(1) 山本顯治「契約交渉関係の法的構造についての一考察(一)〜(三・完)」民商法雑誌一〇〇巻二号一九八頁、三号三八七頁、五巻〔一九八九年〕八〇八頁、和田安夫「長期契約の調整と契約の再交渉義務」姫路法学一三号〔一九九三年〕一頁、久保宏之・経済変動と契約理論〔一九九二年〕二四四頁など。
(2) 山本・前掲注(1)一〇〇巻二号二〇一頁。
(3) 田中成明・法的空間〔一九九三年〕一三頁、同・法理学講義〔一九九四年〕七六頁。
(4) 田中・法的空間九頁。
(5) 田中・法的空間三頁以下、同・法理学講義三八頁以下、五三頁以下、七六頁以下。
(6) 井上治典・民事手続論〔一九九三年〕など多数。
(7) 近時、和解兼弁論や裁判外紛争解決機関に対する関心が高まってきているが、これも過程志向的なアプローチの現れとして捉えることができよう。
(8) 最近の著書だけでも、太田勝造・民事紛争解決手続論〔一九九〇年〕、和田仁孝・民事紛争交渉過程論〔一九九一年〕、同・民事紛争処理論〔一九九四年〕、棚瀬孝雄・紛争と裁判の法社会学〔一九九二年〕、廣田尚久・紛争解決学〔一九九三年〕、守屋明・紛争処理の法理論〔一九九五年〕などがある。
(9) 山本顯治「契約と交渉」現代理論法学入門(田中成明編)〔一九九三年〕六六頁以下。
(10) 星野英一・民法概論「(契約)〔一九八六年〕一三五頁、
鈴木禄弥・債権法講義二訂版〔一九九二年〕二二四頁。谷川久・商品の売買〔一九六四年〕一四五頁は売主の代物給付権も認める。なお、国際物品売買契約に関する国連条約(ウィーン売買条約)は、売主の引き渡した物品が契約に適合していなかった場合につき、売主にその治癒をする権利を認めている(引渡期日前の治癒につき同条約三七条、引渡期日後の治癒につき同四八条一項)。
(11) 柚木馨=高木多喜男編・新版注釈民法k〔一九九三年〕一〇九頁(岩城謙二執筆)。
(12) この点を再交渉義務として明言した判決として、大阪地判昭和三六年一〇月一二日下民一二巻一〇号二四三四頁。
(13) 下級審判例のなかにも再交渉義務を認めたものが散見される。例えば、前掲注(12)の大阪地判、大阪高判昭和五四年二月二三日金商五八〇号三四頁、水戸地判昭和五八年九月五日判時一一〇七号一二〇頁。また、事情変更の原則に関する判例のなかには、その効果として第一次的に契約改訂を請求することができ、これが拒絶されたときに第二次的に契約を解除することができる旨を述べたものが多数みられる。これは、事情変更の原則を主張する場合には、まず契約改訂を申入れなければならないことを述べたと理解することができ、この意味で再交渉義務を想定していると考えることができる。このような判例として、例えば、大阪地判昭和一二年五月二一日法律新聞四一四六号一四頁、長崎地判昭和二七年六月九日下民三巻六号七九一頁、東京高判昭和三〇年八月二六日下民六巻八号一六九八頁、東京地判昭和三四年一一月二六日判時二一〇号二七頁、高松高判昭和三五年一〇月二四日下民一一巻一〇号二二八六頁、神戸地伊丹支判昭和六三年一二月二六日判時一三一九号一三九頁。実際に、契約改訂を請求せずになされた解除を無効としたものもある。東京地判昭和三四年八月一九日判時二〇〇号二二頁、東京高判昭和六二年六月三〇日判時一二四三号三四頁。この点につき、
内田貴「契約プロセスと法」岩波講座社会科学の方法、社会変動のなかの法〔一九九三年〕一四〇、一五〇頁を参照。
(14) 山本・前掲注(1)の論文。
(15) 道垣内弘人「民法学のあゆみ」法時六五巻九号〔一九九三年〕一〇五頁。
(16) 和田安夫・前掲注(1)の論文。
(17) 久保・前掲注(1)の論文。
(18) この見解は、裁判の実践をも視野に入れた注目すベき提言を含んでおり、参考に値するが、要件に関する裁判所の判断の方法や、その判断に不服があった場合の不服申立方法など、手続法上の問題が残る。
(19) 内田・前掲注(14)一二九頁以下。
(20) 内田貴「現代契約法の新たな展開と契約法学」法時六六巻八号〔一九九四年〕四〇頁、同「民事訴訟における行為規範と評価規範」特別講義民事訴訟法(新堂幸司編著)〔一九八八年〕一三頁以下、山本・前掲注(1)一〇〇巻二号二〇一頁。
(21) 内田・前掲注(21)三六頁。
(22) 内田貴「現代契約法の新たな展開と一般条項`」NBL五一六号〔一九九三年〕二五頁。
(23) 内田・前掲注(14)一三四頁以下。
(24) 神戸地判昭和五七年七月九日金商六六九号四八頁。
(25) 内田・前掲注(20)法時六六巻八号三〇頁。
(26) Norbert Horn,
Neuverhandlungspflicht, AcP1981.S.255.
(27) Gabriele Fecht,
Neuverhandlungspflichten zur Vertrags穫derung unter besonderer
Ber歡ksichtigung des bundesdeutschen Rechts und der UN-Kodizes 歟er
Technologietransfer und das Verhalten transnationaler Unternehmen,
1988.
(28) Andreas Nelle,
Neuverhandlungspflichten, 1993.
(29) 原語ではanpassenないしAnpassungとなっており、その意味するところは、変更した事情に合致するように契約内容を改訂するということである。これについてはいまだ定訳はなく、「適合」と訳されることもあるが、日本語として一般的ではないため、以下、本稿では適宜「調整」ないし「改訂」と訳すことにする。
(30) Horn,a.a.O.,S.256.
なお、Fecht,a.a.O.,S.7.は、いったん成立した契約を修正するためのみならず、契約が完全に締結されていなかった場合や、大枠だけが合意に達していた場合にも、再交渉義務が問題になるとしている。
(31) 和田安夫・前掲注(1)三〇頁以下、Nelle,a.a.O.,S.11.を参照。
(32) Fecht,a.a.O.,S.8.
Nelle,a.a.O.,S.11.
(33) Nelle,a.a.O.,S.12ff.
(34) Nelle,a.a.O.,S.196.
(35) Nelle,a.a.O.,S.208ff.
(36) Horn,a.a.O.,S.284.
(37) Nelle,a.a.O.,S.260ff.
(38) Nelle,a.a.O.,S.272ff.
(39) Nelle,a.a.O.,S.279ff.
(40) Nelle,a.a.O.,S.290ff.
(41) もっとも、不安の抗弁権(BGB三二一条)の要件を満たすときは、例外的に給付を停止することができる。Nelle,a.a.O.,S.291.
(42) Nelle,a.a.O.,S.295.
(43) Horn, a.a.O., S.288.
Fecht,a.a.O.,S.172. Nelle,a.a.O.,S.304.
(44) Fecht,a.a.O.,S.138-139.
Nelle,a.a.O.,S.309-310.
(45) Fecht,a.a.O.,S.139.
Nelle,a.a.O.,S.327.その他、Nelleは第三者を介入させる義務および交渉中の給付停止の禁止の違反に対しても履行請求を認めている。しかし、後者は厳密には再交渉義務の履行請求ではない。
(46) Horn,a.a.O.,S.285.
Fecht,a.a.O.,S.142. Nelle,a.a.O.,S.15,305.
(47) Fecht,a.a.O.,S.142ff.
(48) Fechtは、契約調整条項(Anpassungsklauseln)が存在する場合は、当事者において承諾義務が意図されていたと考えられる場合が多いという。すなわち、再交渉や調整に関する何らかの条項がある場合は、その解釈により承諾義務の有無を決することになり、必ずしも明文でもって承諾義務が規定されている必要はないということになる。
(49) Horn,a.a.O.,S.286.
(50) Fecht,a.a.O.,S.169.
(51) Horn,a.a.O.,S.285.
Nelle,a.a.O.S.319.
(52) Horn,a.a.O.,S.287.
(53) Fecht,a.a.O.,S.172.Nelle,a.a.O.,S.322,328,329.
(54) もっとも、訴訟になった場合でも交渉による解決の道が閉ざされたと見るべきではない。訴訟手続を通じて当事者の交渉が可能になればその方が望ましいことは言うまでもない。
(55) 判タ四三七号一一二頁。
(56) 前掲注(24)の神戸地判を参照。
(57) 実際に損害賠償が認められた例として、東京地判昭和三六年五月一〇日下民一二巻五号一〇三二頁。
(58) Staudintger-J殲gen
Schmidt,Kommentar zum BGB. 12 Aufl. Zweites Buch.(1983) Einl. zu
、、241ff. Rn.221ff.
さらにSchmidtは、Obliegenheitなる概念は不要とさえ述べている。
(59) 生田敏康「ドイツ法におけるオプリーゲンハイトについて―民法を中心に―」早稲田法学会誌四一巻〔一九九一年〕三九頁を参照。
(60) 保険法上のオプリーゲンハイトについては、石田満「保険契約法におけるObliegenheitの法的性質に関する研究序説」保険契約法の基本問題〔一九七七年〕六一頁以下が詳しい。
(61) Fecht,a.a.O.,S.169.
これに対して、借地・借家契約においては、賃借人の保護という特別な考慮が働くため、賃料増減額の協議が不調に終わったからといって常に更新拒絶・解約申入が認められるというわけではない。
まず、増額が問題になる場合には、賃貸借の終了によって賃借人が被る不利益、増額請求による借地借家関係の存続という方法が残されていることなどを考慮すると、協議が不調に終わったというだけでは、原則として「正当の事由」(借地借家法六条、二八条)ないし「重大なる理由」を欠き、賃貸人は更新拒絶・解約申入をすることができないと考えられる。これに対して、減額が問題になる場合には、右のような難点は生じないので、賃借人は更新拒絶・解約申入をすることができると考えられる。幾代通=広中俊雄編・新版注釈民法l〔一九八九年〕六二四頁(篠塚昭次執筆)、三宅正男・契約法(各論)下巻〔一九八八年〕八五五頁を参照。
(62) 最判昭和三一年四月六日民集一〇巻四号三四二頁。
(63) 北山修悟「契約の改訂」法協一一二巻一号〔一九九五年〕九六頁は、資源開発契約につき経済的観点から契約関係の維持の必要性を説く。
(64) 再交渉義務と契約改訂請求との関係を説明する方法として権利変更請求権という概念が参考になるが、この点の解明は今後の課題としたい。杉浦智紹「権利変更請求権をめぐる二三の問題」早稲田法学会誌一三巻〔一九六四年〕一〇九頁以下、同「再び地代家賃増減請求権について」早稲田法学会誌一五巻〔一九六五年〕一〇三頁以下を参照。
※注64の「権利変更請求権」(赤で表示した部分)は、一橋論叢115巻1号では「権利更新請求権」となっていましたが、誤植でしたので上記のとおり訂正いたします。