ハスラー

米 1961年 135分

製作・監督 ロバート・ロッセン
原作 ウォルター・テヴィス
脚本 ロバート・ロッセン シドニー・キャロル
撮影 ユージン・シャフタン
音楽 ケニヨン・ホプキンス
出演 ポール・ニューマン ジャッキー・グリーソン パイパー・ローリー ジョージ・C・スコット マーレイ・ハミルトン マイロン・マコーミック

関連映画

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スティング

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評決

ハスラー2

パイパー・ローリー

キャリー

ジョージ・C・スコット

博士の異常な愛情

 若く才能に溢れたハスラー、「ファスト・ハンド」エディは名人ミネソタ・ファッツに挑むが、逆に打ち負かされて全財産を失う。彼は行きずりの女サラと暮らしながら、ヤクザのバートと組んでファッツと再戦するための掛け金を稼ぐ。しかし、サラは彼との不毛な生活に疲れて自殺する。エディはファッツと再び対戦し圧勝するが、空虚な心を抱えたまま町を出て行く。

 この映画では、ハスラーと呼ばれる人々の生態が描かれていて興味深い。エディはあちこちの町を渡り歩いては賭けビリヤードをするのだが、素人を装ったり酒に酔った振りをしたり、あるいは最初に負けておいて相手の油断を誘って、掛け金を釣り上げてから本気を出して打ち負かす。競技の選手というよりは博徒ないしはサギ師に近い。どの町のバーにもビリヤード台が置いてある、という環境だからこそ成立する、いかにもアメリカらしい職業?といえる。日本だとフリーの雀荘に出入りする雀師に近いのではないか。だから、ヤクザが出入りしたり暴力沙汰が起きたりと、非常に物騒で殺伐としている。同時に何とも言えないうらぶれたもの悲しさがある。前者を象徴するのがバートで、後者を象徴するのがチャーリーだろう。

 物語自体はとても静かに進行しドラマチックな要素も抑制されており、特にエディとサラの交渉を描いた中盤にそうした特徴が顕著で、人によっては退屈に思うかもしれない。しかし、それが却って文学的ともいえる濃密な雰囲気を生み出している。例えば、序盤のエディとミネソタ・ファッツとの数十時間にも及ぶ息詰まる死闘、バスステーションでのエディとサラの出会い、ハスラーと知られてエディが与太者に親指を折られる場面など、じっくりとした腰を据えたリアルな描写に何とも言えない味がある。

 また、登場人物も一癖も二癖もある。エディは勝負に憑かれた人物でエゴの塊である。そのために自分の身を案じてくれる相棒やサラを失うことになる。サラは小児麻痺で足が悪く、酒でその憂さを晴らしている。エディへの愛に救いを見出すもののそれが報われないと死って自ら命を絶つ。バートはメフィストフェレス的な存在で、エディをうまく挑発してその才能を食い物にしようとする。非常に頭が切れ度胸もあるが、しかし金以外のものに価値を見出せない哀れな人間でもある。ミネソタ・ファッツは絵に描いたようなビリヤードの達人であり、自分自身を巧みにコントロールして、どんな劣勢もひっくり返す。ビシッと決まった服装とともに一分の隙もない。この四人の性格がまたリアルに描かれていて、エディを中心にしたアンサンブルも見事だ。こうした点も文学的といえる。

 基本的にはエディのビリヤードに賭ける執念とその挫折がテーマだが、都会の片隅に生きる日陰者たちの人生を描いた映画でもある。その意味でこれはフィルム・ノワールといっても差し支えない。陰影に富んだ白黒の映像と誰一人として救われないラストがその印象を一層強める。暗く重いが味わい深い名作。

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