コリン・ウィルソン一言批評集

(S……必読かつ必携の傑作。A……傑作。B……秀作。C……佳作。D……水準作)


*文庫

・『賢者の石』中村保男訳・創元推理文庫……笠井潔先生も創元のベスト1に推す大傑作。読まずに死ねない。S

・『殺人の哲学』高儀進訳・角川文庫……殺人の哲学的な効用を説いたのち、意外にも道徳的な結論におちつく。A

・『ロイガーの復活』団精二訳・ハヤカワ文庫NV……「賢者の石」の外伝的小品。B

・『スペース・バンパイアー』中村保男訳・新潮文庫……吸血鬼も異星人もウィルソンの進化論にくみこまれるところがすごい。A

『スクールガール殺人事件』高見浩訳・新潮文庫……警察小説だが、ウィルソン節もいま一つノリ悪し。C

・『迷宮の神』大瀧啓裕訳・サンリオSF文庫……セックスを通して神との合一にいたる不死鳥教団のテーマが魅きつける。ある意味ポルノ小説とウィルソン流思想小説の融合作。A

・『ラスプーチン』大瀧啓裕訳・サンリオSF文庫……前半生がのんびりしている割に、後半生はかなり駆け足。B

・『SFと神秘主義』大瀧啓裕訳・サンリオSF文庫……ヘッセ論、SF論など、よみごたえのある評論で充実。B

・『アウトサイダー』中村保男訳・集英社文庫……旧版より大幅に改訳されて読みやすくなった。感想は下の単行本参照。S

・『現代殺人の解剖──暗殺者の世界』中村保男訳・河出文庫……もってるのはこれだが、読んだのは『暗殺者の世界』(新潮社)。殺人の伝統を考察。B

・『宗教とアウトサイダー』(上下)中村保男訳・河出文庫……名著『アウトサイダー』に次ぐ宗教人論集。感想は下の単行本版参照。S

『連続殺人の心理』(上下)(ドナルド・シーマンと共著)中村保男訳・河出文庫…… 歴史とともに殺人の様相が変わってきたことが俯瞰できる。


*単行本/小説

・『暗黒のまつり』中村保男訳・新潮社……服部まゆみさんのミステリベスト1だそうで(EQ終刊号)。雰囲気はいいが、ストーリーテリングはまだ未熟の感が。A

・『ガラスの檻』中村保男訳・新潮社……サンドハイムという人物造型には凄味がある。A

・『ジェラード・ソーム氏の性の日記』磯村淳訳・二見書房……訳文が悪いので、下のペヨトル工房版で読むべし。×(読んじゃだめ)

・『黒い部屋』中村保男訳・新潮社……スパイ小説もまたウィルソン哲学を語るものへと変貌する。ラストの唐突さには驚いた。A

『殺人者』永井淳訳・新潮社……リンガードという殺人者像がリアルで迫力がある。A

『スクールガール殺人事件』高見浩訳・新潮社……文庫版の項参照。

・『精神寄生体』小倉多加志訳・ペヨトル工房……クトゥルーと戦うのがフッサール現象学の方法というとんでもない対立図式だ。A

・『形而上学者の性日記』中村保男訳・ペヨトル工房……ほとんど私小説で、筋らしいものはないのに、 力強い語り口にひきこまれる。上の『性の日記』と原典は同じだが、『影なき男』の方が題名としてはベターだと思う。A

・『スパイダー・ワールド』小森健太朗訳・講談社ノベルス……私の訳です。是非読んでください。


*単行本/小説以外

・『アウトサイダー』福田恆存・中村保男訳・紀伊國屋書店……19世紀の文化革新の書がニーチェの『悲劇の誕生』、20世紀はこれ。今世紀最高の名著の一つ。S

・『続アウトサイダー』中村保男訳・紀伊國屋書店……文庫版では「宗教とアウトサイダー」(上)。改訳された文庫版で読む方がいい。

・『敗北の時代』丸谷才一訳・新潮社……唯一「ぼく」という一人称がつかわれる。丸谷は、ウィルソンを勘違いして「怒れる若者」の一人のつもりで訳している。訳文はかなりズレているが、内容は名著。20世紀の文学の主人公がどうして敗北者ぞろいなのか? という問題に鋭く切り込む。A

・『性の衝動』大竹勝訳・竹内書店新社……「アウトサイダーサークル」として欠かせない書。サドとニーチェの分析が特に重要。A

・『宗教と反抗人』中村保男訳・紀伊國屋書店……文庫版では「宗教とアウトサイダー」(下)。改訳された文庫版で読む方がいい。

・『アウトサイダーを超えて』中村保男訳・竹内書店新社……ウィルソンが一応の結論らしきものに到達している初期評論の総括書。S

・『性と知性』榊原晃三訳・二見書房……1966年11月初刊 (未)

『夢見る力』中村保男訳・竹内書店新社……ラヴクラフトに始まる20世紀文学の暗い側の系譜を分析。A

・『コリン・ウィルソン音楽を語る』河野徹訳・冨山房……音楽を語らせてもウィルソン節が冴える。A

・『バーナード・ショー』中村保男訳・新潮社……(未)

・『実存主義を超えて』中村保男・中村正明訳・福村出版……サルトル、ハイデガーの哲学のどこが不十分かを的確に指摘。A

・『三人の超能力者の話』中村保男訳・新潮社……『オカルト』の補遺的作品。B

・『わが酒の讃歌』田村隆一訳・徳間書店……酒を語らせてもウィルソン節が冴える。A

・『新時代の文学』中村保男訳……第一部「文学と哲学」最重要視されるのはやはりニーチェで、キルケゴールと比較しても、偉大さでまさるとしている。A

『驚異の超能力者たち』木村一郎訳・学研……簡単なオカルト・超能力者の総覧概説書。B

・『文学の可能性』中村保男・中村正明訳……またもバーナード・ショー讃歌にはいささか辟易。B

『神秘と怪奇』安田洋平訳・学研……神秘現象の総覧書。あまり深い切り込みはない。C

・『小説のために』鈴木健三訳・紀伊國屋書店……文学を目的論から、主人公のありようを考察。B

・『至高体験──自己実現のための心理学』由良君美・四方田剛己訳・河出書房新社……マスローの至高体験が、ウィルソン中期の転換点となる。S

・『殺人百科』大庭忠男訳・彌生書房……殺人百科の一番の基本的著作なのだが、残念なことに抄訳。B

・『覚醒への戦い』鈴木健三・君島邦守訳・紀伊國屋書店……グルジェフの評伝だが、グルジェフのとらえかたはやや皮相的な気がする。B

・『時間の発見』(編著)竹内均訳・三笠書房……「賢者の石」のタイムマシンの根拠が語られる。ウィルソンの論文が全体の二割以下の比率なので、ウィルソンファンとしてはC

『スターシーカーズ』田中三彦・上野圭一・菅靖彦訳・平河出版社……珍しい科学概説書。セーガンの「コスモス」とは似て非なる。C

・『フランケンシュタインの城』中村保男訳・平河出版社……ウィルソン思想に入門するなら、まずこの一書がおすすめ。三回以上熟読しました。A

・『右脳の冒険  内宇宙への道』中村保男訳・平河出版社……日本語の題名とはうらはらに、ウィルソンは右脳派でないことがよくわかる。A

・『ユング──地下の大王』安田一郎訳・河出書房新社……ユングは、ウィルソンと興味もっている分野が似通っているせいか、かえって緊張感が少ない気がする。C

・『オカルト』中村保男訳・平河出版社……中期ウィルソンの到達点にして代表作。オカルト研究の基礎的大著。S

・『性と文化の革命家──ライヒの悲劇』鈴木晶訳・筑摩書房……ウィルソンの評伝の中ではもっともすぐれていると思う。ライヒは、精神分析界でもっとも面白い逸材では。A

・『ルドルフ・シュタイナー その人物とヴィジョン』中村保男・中村正明訳・河出書房新社……シュタイナーってオカルティストとしては一流でない気がする。C

・『ミステリーズ』高橋和久・南谷覺正・高橋誠訳・工作舎……『オカルト』の続編だが、内容はずっと混乱して、まとまりを欠いている印象。B

・『コリン・ウィルソン評論集【新楽観主義を求めて】』中村保男・中村正明訳・扶桑社……興味深いニーチェ論があり、スピノザ論も面白い。A

・『現代の魔術師クローリー伝』中村保男訳・河出書房……クローリーってやっぱ、香具師か詐欺師かな? 伝記としては面白い人物だが。B

・『現代殺人百科』関口篤訳・青土社……殺人の動機って、最近になるとだんだん狂って歪んできていると気づかされる。B

・『世界不思議百科』(ダモン・ウィルソンと共著)関口篤訳・青土社……世の中いろいろ不思議はありますね。B

『サイキック』根元靖子訳・三笠書房……『ミステリーズ』の補遺的作品。超能力者とペテン師は紙一重?どころかよく同居している?

・『性のアウトサイダー』鈴木晶訳・青土社……三島由紀夫もウィトゲンシュタインもパウル・ティリヒも性的倒錯者の観点から考察される。B

・『切り裂きジャック』(ロビン・オーデルと共著)仁賀克雄訳・徳間書店……メイベル・コリンズとジャックの関係にはびっくり。B

『世界残酷物語』(上下)関口篤訳・青土社…… ウィルソン版「世界の歴史」。人類史を犯罪と宗教の二つの流れから俯瞰。犯罪防止のためにもとてつもなく重要な洞察が提示されている。A

『コリン・ウィルソンの「来世体験」』根元靖子訳・三笠書房……霊の存在をそろそろ信じはじめている? C

・『発端への旅』飛田茂雄訳・竹内書店新社……おそれなく赤裸々に語れるのはそれだけ著者の強さの証であろう。なんとすばらしい自伝。S

・『「未知」への事典』(ジョン・グラントとの共編著)中村保男訳・平河出版社……いろいろと事項を集めたもの。D

『ポルターガイスト』宮川雅訳・青土社……近年かなり乱作しているコリン・ウィルソンの著作群の中でも、かなり書き飛ばし気味の一冊。C

『世界超能力百科』(上下)関口篤訳・青土社……さほど新味はないが、超能力のいろんな種類がまなべて楽しい。

・『超オカルト』風間賢二・阿部秀典訳・ペヨトル工房……最後は意識の七つの階梯へと話は落ちつく。後半部の日本語訳悪し。B

・『世界醜聞劇場』(ドナルド・シーマンと共著)関口篤訳・青土社……スキャンダルは、あまり進化の哲学と結びつきはよくない。C

・『コリン・ウィルソンの犯罪コレクション』(上下)関口篤訳・青土社……1994年8月初刊(未)

『殺人狂時代の幕開け』中山元・二木麻里訳・青弓社……殺人ライブラリーの第一巻。編集著作。

『情熱の殺人』中山元・二木麻里訳・青弓社……殺人ライブラリーの第二巻。

『殺人の迷宮』中山元・二木麻里訳・青弓社……殺人ライブラリーの第三巻。

『猟奇連続殺人の系譜』中山元・二木麻里訳・青弓社……殺人ライブラリーの第四巻。

・『20世紀の神秘家 ウスペンスキー』中村正明訳・河出書房新社……ウスペンスキーはグルジェフとは別個の天才だったという卓見に賛成です。A

・『世界不思議百科 総集編』(ダモン・ウィルソンと共著)関口篤訳・青土社(未)

『饗 カニバル』(佐川一政との対談集)竹書房……ウィルソンの独白的語りはそれなりに面白いが、企画のコンセプトはどうも……。D

・『カリスマへの階段』関口篤訳・青土社……各新興宗教の教祖の陥ったパワートリップの事例が興味深い。A

・『知の果てへの旅』関口篤訳・青土社……デリダもドゥルーズも簡単にばっさりと切り捨て。B

・『ずっと、人間のことばかり考えていた』小川隆訳・アスペクト……最近の評論集の中ではこれが一番面白いかも。玉石混淆。A

『世界大犯罪劇場』松浦俊輔他訳・青土社……内容は薄い。D

・『「死体の庭」あるいは「恐怖の館」殺人事件』鈴木晶訳・ぶんか社……(未)

・『世界犯罪史』関口篤訳・青土社……(未)

『アトランティスの遺産』川瀬勝訳・角川春樹事務所……これも内容は薄い。D

『わが青春  わが読書』柴田元幸監訳・学習研究社……読書の手引きとして面白い。A

『エイリアンの夜明け』南山宏訳・角川春樹事務所……UFOの話をまじめに受け取るのはちょっと。D

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