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討論 07年9月議会

 私は、本日追加提案されました知事の在任の期数に関する条例の修正案はじめ14件の議案に反対の討論を行います。

 まず知事の多選禁止条例についてです。
 三度目の正直といいます。
 松沢知事一代限りの自粛という一昨年の提案は、多選の制限は憲法が保障する立候補の自由や職業選択の自由に抵触するといった疑義の前に、そんなものなら条例にするまでもないと一蹴されました。

 自粛ではなく禁止を打ち出した昨年の提案は、総務省で研究会がもうけられて検討しているんだから時期尚早だとつぶされました。
 権限の集中する首長の多選は、弊害を生む怖れがあり、なんらかの制限は設けられてしかるべきであるとの認識は、この議会でも大方の共通のものであったにもかかわらず、やれ審議中に知事が新聞に見解を投稿するのは議会軽視だとか、知事のパフォーマンスと議会野党の対立でこれまで2度の流産を繰り返してきたわけです。

 しかし、晴れて、総務省の研究会が、憲法には抵触しないとの報告をまとめた、これを受けて、知事は三度目の正直を狙ってきた。報告書が多選禁止を制度化するには、「法律にその根拠を置くことが必要と考えられる」としたにもかかわらず、あえて知事は、中田市長のように自粛に撤退せず、禁止条例を提案した、私たちはその意気やよし、原案に賛成をいたします。

  法律に根拠を置くことを求めた報告書についてですが、総務大臣が諮問したわずか6人の学者の見解でしかありません。政府において、この研究会よりはるか上位の位置づけをされてきた地方分権推進委員会の最終報告で、憲法92条の「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて法律でこれを定める」について、「地方自治の制度設計は、あげて国会の立法にゆだねられているかのような誤解を招きかねない、もとよりこれは正しい憲法解釈ではありえない」とされたのが01年。6人の学者の見解は、この分権推進委員会の報告からすれば、誤解に基づいた遅れてきた解釈というべきものであり、原案に問題はありません。

  さて問題は、条例の施行日を法改正後にしようとする総務企画常任委員会で提案された修正案です。新聞報道などでは、「全国」初の禁止条例制定で知事が「名」をとり、法的根拠にこだわった議会が「実」をとった痛み分け、薄氷の決着などと報じられました。

 第1の問題は、条例の実効性の問題です。制定されても施行はされないという骨抜きであり、中田市長が皮肉なコメントをしていますが、まったく実効性ない、こんな姿ではたして条例として意味があるのでしょうか。知事も修正した会派の皆さんも、これをもって政府に自治法や公選法の改正を働きかけていくのだといいます。それはそれで今日もこれから提案されますが意見書や決議、請願や陳情、その他あらゆる世論形成の方法でやるべきものであり、条例を作る、すなわち立法ということのもつ意味を全く取り違えているとしかいいようがありません。

  第2は、国と地方の関係、まさに地方分権改革の在り方に関する問題です。この修正案は、早い話、憲法や法律解釈においてグレーな事柄は、国の法整備なしに地方は身動きを取ってはならないと自ら宣言するもの。こんなもの議決したら、分権改革を10年後戻りさせることはあっても、なんら得るものはありません。

  知事は、分権改革は自分の専売特許のように思っておられるかもしれませんが、私は、何といっても、この改革に先鞭をつけたのは、長洲知事1期目77年の「地方の時代」の提唱だったと思っています。その長洲知事の2期目に制定されたのが「公文書公開条例」であり「環境アセスメント条例」。

  当時の長洲さんの言葉によると、「情報公開は、明治以来百年の間に出来上がった日本の政治、行政の構造と体質を変える。そういう大事業に取り組むという決意と体制がなければこの仕事は一歩も進みません。それは新しい時代に即応するための一種の官庁革命なのです。」
 こういった覚悟で公文書公開に踏み切ったのが83年。国の情報公開法は01年ですから、先んじること18年。しかも、県の事務の6割7割を占める国からの機関委任事務にかかわる文書も含めた実効性のある条例としてスタートさせたのです。あの時に、県の固有事務だけ公開して、機関委任事務は国の法整備を待つなんて安易な選択は、長洲さんはもちろん当時の県議会にもありませんでした。

  知事が県議として出会った長洲さんは確か4期目。オイルショック後の財政危機も克服して、1期目2期目に輝いていた長洲県政も、やがて精彩を欠いてきていたんでしょう。最後はバブル崩壊後の経済に何ら対処することなく、湘南国際村や産総研ほか大型施設にのめりこんで大変な負債を残すことになりました。この原体験から知事が多選制限にこだわるのはいいですが、この修正案は、先に述べたこれまでの神奈川県の分権改革先進県としての「名」をものの見事におとしめるものであり、原案のまま議決することを強く訴えたいと思います。

 

 次に、定県第56号一般会計補正予算および定県64号から67号までと72号の看護専門学校、県立高校などの授業料等の値上げ議案についてです。
今回の補正予算の特徴は、補正額がわずか2億3000憶円にもかかわらず、インベスト神奈川による産業集積助成のための債務負担行為が198億円にも上っていることです。日産やソニーといったグローバルな勝ち組企業にすでに700億円、補正が認められれば、5年間で1000億円近いお金が、新規の投資を行う力のある企業に今後つぎ込まれることになります。
 これまでの3年間で助成の94%が大企業に集中したことをうけて、今年から第2ステージとして、投資額の要件を引き下げるなどにより中小企業への支援を強めるとは言いますが、推計によると、相変わらず助成対象となる投資額の8割は大企業となっています。
この推計も第1ステージにおいて、立地件数の85%は中小企業となるとしていたにもかかわらず、実績は60%にとどまったのに、また同じ推計方法をとっているというずさんなものです。
 大企業と中小企業とのバランスというインベスト神奈川の基本的な視点として掲げられていた原則を踏み外して、さらに勝ち組企業への支援を強化するこの予算案は、安倍辞任で小泉安倍の市場原理主義路線に対して、随所で見直しの流れが生まれ、格差是正が政権の最大のテーマとなってくる中で、まったくもって陳腐な提案というほかありません。
 それは、県立高校はじめとする値上げ議案にも同じことが言えます。全日制高校への入学率が今春さらに低下をしてしまう中で、あるいは産院の診療拒否など医療の体制の崩壊が危惧される中で、なにゆえに高校や看護学校の授業料を値上げしなければならないのでしょうか。不安定雇用の増大が問題となる中でなぜ職業技術校ほかの手数料を引き上げるのでしょうか。

  補正予算では、周産期救急の受け入れ機関紹介のオペレータ確保のための予算、障害者授産施設等の工賃倍増計画策定のための予算等が計上されています。このような対処療法を重ねたところで、産科医師の不足、障害者自立支援法による応益負担の重しや法定施設に移行できない作業所の切り捨てといった根っこの問題を解決しない限り、子育て世代にも障害者家族にも安心をもたらすことはけっしてできません。自殺対策基本法にともなった地域協議会の設置、これも国の施策をなぞるばかりの取り組みです。インベスト神奈川でむこう10年間に出ていく198億円は、こうしたところにこそ注ぎこんで、格差をただし県民の生活を支える政策の充実をはかるべきです。

 美しい国を掲げ、戦後レジュームからの脱却など自らの理念ばかりを掲げてきた安倍首相は去りました。知事も、この際、多選禁止など少なくとも本県においては15年以上先の課題に夢中になるのはもうやめにして、生活に視点をおいた改革にこそ本腰を入れることを多くの県民は望んでいることを申しあげておきたいと思います。

 最後に、定県73号議案他6件の契約議案について述べておきたいと思います。この6件のうち5件は、入札において失格が出ています。中津川左岸高架橋工事では、参加12社中実に8社が失格。
 これは、入札改革かながわ方式として導入された現行の制度において、予定価格の80から85%を最低入札価格として以下を足きりにしていることによるものです。どの入札も著しいダンピングがあるとは見受けられませんから、失格がなければもっと節約ができていたはずです。
 先行した自治体の入札改革がなべて最低制限価格を撤廃していたにもかかわらず、たたき合いをきらう業者の意図をくんで、それをしなかったために、現状では、公正な競争によって公共事業費のスリム化を図っていくという入札改革の役割が果たせなくなってきているといわなければなりません。
 最低制限価格の撤廃、6がつ議会でも指摘した入札残を自動的に追加工事の発注に回している執行方式の見直しなど、今後さらに入札改革を進めるべきであることを訴え、これら契約議案に反対して、私の討論を終わります。

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