たばこ枠組み条約(FCTC) 抜粋
(2003年5月21日採択 2005年2月27日発行)
第3条 目的
この条約及び議定書は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的にかつ実質的に減少させるため、締結国が自国において並びに地域的及び国際的に実施するたばこの規制のための措置についての枠組みを提供することにより、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とする。
第8条 たばこ煙にさらされることからの保護
1、 締結国は、たばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識する。
2、 締結国は、屋内の職場、公共の輸送機関、屋内の公共の場所及び適当な場合には他の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を国内法によって決定された既存の国の権限の範囲内で採択し及び実施し、並びに権限のある他の当局による当該措置の採択及び実施を積極的に促進する。
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受動喫煙防止のための政策勧告
世界保健機関
2007年
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要約 |
こどもやおとなに重大な病気を引き起こす環境汚染である受動喫煙にこれ以下なら大丈夫という安全レベルがないことが科学的に確固として証明されている。受動喫煙の有害な影響をなくすには屋内完全禁煙(100% smoke-free environments)という方法以外ありえないことも反論の余地なく証明されている。(訳者注:100% smoke-free environmentsは、広い意味では屋外でも受動喫煙もなくすることだが、この文書の意図するところは『屋内完全禁煙』である。)それだけでなく、いくつかの国と数百の地域において、大きな抵抗にあうことなしに、職場と公衆の集まる場所(訳者注:public placesを『公衆の集まる場所』と訳した。「公共の場」「公共の施設」とすると、役所や公民館などの官の施設と言う狭い意味になる。この文書の本意は、個人の住宅を除くあらゆる施設の完全禁煙であるから、あえて「公衆の集まる場所」と訳した。)の完全禁煙が法律で決められ実行されている。こうした地域ではどこでも、完全禁煙が履行されているだけでなく、法律の施行後さらに完全禁煙に対する支持が高まったことが明らかになっている。完全屋内禁煙法の実施によって、飲食サービス業界などに経済的悪影響が生じたところはなく、かえって売り上げの増える地域もある。さらに、心臓発作の発生率が即座に減るなど、健康増進効果のあることも明らかになった。
これらの経験から、政策決定者(=議員・自治体首長などの政治家)が市民を受動喫煙からしっかり守るための対策を成功裏に実施するうえで参考にすべき多くの教訓が生み出された。以下にそれを示す。
1.
市民の健康を守るには、自主規制でなく、法律で完全禁煙化を義務付けることが必要である。
2.
法的規制は単純明快で実行が容易かつ包括的であらねばならない。
3.
時に代理偽装組織を通じて行われるタバコ産業の反対活動への反論を準備しておくこと。
4.
実効のある法律を作るには市民社会の参加がカギとなる。
5.
法律の円滑な実施のためには、教育と対話が必要である。
6.
法律の執行計画に加え、実施に必要な土台の整備が不可欠である。
7.
完全禁煙環境の遵守状態を見張る必要がある。可能なら禁煙対策のもたらしたインパクトと経験を記録すべきである。
WHOは、これらの経験に基づき労働者と一般市民を受動喫煙から守るために以下の勧告を行う。
1.
完全禁煙を実施し、汚染物質であるタバコ煙を完全に除去すること。屋内のタバコ煙濃度を安全なレベルまで下げ、受動喫煙被害を受けないようにする上で、これ以外の方策はない。換気系統が別であろうとなかろうと、換気と喫煙区域設置によって(訳注:つまり「分煙」によって)受動喫煙をなくすることは出来ないし、行うべきでない(訳注:not recommendedは「勧められない」だが、「〜すべきでない」という強い禁止を含むと解釈した)。
2.
すべての屋内の職場と公衆の集まる場の完全禁煙化を義務付ける法律を作り施行すること。法律は適用除外を設けず、すべての市民を保護する内容であること。法的拘束力のない自主的取り決めは、望ましい対策とは言えない。一定の状況の下では、例外なくすべての人々を効果的に受動喫煙から守る見地から、屋外またはそれに準ずる職場も完全禁煙とする必要がある。
3.
法律を周知させ、履行を徹底させること。法律を作るだけでは十分とは言えない。その法律を適切に周知させ履行するには、要点を突いたある程度の努力と方策が必要である。
4.
職場を禁煙にする法律が出来ると、家庭を禁煙にしようという市民(タバコを吸う者も吸わない者も)が増えることを見越し、家庭の受動喫煙をなくす教育的対策を実施すること。
WHOは加盟国がこれらの勧告に従って、学んだ教訓に沿って、職場と公衆の集まる場所を完全禁煙にする法律を作り実施するよう呼びかける。
(政策勧告文は、日本禁煙学会理事 松崎道幸氏翻訳)