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GC−MS分析装置

(略して、GCMS。俗に「ガスマス」)

GCMS(ガス・クロマトグラフを直結した質量分析計)は、有機物が混合した物質の組成を検討するのに、きわめて有力な分析装置である。

ガスクロマトグラフ GCは、混合物の分離能力に優れるが、定性能力が低い。

質量分析計 MSは、純品の定性能力に優れるが、混合物の定性、同定は困難である。

 両者をうまく結合して、GCによって試料中の混合物を分離し、GCの出口から直接にMSに導いて、分離した多数の成分を順に測定すれば、微量の成分を無駄なく汚さずに、便利に高感度に分析できる。

 例えば、生体からの抽出物、食品中の成分、薬品中の微量成分、工業製品の中の不純物、環境汚染モニター試料、などの分析では、たくさんの有用、無用物質が混じり合った中のキー物質や共存物質を、確実に探索し、同定し、定量する事が求められる。

 これらの試料を、いきなりGCに注入することはできない。気化しない成分を除去し、望む成分はGCのカラムの中で(いくらか温度を上げれば)気化するような誘導体に変え、などの「前処理」操作を加える。また、GCに装着する分離剤や検出器などを選定し、運転条件を試行しながら整え、などの準備や事前事後の検討を織り込んで、分析が行われる。かなり専門的な知識と経験を要する過程である。

ことばの解説 
(広辞苑から。一語改変)

【有機化合物】
(organic compound) 炭素を含む化合物の総称。以前は有機物すなわち動植物を構成する化合物および動植物により生産される化合物を、生命力なしには人為的に合成できないものと考え、無機化合物すなわち鉱物性の物質と区別して有機化合物と言ったが、今日では単に便宜上の区別。炭素の酸化物や炭酸塩などは無機化合物。

【化学分析】
物質の検出や化学的組成の決定のための操作。定性分析と定量分析とに大別される。近年は機器分析法が広く行われる。

【定性分析】
被検物質の成分物質を特定・検出する化学分析。元素・基などに特有の化学反応・物理的性質を利用して行う。

【定量分析】
試料の成分物質の量を測定する化学分析。重量分析・容量分析・比色分析などがある。

【同定】
(1)同一であることを見きわめること。
(2)物質の分類上の所属を決定すること。

GCの基本原理
 上の動画に示すように、原理は単純だ。カラムと呼ぶ細長い管に充填材を詰め、少し温度を上げておいて、キャリア・ガスと呼ぶ不活性ガス(N2,Heなど)を、たえず流しておく。
 試料を注入すると気化して運ばれるが、充填材との相互作用が、成分の性質によって差異があるので、道草の好きな成分は移動が遅れ、まじめな(=相互作用の少ない)成分は早く通り抜ける。
 検出器で出口ガスの濃度を測れば、クロマトグラムが得られる。

 充填材や運転条件をうまく選ぶと、成分の性質の違いによって保持時間(注入してから検出器に到達するまでの時間)が違ってくるので、この差異を頼りに成分を同定する。だが、保持時間は装置や条件で変わるので、標準物質を何度も流して確認しておく。
 通常のGC検出器は、成分の差異による感度差があまりないので、成分を確実に同定することはできない。

 質量分析計は、対象成分の質量数(分子量)を測定する(対象分子が少し分解した分子断片の集まりになる)ので、対象の化学構造を反映した情報(マス・スペクトル)が得られる。質量分析計をGCの検出器に使うと、成分を同定することが容易になる。GCの能力を効果的に補う。

 質量分析計を連続して動作させると、たくさんのデータが発生する。コンピューターの役割が重要になる。

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カラム (column)
 元の意味は、円柱。原形が、立てたガラス管にシリカゲルを詰めて、上に試料を置き、溶媒を少しずつ流し込んで成分を分離させる「液体クロマトグラフィー」にあるので、その用語が伝わっている。

充填材 (column packing)
 対象物を溶解できる特殊な液体を管壁や担体粒に厚く塗布しておく(固定相)。分析成分(移動相)が、溶け込み、また抜け出すことで移動速度が遅くなる。分析対象に合わせて種々の充填材が開発されている。

検出器 (detector)
 種々の方式が開発され、使い分けられている。
・熱伝導度検出器 TCD
 (thermal conductivity detector)
・水素炎イオン化検出器 FID
 (flame ionization detector)
・電子捕獲型検出器 ECD
 (electron capture detector)
・フレーム光度型検出器 FPD
 (flame photometric detector)

クロマトグラフ (chromatograph)
 色分けする chromat- 図化装置 graphの意味。
紙に物質を染み込ませて、分離する色帯で調べた方法が起源。
クロマトグラム (chromatogram)
 記録紙に描かれた溶出曲線図。
クロマトグラフィー (chromatography)
 分離分析方法。

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