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§5.40代の私:  体の中を見る、MRIの開発

 あらまし

1. MRI(Magnetic Resonance Imaging)の特長
   同様の人体内断層画像法「X線CT」に比較して

(1) 水素原子の分布と、その信号緩和時間(原子の結合の強さを反映)に対応した濃度の画像が得られる。
  組織の性質の差異に応じた濃淡を呈し、組織の違いを診断しやすい。

(2) 骨による吸収がない。骨に囲まれた部位(頭蓋内、脊髄など)や、骨のすぐそばの病変を診断しやすい。

(3) 横断像だけでなく、サジタル断面(矢状断)、コロナル断面(冠状断)、さらに任意傾斜断面の画像が
  直接に撮影できるので、対象の形状や周囲との関係を把握しやすい。

(4) 撮影時間は1回に数分を要するが、同時に隣接平行した多断面の像が撮影できるので、疾患部位を探し
  出す能力は高い。

(5) 人体に害がないので、広範囲に活用できる。 

 

2. MRIの構造、原理

●静磁界・・・・・外側の大きな4個のコイル(2)は、その微妙な組み合わせで内部に均一な磁界を作り、測定対象(1)中の水素原子核のスピンに配向性を与える。

●信号系・・・・・アンテナコイル(3)は、高周波を発して対象中の原子核を励起し、ついで、生じた原子核・スピン共鳴信号を検出する。

●変調系・・・・・X, Y, Zの3組の傾斜コイルを備え、Zコイル(6)は励起時に、磁界強度をZ方向に傾斜させて共鳴面を限定し、Yコイル(5)は、直後に短時間の傾斜を加えて共鳴信号にY座標に比例した位相変調を加え、Xコイル(4)は、続いてデータ採取時に傾斜を加えて、共鳴信号にX座標に比例した周波数変調を与える。

●画像計算・・・付設したコンピューターは、まず、励起信号を繰り返し与えつつ共鳴信号を測定し、ついで、1回目のフーリエ変換計算により、共鳴の周波数をX座標に還元し、2回目のフーリエ変換でY座標を復元して画像を得、ディスプレイに表示する。

●安全性・・・・・人体に加える静磁界、高周波、磁界変化は、生体組織や分子に影響を与えるレベルよりはるかに微弱なので、悪影響は生じない。


[島津評論 41-3(1984)に載せたMRI画像集の解説文より]
この図は、僚友の杉江君がコンピューターに描かせた力作である。
当時のソフトウェアでこんな図を作るのは、とても面倒な仕事だった。

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