ハスラー2

米 1986年 119分

製作 アーヴィング・アクセルラッド バーバラ・デ・フィーナ
監督 マーティン・スコセッシ
原作 ウォルター・テヴィス
脚本 リチャード・プライス
撮影 ミヒャエル・バルハウス
音楽 ロビー・ロバートソン
出演 ポール・ニューマン トム・クルーズ メアリー・エリザベス・マストラントニオ ヘレン・シェイヴァー ジョン・タートゥーロ ビル・コッブス ロバート・エイギンス アルヴィン・アナスタシア イギー・ポップ フォレスト・ウィッテカー

関連映画

ポール・ニューマン

ハスラー

暴力脱獄

明日に向って撃て!

ロイ・ビーン

スティング

タワーリング・インフェルノ

評決

トム・クルーズ

宇宙戦争

メアリー・エリザベス・マストラントニオ

スカーフェイス

ジョン・タートゥーロ

クレイドル・ウィル・ロック

フォレスト・ウィッテカー

スモーク

バンテージ・ポイント

 名作の続編はほとんどの場合前作を越える、あるいは同等の評価を得られない。この映画もまたしかり。これでポール・ニューマンがアカデミー主演男優賞を獲った時は、「まるで功労賞みたいだ」と興ざめに思ったものだ。例えば「評決」はニューマンの演技だけでなく映画自体もよかったので、そちらで獲ってほしかった。あるいは仕切りなおしで「ノーバディーズ・フール」でもう一度獲って欲しかった。という具合に、この映画については二番煎じ的なイメージが強くて、長いこと観ていなかったが、公開後20年ほど経ってようやく観てみた。そしたら、結構面白かった。

 前作「ハスラー」から25年後。エディ・フェルソンは今では酒のセールスマンをしながら若いハスラーたちの面倒を見ている。そこへ現われたのが若く才能に溢れたハスラー、ヴィンセント。そのキューさばきを見たエディは彼を最高のハスラーに仕立てようと考え、ヴィンセントとその相棒で恋人のカーメンと共に、ビリヤードの大会が行われるアトランティックシティを目指して出発する・・・。

 この道中がちょっとしたロード・ムービーになっており、うらぶれた町を点々とする3人の姿に味わいがある。また、エディがヴィンセントにハスラーとしての極意を伝授するエピソードも面白く、ヴィンセントがハスラーのくせにやけに純情で、障害のある男を相手に仏心を出して負けたら却って袋叩きにされそうになったり、芝居でエディとカーメンがイチャついているのを見てカッとなったり、最初は負けて素人を装い掛け金を吊り上げてから勝負しろとエディが何度も言うのに、すぐに勝負に熱くなって最初から勝ってしまったり、ヴィンセントの天然ぶりとエディの困惑が対比して描かれている。トム・クルーズのヴィンセントは、見事にゲームを取った後で奇声をあげてキューをヌンチャクみたいに振り回したり、頭悪そうなところが却ってよい。

 ところが、ヴィンセントが凄腕のハスラーと勝負して激闘の末勝つのを見て、エディは勝負師魂に火がついたのか、再び自らキューを手に取ってハスラーたちと勝負しはじめる。それはいいのだが、それにしてもフォレスト・ウィッテカー扮するハスラーと勝負してカモられる場面は、いくらエディにブランクがあるとはいえあっさり負けてしまうのでガッカリ。しかも、弟子の前でこの体たらくを見せてしまったエディは、結局ヴィンセントとカーメンを置いてきぼりにしてしまう。ヴィンセントに仕事を止めさせてまで連れ出してきたのに、中途半端で放り投げてしまうエディの心理は、筋書きの上では理解できるが納得はいかない。

 その後再び現役に戻る決心をしたエディはアトランティックシティの大会に赴く。この大会の様子は臨場感たっぷりで、今やすっかりハスラーになったヴィンセントとの勝負は、キューと球の動きの処理が素晴らしく、手に汗握る名場面になっている。ところが、弟子との白熱した試合を制してエディが喜んでいるところへ、ヴィンセントがやってきて試合が八百長であったことを告げて、エディに賭けてせしめた8千ドルを彼に渡す場面は後味が悪い。ヴィンセントはエディの望んだハスラーになったわけだが、すでにエディは金など眼中になく若き天才ヴィンセントを実力で倒すことが本望なのだ。このエディとヴィンセントの立場の逆転は皮肉といえば皮肉だし、お話として面白いのだが、まるでカタルシスのない解決で、ヴィンセントがただ嫌なヤツに見えるだけである。これに怒ったエディがヴィンセントとの真剣勝負を挑むところでエンドになる。

 エンディングのエディのセリフである「カムバック!」が示すとおり、中年男の再起を描いた物語ということになるだろう。その意味では「評決」と根っこは同じであるが、「評決」のような余韻が僕には残らなかった。やはり、80年代の軽い音楽と風俗を背景に、トム・クルーズのようなアイドルを一方の主役にたてて撮られているので、結末の非情さがチグハグになっているのだ。演出と脚本の間に、乃至は物語と演出・脚本の間に、微妙なズレを感じるのは僕だけだろうか?

 ただし、それでも僕は意外と面白く観られた。スコセッシの持つテーマ性はここにはないがビリヤードのシーンを含めた演出は冴えに冴えている。もちろんポール・ニューマンはいぶし銀の名演を見せてくれ、酸いも甘いもかみ分けた中年の余裕綽綽な態度と少年のような勝負へのこだわりをどちらも的確に演じていたと思う。「ハスラー」のような心に残るものはないが、娯楽映画として十分に楽しめる佳作。

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