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塩素を含むプラスチック

 プラスチックとビニールの違いは分かりますか。
 このように尋ねると,「固いのがプラスチックで,柔らかい袋とかがビニールだ」と答える人がいます。
 半分当たっていますが,ビニールもプラスチックもナイロンも,広い意味でのプラスチックです。食品を包むラップもプラスチックなのです。
 一昔前は,ポリ塩化ビニールがプラスチックの大半を占めていました。それで,プラスチックの代表選手の名前として,「ビニール」が残っているのです。
 私たちがよく言う「ビニール袋」は,ビニールではなくポリエチレンであることが多いのです。
 さて,プラスチックを作っている主な原子は,炭素,酸素,水素です。ポリ塩化ビニールはそれに塩素が加わります。
 ダイオキシンの発生には,塩化水素(水に溶けると塩酸)や塩素の気体が大きな役割を果たします。
 ポリ塩化ビニールのように,塩素原子を含むプラスチックは,塩化水素や塩素の気体を発生しやすくなっています。
 ですから,ダイオキシンの発生源になります。
 丈夫で長持ちするポリ塩化ビニールは,電線の被覆,水道管,バケツ,窓枠,車の泥除け,床材,柵,公園のベンチ,血液バッグに使われています。農業でビニールハウスを使いますが,あれは本当にポリ塩化ビニールです。(農ポリといって塩ビでないこともある。ただし,塩ビの方が長持ちする。)
 発生源になるからといって,直ちに生産をやめてしまったらどうなるでしょう。ダイオキシンはない方がよいのですが,ポリ塩化ビニールはないと困る人がたくさんいます。
 さて,ポリ塩化ビニールよりも,塩素原子を余計に含むプラスチックがあります。それは,ポリ塩化ビニリデンです。
 これは,塩化ビニールの水素原子1個が塩素原子1個に置き換わったものです。
 このポリ塩化ビニリデンは,食品用のラップとして広く使われています。
 人間にとって必要な塩素を含むプラスチックが,ない方がよいダイオキシンの発生源になっています。
 私たちは,ちゃんとした処理方法を心がけていく必要があるでしょう。

 最近,塩素を含まないポリエチレンのラップが出回るようになりました。あなたの家で使っているラップに注目してください。ふた付き容器を使えば,ラップはいらないので更に良いでしょう。

 上野景平『これが正体身の回りの化学物質』(ブルーバックス)
 盛口 襄『いまプラスチックが新しい』(ポプラ社)

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