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MRI画像作成法 その2
−−パルス・シーケンス: 磁界操作と測定の手順−−

パルス・シーケンス

左のタイム・チャートは、ハッチソン(英アバディーン大)が、フーリエ変換法の改良版として、1978年ごろ完成させた「スピンワープ法」と呼ぶ測定シーケンスである。

 フーリエ変換により画像化するアイデアは、1975年にスイス工科大のクマー、エルンストらによって発表されている。

 最初の画像化法は1971年ごろ、ダマディアンやローターバー(いずれもニューヨーク州立大)によって試みられ、X線CTと同じ「投影再構成法」を用いていた。

画像算出の過程

 フーリエ変換法による画像法は、共鳴が波であることを活用しているので、すなおな画像が得られ、また、さまざまな信号処理や画像処理技術を適応しやすいので、こんにち、すべてのMRIに採用されている。

 上の図に示したように、傾斜磁界を与えた後、補償磁界で位相のずれ方を反転させて信号を集束させる(エコーを作ると言う)など、巧妙なアイデアが織り込まれている。

← 左の図は、128回繰り返し測定し、毎回128点のサンプリング・データを得て、画像を算出する過程を示している。

 1. 生データ(128点横列)を、測定順に下から上まで128本並べて、濃淡画像のように示した。
 中央付近は位相変調の量が小さいので、波が揃い、振幅が大きくなって白く見えている。

 2. 生データ(128点横列)を1本ずつフーリエ変換して、得たスペクトルデータ(128点横列)を、測定順に下から上まで128本並べて、濃淡画像のように示した。

 3. 上のスペクトルデータから、縦方向に128点ずつ取り出して、フーリエ変換して縦に元の列に戻すことを128本続けると、図のように画像が現れる。

開発途上の画像

 撮影する断層の方向は、傾斜磁界を切り替えれば自由に選べるので、
 コロナル(冠状断)
 サジタル(矢状断)
 アキシャル(体軸断)
や、これらを組み合わせた斜めの断層も撮影できる。
 スライスの位置も、電気的に選択できる。

 

史料として
(たぶん、0.5T超電導磁石を使った試作機の1984年ごろのデータであろう。そのころのデータはMTや大型ディスクに残っていても、現在の機材で読むことができない。スライド写真や印刷物にかろうじて保存されている。)

開発初期の画像(史料として)

 0.15T常電導磁石を使った試作機の1982年ごろの画像。

 試作機から 画像が出始めたころ、画像の中央に水平に出るノイズに悩まされた。
 探索の結果、位相変調データの中央に出る周波数ゼロのバイアス(直流分の偏位)成分であることを突き止めた。電子回路的に偏位をゼロに抑えることは難しい。

 同僚のF君が考えたあげく、妙案を得て、このノイズが解消でき、特許を出願した。 励起パルスの位相を、走査のつど反転させれば、信号のベースは交流になって、偏位はなくなる。

 現在どのメーカーもこの方法を使っているが、しかし特許は出願3カ月の差で米国GE社のものとなってしまった。

 右上の縦点ノイズはラジオ電波の混入。電波シールドが不完全だと現れる。

緩和時間を画像に 

 原子核の共鳴は、いずれ緩和する(消滅する)。緩和時間の大小は、原子が周囲にどのようにつながっているかに左右される。パルスシーケンスをくふうすると、緩和時間の差異を画像に織り込むことができる。

 

 左図は、腎臓、肝臓、などを含む腹部断層像である。
 測定条件によって対象の描かれかたが変わる。利用効果はたいへん大きい。
 (1982年ごろの画像)

   マルチ・スライス撮影

 MRIの撮影時間は、けっこう長い。それは、高精細に描くために測定回数を多くとること、一度励起すると、共鳴があるていど緩和するまで待たなければ次の励起がよく効かないこと、などによる。
  (この効果を利用して、緩和時間の差を強調したり、動いている対象(血液の流れ)を描出したりする撮影法があるが)

 励起する断層をずらして、隣接する断層を順に励起し測定していくようにすれば、数枚の平行断層を並行して測定することができ、全体として短時間に撮影できる。病巣の有無、その位置の探査、などに役立つ。

 下の例は、3方向の多断面を一定間隔で並べて、指定位置の座標値を調べるための画像である。6回の撮影で、頭部の全断面が提示される。
                       (この被検者の名は特に秘す)

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−−共鳴波の受信・検波技術について−−

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