シロンは夢の中

 

時は204×年2月、シロンは本牛革のソファーに横たわっていた。

ああ気持ちいい.....。

彼は今ドラッグをきめていた。

覚醒剤の虜である。

こうなってはダメドラゴン!!

シロンはフワフワとした気持ちで、

「何で俺こんなになったのかなあ〜いつから狂いだしたんだろ....。

あの頃はアイドルになりたかったっけ..。

よくシュウのおやつとったな〜それをランシーンに告げ口して....。

よくランシーンに怒られてたっけ...。

あのころは良かったなあ......。」

最近思うのはこんな事ばかりである。

シロンが今どんな状況でどうしてこうなったのか全く読者はわからないと思うので、

シロンがトリップしている間にこちらも少し前の時代にタイムトリップしよう。

 

レジェンズウォー終結後の夏である。

シロンはそのころ暴走族を設立していた。

名前は、「悪戯天使」初代総長である。

総チーム数21、構成員600人を越える。

ブルックリン広域指定暴走族である。

しかし、シロンの元々のチームは「死兆星」という20人足らずのチームであった。

しかし少人数ながら全員が恐ろしく強かった。

かなりの武闘派である。

「死兆星を見た者は必ず死ぬ。」

誰かがそういった。

それくらい恐れられていた。

死兆星は力でほかのチームを制圧、瞬く間に大きなチームに成長していった。

ニューヨークはほぼ制圧している。

しかし、いざ抗争となると総長自ら死兆星の面々とともに前線に出て戦った。

悪戯天使の死兆星シロンを知らない者はもはやいなかった。

恐怖の人物である。

シュウの手を折ったこともある、ランシーンをつかんで振り回したこともある。

まさに狂犬、いや狂犬なんて可愛すぎる表現だ。

シロンは創立1年の時点でで800人以上の人間を動かしていた。

そんな将来有望な人物?を本職の方が見逃しておくはずがない。

秋のある日、彼はある任侠家業に永久就職することを決めた。

普通なら即入社だが彼は

「三日待ってくれ、後掃除してくるから...。」

と言った。

後掃除とは悪戯天使の消去である。

シロンを先頭に死兆星は次々に悪戯天使の構成員を潰していった。

ある者は失明し、またある者は耳を失い、未だベットから起きあがれない奴もいる。

そして三日目の朝、血だらけの死兆星18人が入社した。

入社した企業は、指定暴力団長塚組直属の大山組である。

長塚組は構成員2000人強、大山組組長大山マスタツは長塚組のナンバー2である。

シロンは抗争の度に昇進していった。

 ある日の春には、大山氏に杯をもらい闇風組の承認をもらった。

伝説の武闘派ヤクザ、闇風組の誕生である。

組員は死兆星のみ18人である。

シロンはこいつらにしか心を開かなかった。

シロンはアメリカ中の全ヤクザが恐れるほどの闇風組組長である。

花山薫もびっくりの強さであった。

彼が使う獲物は 銃でもナイフでもなく己の肉体のみであった。

鬼の強さ、鬼の精神、鬼神シロンにまつわるこんなエピソードがある。

その日もシロンは敵対する組に殴り込んでいた。

およそ30人はいようかという事務所にシロンとグリードーだけでカチ込んだ。

グリードーもシロンほどではないが強かった。

シロンは、

「組長だけ生け捕りにしろ、後は全員殺せ。」

そう言い残すと正面玄関から堂々と入っていった。

グリードーもそれに続く.....。

 

グリードー、

「シャオ!シャオオ!!

と殺していく。シロンは、

「どりゃっ」

と言って相手の顔を殴っている。

一発殴り2発目も入れようとしたとき、グリードーが止めた。

「組長、そいつはもうクビがありませんよ」

シロンのパンチはクビすらぶっ飛ばす。

シロンのキックは胴体に風穴が空く。

シロンの技はすべてにおいて威力、スピード、キレ、恐ろしく完成されている。

一方グリードーは手刀が得意である。

その手刀はあまりのスピードで繰り出されるため。

叩くと言うより斬ると言うような傷跡だ。

彼の手刀で

「シャオ!シャオ〜!

と言いながら斬りつけていく。

シロンのパンチが爆弾ならグリードーの手刀は斬鉄剣である。

5分たっただろうか。

事務所には原型をとどめてない死体と切り刻まれた死体の山が築かれていた。

シロンが組長を見つけクビをつかもうとする。

相手の組長は怯え媚び、許しをかおうと必死である。

しかしシロンは媚び諂いがめっぽう嫌いである。

「うぬはそれでも漢か 漢は「引かぬ,媚びぬ,省みぬ」であれうぬには死すら生ぬるい、この世から滅せよ!!!! ぬんっっ」

シロンは彼の左胸を指で突いた。

「ぎゃああああああ〜〜!!

シロン

「うぬの秘孔新血愁を突いた。三日後全身から血を噴き流して死ぬことになる!

 その間ぞんぶんに迫り来る死の恐怖を味わうがいい!!

グリードー

「・・・そんなめんどくさい事しないでも 今殺せよ」

シロン

「おれに逆らった者たち...その者たちはずぐには殺さん!!

なぜだかわかるか...すぐに殺してはおれの恐怖は伝わらん。

だが,三日間命を与えられた者は,その三日間,死の恐怖におびえ,嘆き, そして...悲しみぬくのだ!!

その恐怖はやがて伝説となり, そしてこのシロンの名を絶大にする!!

グリードーは再びシロンは生まれ持っての帝王であることを悟った。

絶対に逆らってはならないのだ。

逆らえば次に待ってるのは死より恐ろしい結末になることになる。

グリードーは心底震えあがった。

「そういえばレジェンズウォー以来コイツは笑わなくなったな....」

シロンは泣き崩れるもはや死人に向かい

「我はシロン この世のすべてを手に入れる者 死ぬ瞬間までこの名に恐怖するがいい!!!!

時は現在 シロンは虚しかった。

「この世はもはや手に入れたも同然。

しかし、この虚しさは何だ....。

俺に足りない物....。

愛だ、愛が足りない。我の心を奪ったのはシュウの他にはハルカだけである。

しかしハルカはレジェンズウォー終結後の時 社長兼性異常者、ランシーンにより殺害されたあと死姦され....。

シュウはそのランシーンと一度不倫関係になりその後俺ともめにもめて・・・。

今思えばあれが始まりなのか。

あれ以来強くなることしか考えなかった。

ハルカの死を聞きシロンは悲しさとともに大きな怒りを感じた。

 (愛ゆえに人は苦しまねばならぬ, 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ, 愛ゆえに…こんなに苦しいのなら,愛などいらぬ!)

 愛を捨て力を欲し今まで生きてきた。

今の我にとって愛とは戦うことであるしかし今我と戦える輩はいないならば死ぬまでよ死人となり地獄を獲るのもまた一興か....」

「ふっふぁふぁふぁふぁあ」

高笑いしながら立ち上がるシロン右手を天高く掲げ

「我が生涯に一つも後悔なしッッッ!!!!

そう叫ぶと、おもむろに左手で心臓をもぎ取った。

拳帝シロンの最後である。

右手を天に向け左手には心臓、まさに仁王立ち。

花山薫もびっくりの仁王立ち。

これを彼が見たなら失禁したのに己の背中に絵を描くのであろうシロンは生前こういっていた。

「俺は拳帝!拳帝は決して膝など地につかぬ!!!

拳帝シロン逝く!! 彼もまた孤独だったのかもしれない......。

この拳帝の死が大きくクラブの運命を揺るがしているのだが、それはまた別の話。