〜富山城の整形技術〜
(3) ハツリ整形体験から

 作業期間中、職人の方にお願いしハツリ整形を体験することができました。ノミで突出部を割取り平面を作る整形技術をハツリと言い、その作業を行うことを「ハツる」といいます。今回は積んだ後、石の石面をハツることに挑戦しました。

 ハツリ整形の方法は、@割取りたい突出部にノミをあて、石の表面に窪みを作ります。この時、ノミの角度は約45゜、ノミを持つ手は支えるだけにして力はいれません。ポイントを聞き、意気揚揚と突出部にノミをあてましたが、すぐにノミの先端を数p隣に移動させられてしまいました。訳を訊ねたところ、後者の位置の方が突出部を大きく割取れるとのこと。そう言われじっくり見たものの、素人には全く同じにしか見えず、最初から職人さんの経験と技術を目の当たりにしました。結局最後までノミの先端をどの位置にあてて良いのかわからず、毎回教えていただいた次第です。

 Aできた窪みにノミの先端を置き、角度を約30゜に替えて叩きます。叩く回数は石の種類・硬さによって変わります。

 B弾け飛ぶようにして貝殻状の剥片が割取られます。やはり技術の差から割取った剥片の大きさには天と地の差がありました。大きな剥片を割取りたいと思い、Aの途中まで職人さんにしてもらいましたが、それでも上手くいかないものです。
筆者(左)・筆者+職人(中央)・職人(右)が割取った剥片
ハツリ整形時剥片

 また、何となくノミを垂直にあてると綺麗な平面が作れるような気がしていたのですが、先端が滑る・突出部の表面しか取れないという理由から駄目だそうです。石に穴をあけるだけなので、ノミを直角にあてることもしません。

 筋ノミの場合はノミの角度を約45゜にし、先端を上から下に移動させながらノミの頭を叩いていきます。角度ではなくノミの当て方がハツリと異なります。

 少しでも作業の目安になればと思い、ノミの角度を教えていただきましたが、普段そのようなことは考えないそうで、返答に困らせてしまいました。頭で理解するより、地道な努力から体で覚える技術であることを実感しました。
(鍋谷)
ハツリ整形作業風景