2010年の日本映画の印象はひとことでいうと「無煙映画が増えてきた」ということです。これは、さまざまな形で多くのみなさまが脱タバコ社会をめざして活動されていることのひとつの成果だと思います。
たとえば筆者が鑑賞した邦画79本中26本が完全に無煙映画でした。これは、禁煙先進国と言われている欧米と比べても決して引けを取らない数字です。
また、キネマ旬報社ベストテンの中に無煙映画は少なくとも時代劇を含め5本もあり本当に「名画にタバコはいらない」という観点からも大変素晴らしいことです。
10年は世界の映画祭で評価された作品もあります。
「キャタピラー」(無煙)「悪人」(厳密には居酒屋の場面で周囲の客の喫煙シーンはありますが)です。
海外で賞を狙うなら無煙映画であることが最低の条件ですね。FCTCの遵守は世界の文化人の常識です。
そうは言ってもまだまだ喫煙シーンを多用する作品もあります。
<喫煙シーンを分析すると>
・悪人はタバコを吸う
「BOX 袴田事件 命とは」「孤高のメス」「アウトレイジ」「ゴースト もう一度抱きしめたい」など、
・愚か者はタバコを吸う
「交渉人」
これら使い方はタバコのマイナスイメージにはなりますが、演じている俳優に罪はなく周囲のスタッフにも受動喫煙の被害を及ぼすのでそろそろこの使い方はやめてほしいです。
・貧乏人はタバコを吸う
「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「信さん 炭坑町のセレナーデ」
労働者の喫煙率は確かに高いのである意味では現実を投影しているのかもしれませんが、前述同様タバコがなくても十分貧しさは表現できるし、どうしても必要だったとしても実際に喫煙させるのはやめましょう。俳優自身が役の上での喫煙が原因で病に倒れほんとうに貧困化してしまうおそれがあります。
・大人になったらタバコを吸う
「君と歩こう」「信さん 炭坑町のセレナーデ」
最もJTがよろこぶ使い方です。「君と歩こう」で喫煙した森岡龍はJTのCMに出演しているのでこの作品にもブラックマネーが出ていることが推測されます。
<問題の大きい喫煙シーン>
・非喫煙者にタバコを勧める
「トイレット」
ヒ素や青酸カリを他人に勧めるのと同様の行為であることを監督は全く理解していません。犯罪行為を公開している、ということで喫煙そのものの回数は多くはありませんが2010年のワースト作品です。
・未成年の俳優に喫煙を強いる
「パレード」の林遣都、「信さん」の池松壮亮、「ノルウェイの森」の水原希子。これらの俳優は未成年時に喫煙シーンを撮っています。明らかな法律違反で、映画界の自殺行為とも言えるでしょう。映倫は何を審査しているやら・・・
<気になる喫煙>
・女優にタバコを吸わせるための作品
「ソラニン」「スイートリトルライズ」
これらの作品はそれぞれ大河ドラマ「篤姫」で国民的スターになった宮崎あおいと、自らは「タバコは苦手」と言っている中谷美紀に喫煙させるために企画されたとしか思えないくだらない内容の作品です。中谷についてはわざわざ記者会見で「タバコは苦手」と語らせ、暗に「でも仕事だから」と女優魂をにおわせる演出で「仕事ができる女はタバコ」というイメージ作りにも貢献しています。
今後FCTCの理解が進むにつれタバコ会社は表立った宣伝はできなくなり、より巧妙に「陰で宣伝する」作品が増えるのではないかと危惧しています。
以上、気になる作品はホームページから映画評を読んでいただき、できればDVDなどでご覧ください。2011年も無煙の名画がたくさん楽しめることを願っています。