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−− MRIの元信号 −−

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演 壇 に 獨楽 回し 説く 量 子
論
エンダンに コ マ マワし トく リョウシロン
賛は、舘野之男先生の軽妙な一句。掲載を懇望し快諾いただいた。師は、臨床医にして画像診断法研究家。
私たちの仕事を、さまざまに激励してもらってきた。
(書体は、愚妻ミナ子による隷書。)
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0.コマ(独楽)の運動
MRIの解説は、いつもまず、コマの実演から始まる。コマの動きと、核磁気共鳴と呼ばれる水素原子核の運動が似通っていて、特に、「歳差運動」という首を回すような動きが、よく似ているからだ。 量子力学の世界である。 |
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1.原子核の磁性と共鳴運動
いくつかの原子の核は、「スピン角運動量」と名付ける磁性を持っている。水素1Hの磁性が大きく、31P、23Na、19F、13Cなども微量を持っているが、それらの測定は難しいので、人体ではほとんど1Hのみが測定される。
原子核のスピン角運動量は、棒磁石が回転しているのと似たような動きを示す。コマの心棒が棒磁石なのだ。そして、空中に浮いている。
静磁界のなかにあると、磁力線の方向に向いている。
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そこに高周波の振動磁界を重ねると、軸が傾こうとして、歳差運動を始める。コマと違って空間にバランスして浮いているから、図のように、ひねり回転になる。 |
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振動磁界の周波数fが、
静磁界の強さで決まる共鳴周波数(f=γH、H:静磁界強度、γ:物質に固有の係数)になっていると、
歳差運動はどんどん大きくなって、コマなら真横になる前に止まってしまうが、
原子核の場合は90度を越しても傾き続けて、励起を続ければ、180度にもなる(逆さまになる)。
高周波振動磁界を止めても、しばらくは歳差回転を続けながら、徐々に傾き角度を戻して、
やがて静磁界の方向に戻る。
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2.体内の共鳴信号を取得する
大きな電磁石コイル(磁鉄はなく、空心の円環)の中心に人体が入って、上下からアンテナコイルで挟み、共鳴周波数になるように調整した高周波を浴びせると、人体の中の水素原子核がいっせいに歳差運動を始める。
(原子核が向きを変えても原子の性質は変わらないので、人体に異常はない。)
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アンテナコイルに与えた高周波を切ると、水素核が歳差回転を続けているので、その動きが電磁界の変動としてアンテナコイルにキャッチされる。微少な信号だが、うんと増幅すれば、水素の存在を知る信号として利用できる。 水素がたくさんあれば大きな信号となる。水素原子が周りの原子と堅く結合していれば歳差運動はすぐに止まるので、信号が短い。自由水のようにゆるく結合していると、信号は長引き、大きく検出される。 |
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注意:この図の歳差運動は、回転を省略して描いた。 |
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3.信号発生位置を知るには
信号がどこから発生しているかが識別できれば、画像を作ることができる。それには、磁界強度をわずかに変えて、共鳴の周波数が変わることを利用する。大勢の研究者がアイデアを加えて、巧妙な画像法が開発されてきた。
例えば、ある断面だけを共鳴させるには、その断面だけが必要な磁界強度になって、その前後は強すぎたり弱すぎたりするように、傾斜磁界を加える。
断面の左右を識別するには、共鳴信号が左で高く右で低くなるように、共鳴信号を読み取るときに左右変化の傾斜磁界を加える。
上下を識別するには、共鳴信号の波のずれが上下で変わるように上下変化の傾斜磁界を測定前に短時間だけ加え、その量が毎回すこしずつ(中心では一波ずつ)増すようにして多数回測定する。上ではずれる回数が多くなり、下では少ないので、上下位置が計算できる。
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共鳴波の周波数を調べるには、別ページに紹介した「フーリエ変換」計算法が、ありがたく使われる。
画像法の巧妙な仕組みは、別のページに詳述しよう。例によって、私たちの苦労話「MRIの黎明期」も、別項にて読んでいただこう。
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