◆ さらに入札改革を、片肺改革で高どまりの大型契約議案に反対
◆ 城山町の相模原市合併議案に反対、県下6市への合併答申は白紙に
◆ 横須賀原潜放射能漏れ、原子力空母受け入れ撤回を
◆ 大磯の吉田茂邸保存するなら、その精神も継承を
私は、定県第75号議案、一般会計補正予算第2号ほか14件の議案に反対の立場から討論をいたします。
まず、補正予算案ですが、補正額こそ県立高校の体育施設の耐震診断事業費ほか8億2千万円と小規模なものですが、インベスト神奈川による産業集積施設整備助成の債務負担行為追加設定が120億円と巨額なものとなっています。
インベスト神奈川は、知事のマニフェストにも知事就任から一年難産の末にまとめられた総合計画にも位置付けられていなかったにもかかわらず、突然、一昨年秋に導入され、613億円という単一の施策としては巨額の債務負担行為限度額が設定されたものです。
今年度の予算審議の過程では、すでに480億円の債務負担行為の枠を認定していましたが、助成対象となる投資額の下限を中小企業は5億円から3億円へと変更するなど手直しをしたにもかかわらず、限度額の追加はあえて行わず、波及効果の検証に務めるとされておりました。
それが一転、企業からの聞き取りによる波及効果を列挙しただけで、本格的な分析検証のないまま、今年度中に120億円の不足が見込まれると、今回の追加設定の提案となっています。
私はこの6月議会の討論で「インベスト神奈川の政策根拠の数値であった事業所・従業員数の減少に歯止めがかかり、有効求人倍率が全国平均を下回る状況が改善された今、勝ち組支援の政策は転換がはかられるべきところです。」と述べさせていただきました。
この追加で一区切りとして来年度以降の在り方については、県行政全体のバランスも考慮して検討するとのこと。区切りをつける事は歓迎しますが、問題は120億もの追加設定が果たして必要なのかという点です。
知事は、自民党の代表質問に答えて、工場研究所の立地件数が前年度比69%増となり、研究所の立地は全国トップになったと、着実に成果が上がっているといいます。
他府県と比較すると、研究所の立地が本県6件に対して、2位の京都府は5件。工場も本県38件に対して、京都府は33件の成果を上げていますが、京都府の産業集積助成は、限度額が舞鶴など中北部が20億円、宇治など京都市周辺が8億円、京都市内は4億円と、県内どこでも実質青天井に近い本県のインベストと比べて、南北バランスを考慮した常識的なものとなっています。破格の助成を行うインベストを立ち上げたから立地が進んだとはかならずしもいえません。
私たちは、研究所の集積、工場の立地を促進する事は、それが環境に配慮した計画であり、地元の雇用に資するものである限り望ましい事だと思いますが、すべての施策にマイナスシーリングをかけスクラップアンドビルドを図らなくてはならない今の財政下では、そもそも613億円という当初の設定額自体が県行政全体のバランスを大きく崩すものであることは再三指摘してきたとおりです。
100歩譲って、その設定額を認めたとしても、上限80億円という実質青天井の限度額を京都府程度の常識的なものにとどめ、横浜市との併給や日産へのMMと厚木での二重支援などを止めていたなら追加の必要は生まれていなかったはずです。
613億円という限度額をもうけて始めた政策ですから、区切りをつけるならその当初の額でつけるべきです。いま相談中の案件で限度額が消化されるまでに事業化が間に合わないものは、中小企業に限って今後の救済策を検討するべきであり、120億の追加設定は必要ないものと考えます。
次に、定県80号議案以下12件の契約議案についてですが、これらは本年4月から予定価格5000万円以上の入札が、地域要件を付した一般競争入札となってはじめて請負契約の議案として提出されたものです。
そこで、この12件の他、現在までに県土整備部所管で実施された5000万円以上の契約66件について、入札状況を確認すると、予定価格に対する落札額の割合は、昨年度の同種同時期の入札の92.1%から87.7%に低下しています。談合の疑いが強いと言われる落札率95%以上の入札が昨年度は47%をしめていましたが、今年は18%と大きく減少しています。
これらを見ると250万円以上の契約は原則一般競争としたかながわ方式の改革は、ある程度競争性を確保する意味で成果はあった言うべきだろうと思います。5000万円以下の案件についても、電子入札制度の稼働状況を検証しながら実施するという当初の方針を堅持している事も評価します。
しかしながら、この入札状況にはもう一つの特徴があります。それは、66件中42件と三分の二で最低制限価格以下の失格が出ている事です。
議案となっている大型工事はもっと顕著で、空調、水処理という専門性の高い工事以外は全て失格が出ており、83号議案相模川流域下水道改築工事は応札16社中13社が失格、84号議案は13社中9社が失格となっています。
もし、最低制限価格をもうけていなかったら、落札額の総計183億円よりさらに9億円安く契約ができた事になります。その場合落札率の平均は81%となり、80%から85%の間で最低制限価格を設定するという枠の中に収まっており、総体としては決して異常なダンピングとはなりません。
ダンピングを防止し工事品質を確保するためとして最低制限価格を設定する事としたために、少しでも安くあげようと努力した業者が軒並み失格となるこの実態は、かながわ方式の欠陥を大きく浮き彫りにするものであると言わなければなりません。
原則一般競争としたにもかかわらず、最低制限価格を撤廃しないのは、明らかに片肺改革であり、しかも現行の最低制限価格の計算式は大型工事ほど高めの最低制限価格率になるという本末転倒した設定になっています。工事品質の確保は、最低制限価格率に頼らず、発注者側の指導監督評価で行うべきであり、その力量をこそ担当部局は高める事に努力すべきです。
最近また福島県において大型の談合事件が明るみに出ていますが、本県でも66件の入札の中には、落札者以外すべて予定価格以上という昔ながらのきわめて談合の疑わしい案件もまだ残っており、知事および当局には、さらに談合を排除するために取り組みを強める事を求めるとともに、最低制限価格の撤廃、低入札調査制度導入で、入札改革の片肺飛行の状態を早く解消するように要望し、これら議案に反対いたします。
次に、定県93号議案、これは、城山町を廃し、相模原市に編入する廃置分合議案ですが、このほどまとめられた市町村合併推進審議会の答申案によると、この津久井4町の相模原編入の先には、県下を二つの政令市と6つ程度の中核市相当の行政単位にくくろうとする構想が進められようとしています。それぞれの圏域の市民からちっともそんな声は挙がっていないのにあまりにも勝手な構想です。
人口50万から80万の中核市、このように「期待される市町村像」なるものを押しつけ画一的に集約していくところにはけっして住民自治も福祉も育ちません。
今後、なんらかの分合を構想するとしても、まずそれぞれの基礎自治体において、住民自身が、もっとも市民自治と福祉を増進させるためにどのような行政の在り方が求められるのかしっかり検討し、多様な選択肢の中から選び取るものでなければなりません。審議会は今回この出発点に置いて決定的誤りをおかしたものと言うほかなく、いったん解散して答申案は白紙に戻すべきものです。
地方行政経費削減のために政府が平成の大合併を闇雲に押しつけてきたその空気の中で、住民が自発的に選択したものではなく、小さな自治体は立ちゆかなくなるというなかば脅しによって強制された津久井4町の合併は認められるものではないことを重ねて表明してこの議案には反対致します。
さらに、県政の当面する課題について若干申し上げます。
先月、横須賀港内において、米原潜「ホノルル」付近から放射性物質が検出されました。2週間伏せられていましたが、原潜の出航は知事の原子力空母受け入れ容認からちょうど一ヶ月後のことでした。
この事態によって、「50年間放射能流出の事例はない」といった知事が受け入れの根拠とした安全性についての米軍や政府の保証は完全に崩れたと言わざるを得ません。いまだ米軍は沈黙しており、「きわめて些細なトラブルも通報対象」という確約も空証文である事がはっきりしました。
知事においては、根拠が崩れた以上、受け入れの撤回ないしは最低一時棚上げを表明するべきでありますし、文科省の調査任せにせず、いまこそ現場主義、自ら横須賀に赴き、専門家を伴って米軍に立ち入りを求め、港内の海底のヘドロを採取し詳細な分析を行って過去の流出の有無を確かめるべきではないでしょうか。早急に行動する事を求めます。
最後に、旧吉田茂邸の保存について一言、歴史的建物の保存の方針が示された事は歓迎します。
しかし、不思議なのは、この保存を唱いながら、知事と議会の皆さんの多くが、戦前においては対英米戦争回避を追求し、戦後は自主憲法制定ではなく軽軍備の経済大国という戦後政治の機軸を確立したその精神をくんでいくお気持ちはお持ちとは思われない事、逆にその対極にあった岸―中曽根―安倍と続く路線に近しい方が多いのではないでしょうか。
今後、邸は保存しても、その精神に泥をかける政治行動にいそしむ事のないようにお願いして私の討論を終わります。
