
化合物半導体 CdTe(カドミウム・テルライド、略して カドテル)の単結晶板、厚み約 0.7mm の両面に電極を張り付け、一方の集電電極(図では下側)は、0.5mmピッチの正方形格子に分割して、それぞれをパルス増幅器に接続しておく。他方の全面を覆う荷電電極(上の面)には、-100ボルトほどの高い電圧を加える。
結晶にX線光子が当たると、結合が分離して、正孔と電子の“対”が発生する。対の個数は、光子のエネルギーに比例して、今の場合、数百個できる。
大部分の光子は表面近くで捕まるが、結晶を通り抜けて捕捉されない光子もある。少しずつ衝突して、ジグザクの系路を走り、あちこちに対をすこしずつ置いていく光子も、中にはある。
この例では、70% くらいがうまく捕捉できる。
発生した電子は、相対的に正電位になっている集電電極に向かって走り、出力となる。正孔は、荷電電極に向かう。 ぶつかって消える対もある。
§6.50代の私: 体の中を見る、X線を半導体で数えて


正孔(positive hole):
半導体結晶の結合から、電子が抜け出した孔。そこに電界がかかっていると、孔に、隣の結合から電子が移動することをくりかえして、孔が負電極に向かって移動する。正孔を、正電荷を運ぶキャリアと呼ぶ。
結晶にX線光子が当たると、結合が分離して、正孔と電子の対が発生する。電子は正電位の集電電極へ、正孔は負電位の荷電電極へ向かって走行する。
電子は速く走って集電電極からパルス増幅器に伝わり、光子パルス=X線入射信号が出力される。正孔はゆっくり(電子の1/10の速度で)荷電電極に集まるが、目立った信号にはならない。
走る途中に結晶欠陥があって電界が弱まっていると、走行が遅れ、電荷がそこに溜まるので、電界はなお弱くなり、信号粒子が流れなくなる。また、正孔と電子が中和して信号が消滅する現象も起きてくる。
こんな現象がおこると、 画像が汚くなってしまう。実例をご覧にいれよう。 <→次ページ>