
格差社会の是正のために県の予算は役立っているでしょうか?
先端技術産業を呼び込んで県内経済活性化の起爆剤とするして始まった「インベスト神奈川」。上限80億円まで投資額の15%を助成します。
とたんに日産、富士フイルム、ソニーなど軒並みトップ企業が助成を申請。10年間の予定額の7割を一年で消化してしまいました。(予算上は、助成額を操業後10年間分割で支払うのでまだ極端に大きくはなっていません)
これは、景気の回復で大規模投資に踏み切る力のある勝ち組への県からの「追い銭」です。日産も富士フイルムも県市の助成制度ができる前に新規投資を決めていたのですから。
そのおかげで中小企業融資のための予算(利子補給等の原資)は、減らされてしまいました。ここにこそ県の役割があるのに。早期に改善を求めています。
06年9月県議会では、県内進出企業に投資額の15%・上限80億円まで助成する「インベスト神奈川」の予算枠が不足するとして120億円の追加補正が組まれました。
おととしの制度導入以来、日産、富士フイルム、ソニーなど軒並みトップ企業が「想定外」の大型助成を申請してきたために、5年間の予定額を2年で消化してしまったというのです。
当初の613億円の枠自体が、財政難の中で福祉をはじめ県政の他の事業とのバランスを大きく崩すものなのに、さらに「想定外」の勝負に出る企業ばかり支援をするとは、おかしいよ!松沢さん!
今回の補正予算の特徴は、補正額がわずか2億3000憶円にもかかわらず、インベスト神奈川による産業集積助成のための債務負担行為が198億円にも上っていることです。
日産やソニーといったグローバルな勝ち組企業にすでに700億円、補正が認められれば、5年間で1000億円近いお金が、新規の投資を行う力のある企業に今後つぎ込まれることになります。
これまでの3年間で助成の94%が大企業に集中したことをうけて、今年から第2ステージとして、投資額の要件を引き下げるなどにより中小企業への支援を強めるとは言いますが、推計によると、相変わらず助成対象となる投資額の8割は大企業となっています。
この推計も第1ステージにおいて、立地件数の85%は中小企業となるとしていたにもかかわらず、実績は60%にとどまったのに、また同じ推計方法をとっているというずさんなものです。
大企業と中小企業とのバランスというインベスト神奈川の基本的な視点として掲げられていた原則を踏み外して、さらに勝ち組企業への支援を強化するこの予算案は、安倍辞任で小泉安倍の市場原理主義路線に対して、随所で見直しの流れが生まれ、格差是正が政権の最大のテーマとなってくる中で、まったくもって陳腐な提案というほかありません。
それは、県立高校はじめとする値上げ議案にも同じことが言えます。全日制高校への入学率が今春さらに低下をしてしまう中で、あるいは産院の診療拒否など医療の体制の崩壊が危惧される中で、なにゆえに高校や看護学校の授業料を値上げしなければならないのでしょうか。
不安定雇用の増大が問題となる中でなぜ職業技術校ほかの手数料を引き上げるのでしょうか。 補正予算では、周産期救急の受け入れ機関紹介のオペレータ確保のための予算、障害者授産施設等の工賃倍増計画策定のための予算等が計上されています。このような対処療法を重ねたところで、産科医師の不足、障害者自立支援法による応益負担の重しや法定施設に移行できない作業所の切り捨てといった根っこの問題を解決しない限り、子育て世代にも障害者家族にも安心をもたらすことはけっしてできません。自殺対策基本法にともなった地域協議会の設置、これも国の施策をなぞるばかりの取り組みです。
インベスト神奈川でむこう10年間に出ていく198億円は、こうしたところにこそ注ぎこんで、格差をただし県民の生活を支える政策の充実をはかるべきです。
美しい国を掲げ、戦後レジュームからの脱却など自らの理念ばかりを掲げてきた安倍首相は去りました。知事も、この際、多選禁止など少なくとも本県においては15年以上先の課題に夢中になるのはもうやめにして、生活に視点をおいた改革にこそ本腰を入れることを多くの県民は望んでいることを申しあげておきたいと思います。
