・グラントがやればもっと軽妙で洒落っ気が出たと思う。 基本的にはロマンチック・コメディですが、一生を公人として生きねばならないアン王女の孤独、そして、それを受け入れて生きていこうとする雄々しさや気高さに胸が締め付けられる。この映画でワイラーとオードリーが刻み付けた愛らしく可憐な女性のイメージは永遠に生き続けるだろう。 |