2002年 科教協関東ブロック大会 茨城大会 

○科教協とは 科学教育研究協議会のことです。会のサイトへ
○関東ブロック大会は,科教協の大会を各県持ち回りでやっている会です。
  2000年 群馬県 この大会の様子
  2001年 神奈川県   全国大会は京都にて8月開催
  2002年 茨城県     全国大会は山口にて8月開催
  2003年 東京大会    全国大会は東京で8月開催

○関東ブロック大会へのご参加,ありがとうございました。
 2002年の11/23,24に行いました。
  今までのご協力,大変ありがとうございました。御陰様で科教協関ブロ大会が,盛況のうちに終わりました。
 科学お楽しみ広場に集まった200人を超える親子連れ,左巻さんの講演にも60名を越える人が参加。ナイターでのフラッシュが光りまくる熱気あふれる実験交流会,その後,勢いをつけて,午前2時半まで語り合った交流会。
 物・化・生・地のレポートが揃った分科会。小学校には,5本のレポートが揃いました。いつもの常連さん,東京支部だけでなく各県支部からレポートが出てきたことが嬉しかったです。
 2日目の午後にも関わらず,20人近い参加のあった解剖実習。カニ,サメ,ニワトリ,ブタの本物が登場する大変貴重な経験でした。
 参加者のお一人から,「今までいろいろな講座に出たけれど,今回の2日間ほど刺激を受けたことはなかった。」というメールをいただきました。ありがとうございます。先生方に元気になっていただければ,たくさんの生徒さんも元気になります。主催者として,嬉しい限りです。
 
 参加者の方で,感想やご意見がございましたら,メールをください。このページに採用させていただきます。メール
9時〜12時 12時〜1時 1時から3時半 3時半〜5時 5時半〜7時 7時〜
23 昼食・受付 科学お楽しみ広場 講演 ナイター 夕食・交流会
24 分科会 昼食 解剖教室
 
 ○内容の紹介   科学お楽しみ広場ページへ
科学お楽しみ広場 実験の縁日,屋台,というイメージです。日ごろ面白いと思っている実験を実演・紹介し合います。「科学の祭典」の原型になったものです。
 先着200名に「手と目でたしかめる星の学習教材 体験版」をブレゼント。提供 山田幹夫さん(香川)
予定される実験  木の実のアクセサリー(山梨),わりばしでっぽう(山梨),日本一簡単な万華鏡(茨城),新型綿アメ器(茨城),アンモナイトの化石(茨城),熱するだけで動く不思議なエンジン(茨城),大きな食塩の結晶とへき開(茨城),人力発電(茨城),くるくる回る割り箸ロケット(茨城),手作り教材(栃木),電気で遊ぼう(千葉),進化のテキスト(千葉),偏光板から見える世界(埼玉),ヘッドアースモデル(埼玉),フランクリンモーター(千葉),YPCの簡単で楽しい物理実験(神奈川),本物のサルの骨に触れよう(千葉),スライム(茨城),葉脈標本(茨城),分子模型(栃木),コマ作り(栃木) 科学紙芝居「新版・ヒトのネオテニー進化」他
 
全体会 前東京大学附属中学・高校,現京都工芸繊維大学アドミッションセンターの左巻健男さんの講演です。 演題 本物の理科の基礎・基本が分かる授業とは
『おもしろ実験ものづくり事典』(東京書籍)などの著書,茨城新聞に「暮らしと水のサイエンス」連載で有名な方です。

 今からは想像もつかない子どもの頃の話も。「僕の成績は,5段階評価で理科だけは3で他より抜群に良かった。」と。それで理科を志し,大学に進むために猛勉強し,今の道に進んだといいます。この話をして,「やればできるんだ。」と生徒を励ますそうです。
 教科書編集執筆者として,文部省の検定官とやり合った様子も話題に。「社会の教科書検定は問題になるが,実は理科の方が事細かに書き直しをされている。指導要領を作った先生が書いた理科の教科書でさえ,検定不合格になるほど今回の検定は厳しかった。厳しくても根拠があればよいが,科学的にも実践的にも根拠はなかった。」という話を聞いて,愕然としてしまいました。学問的にも,実践的にも研究が不足している人達によって,教科書が検定されているという実態なんて。
 左巻さんは,文句を言うだけでなく,代案を示さなくてはと思い,検定外の教科書を作ろうという企画を立ち上げました。実際に多くの教員と協力し合い,2003年春に発行予定です。
 理科の基礎・基本は,子どもと向き合う教師が,ちゃんと研究しながら明らかにしていく必要があると思いました。
○参加者より
 左巻先生の講演、これほど驚くような講演を聴いたことはありません。学習指導要領の内容の決められ方、検定外教科書作成への熱意、どれも衝撃的でした。(岡山 Yさん)
 1992年11月,つくば市の松代小学校で開催した関東ブロック大会以来10年目にして参加した大会であった。あれから私は理科という枠にいることでなく,教育相談や子どもを取り巻く様々な活動に身を転じ,不登校や非行やいじめや引きこもりで苦しむ子ども・若者達とのつきあいを始めた。同時にそれらの親たちとの関わり合いも始まり,日々忙しい毎日を送っている。95年4月には,「つくば子どもと教育相談センター」を設立し,そこに集う会員は400名近い。毎月「親の会」や学習会などの他に,週1回のフリースクールも開催している。
 この10年間の中で,地域の科学好きの人々と「科学教育サークル」をつくり,いろいろなところで科学実験教室をしてきた。茨城の科教協の仲間とも何回か一緒に科学教室をしたこともあった。
 今回は,23日だけしか空いてないので,科学お楽しみ広場と左巻氏の講演に参加した。
 左巻さんの講演は,「科学の目」を育てることの意義や新指導要領の持つ誤りや矛盾など,具体的な教材に即してしっかりと話された。検定教科書が欠点ばかりの今,左巻氏を中心とする「検定外中学理科教科書づくり」のもつ重要性が提起された。そして,理科教育が危機的状況にあるとき,科教協に参集する教師が,何をすべきか強く訴えていた。私にとって心に残る講演だった。左巻さん,本当にありがとうといいたい。(茨城 志賀さん)
 ※指導要領の矛盾などという話を初めて読む人は,なんだ??と思う人は多いでしょう。教科書が欠点だらけという話にも,驚くことでしょう。分かりやすい話が,高鷹さんのサイト(科教協東京支部)にありますので,ご覧ください。教科書検定の実際をごらんください。
 
ナイター 夜の講座です。各地のサークルから様々な実験・教具の提案がありました。各県支部より次から次へと一級品の実験が紹介されました。デジタルカメラやビデオを持って記録しておられる先生方が,多数おられました。
実験交流会 科学お楽しみ広場は、どちらかといえば子供たちに実験を見せますが、ここでは教師同士お互いに交流しました。
○参加者より
 実験交流会、よかったですね。あの熱気、圧倒されました。(埼玉 Sさん)
 楽しかったナイター 今回の試みでおもしろかったのしはナイターです。科学お楽しみ広場ではそれぞれの出展者は他の出展を見て歩く暇がほとんどありません。そこで今年は,各県支部とも8分ずつの持ち時間で実験などの紹介をすることになりました。出し物は,科学お楽しみ広場での出展そのままで良いという設定です。やってみると,科学お楽しみ広場の時間内にはゆっくり見られなかった実験を見せてもらったり,参加者から質問や意見が出たりしてとても面白かったです。(科教協東京支部ニュースより)

 ナイター,夕食終了後,交流会(懇親会)。飲み物・つまみを片手に,真夜中を過ぎても話は尽きませんでした。

分科会 学校別,科目別に分かれて,授業実践の記録や自慢の実験などを紹介し合います。討論しながら,明日の実践をより良くするヒントを得られます。発表する方はレポートを20部用意し,事前にご連絡ください。
小学校 4年空気と水(茨城),4年ものとその重さ(東京),5年空気(東京)6年水溶液の性質(山梨)5年人や動物の誕生(群馬)
・東京の佐藤さん
 5年生で,空気の重さを考える授業を行った。
 空気に重さがないと思っている子,空気に重さがあるけど天秤ぐらいでははかれないと思っている子,空気に重さがあると思っていても,「もの」だからと考えられない子,いろいろな子がいると分かった。天秤で簡単にはかれることを示すと,子どもたちは「空気も見えないけど物である」と腑に落ちていくことが発表された。
・茨城の宮内さん
 4年で「空気がちぢむが水は縮まないこと」を学習することになっているが,それより空気にも体積があることを教える授業の方が楽しくわかるようになるという発表。物には必ず体積があるのだが,それを教えられてない子どもたちにとっては大変新鮮なないようになる。粒子論をも駆使しながら見えない空気が見えていくと,空気でっぼうの仕組みもはっきりと見えてくることが示された。
・東京の高鷹さん
 4年で「物の重さ」の授業を敢えて行っている。その様子が発表された。穴あけパンチでできる小さな丸い紙にも重さがあるかを問うと,子どもたちの思考が揺さぶられる。天秤でもはかれない。しかし,ストローで作った自作の天秤では重さがあると分かる。このような「物にはすべて重さがある」「重さで物の出入りが分かる」というような学習が基礎にあって,ほかの学習が成り立つのだろう。環境問題にも重さの学習は必ず使える。
・山梨の河野さん
 6年の水溶液の学習の記録である。ミカンの酸であるクエン酸を使うことで,酸っぱいという酸性の特徴をとらえさせることがうまくいった。炭酸カルシウムとの反応も酸性の水溶液の特徴だ。酸と酸性の区別も必要だが,それは酢酸を使った実験でやると良いという議論になった。
・群馬の福田さん
 5年の人や動物の誕生について。動物の誕生については,進化の観点から見ていくことの重要さを改めて考えた。例えば,魚類のおしっこは尿酸でなくても良い。しかし,は虫類・鳥類のおしっこは,尿酸でなくてはまずい。からのある卵の中に老廃物がたまっていくから,老廃物は水に溶けない物にして出す必要がある。尿素ではだめだ。からのある卵で陸上進出するには,おしっこが必然的に水に溶けない尿酸になることになる。鳥の糞に混じる白い物から,そんなことまで分かるという教師の話に,子どもたちが感動する。そんな様子が伝わってきた。

○参加者の感想
 小学校分科会に参加しました。私たちの地区では,初任者に年5回の研究授業が義務づけられています。次が第4回目です。今日、理科の授業をすることに決めました。小学校分科会で衝撃的だったのは、子どもたちが既習事項・経験を根拠にして予想を立てていたことです。なんとなく、ではないのです。だから、発言内容のレベルが驚くほど高いのです。
 小学校4年生で、ここまでできるのか!
 しかも、自分の考えを友達の考えと絡めながら討論が進んでいきます。まさに私が追い求めている授業そのものでした。刺激のシャワーが心地よかったです。(東京 Mさん)
 今回は,2日目しか参加できず,前日の盛り上がったお楽しみ広場のこと,ナイターのことなどを聞くにつけ,次回こそはと思った次第です。
 でもレポート発表はいい機会になりました。いろいろな先生方のアイデアも参考になりました。また少し改善して,実践をしていきたいと思っています。ありがとうございました。(山梨 Kさん)
物理 スターリングエンジン 高校(茨城) 光の実験 中学(埼玉)  運動量 高校(東京) 
化学 カリキュラムを自主編成しよう 中1(埼玉)SEPUP中学(埼玉),ブラックボックスで科学の方法を学ぶ 中学(千葉)
 関東ブロック大会2日目の化学分科会には、次の3本のレポートが提出され、報告と討論が行われました.
  1.カリキュラムを自主編成しよう −中1「物質と分子」の実践
                       埼玉・北本中 青木夏子
  2.SEPUP教材    埼玉・春日部市立大増中 鈴木勝浩
  3.ブラックボックスで科学の方法を学ぶ 千葉大大学院理科教育専攻
                                藤澤隆次

報告内容と協議
1.青木先生より、中学校理科の学習で物質の学習を柱にしたカリキュラムが提案されました.1年生では、物質の粒子性を中心にした「物質と分子」、2年生では化学変化における原子の組換えを中心にした「化学変化と原子・分子」と言う構成のものです.
 実践済みのものとして、1年生では、1学期に「物質の性質」・「物質と分子」・「実験」を含めた36時間の計画です.2学期に「気体の性質」「植物」「光」「音」「金属」、3学期「変動する大地」という年間計画です.
 実践の「物質と分子」の授業プランが詳しく報告されました.
討議では、自主編成に伴う転校生転入生の問題や授業実践中の疑問点(分子間力,絶対温度など)や別のアイデアの実験法(目に見える気体を扱う方法など)などの情報が交換されました.
2.鈴木先生からは、アメリカで開発されたSEPUP教材のひとつが紹介されました.これは、日常生活や社会に目をむかせ、わかりやすく科学的考えを身につけさせる使いやすい実験道具や薬品がセットになった教材です.
 このセット教材を使って、選択理科の中で使われるのにふさわしいモジュール教材の開発を目指しており、発表のなかで参加者にも「連続希釈によるppm」のアクティビティを実際に体験しました.
 討論では、体験の感想や、改良点、授業展開上の問題点などを討議されました.
3. 藤澤先生からは、問題解決の学習が重視されるように言われているが、中学や高校では抽象度の高い科学的知識や概念をを理解したり確認することが中心になって,本当に問題解決に対する資質や能力の身につけさせることが希薄になっているのではないかという視点から,ブラックボックスを利用した学習によれば問題解決プロセスの効果的な体得の可能性があるのではという提案がなされました.
 ブラックボックスは、中にスチール球が入った20×20×1cmの薄いベニヤの箱に入った(中にいくつかの仕切りが入っている)もので、どんな方法でもよいから、中の構造を推測するものです.
 個人で調べたり、他人と互いに交換し合って情報交換しながら進めます.
できるだけ多くの推論を引き出すのが目的で、最終的にも箱の中の構造は被験者には見せないという提案でした.
 討論では、答えを見せることの是非、本当にこのブラックボックスの構造推測が科学の問題解決プロセスの資質,能力に役立つなどが意見交換されました。                       (記録 利安さん)

○参加者より
 化学分科会で発表をして左巻さんやその他の方々にいろいろとご指摘・ご意見をいただけました。良い機会になりました。(千葉 Hさん)
 化学に参加しました。どの先生方の発表も勉強になるものでした。2時間の間に、いろんな先生方の意見が聞くことができて、よかったです。(岡山 Yさん)
生物 中学生が取り組んだ遺伝子組み替え実験 中3(新潟),動物単元の自主編成(千葉)
地学 変動する大地 中1(埼玉),宇宙 中3(栃木)
埼玉の小野さんの発表
 「変動する大地」授業プラン

 到達目標・・・大地は,地球内部のはたらきによって変動し,流水のはたらきによって平坦化される。
到達目標からストーリーをつくり,教材開発するという手法をとっている。
特に,注目される点は,地震を>振動>波>音という考え方で,既習事項の音から地震につなげる導入が提示されたことである。
地震における地表面で見られる現象は,地殻の”破壊”によるものであるという考え方もわかりやすかった。
検討会では,スケール大きさを実感させるところでイメージしやすいモデル実験が行えるかどうかが鍵ではないだろうかと話し合われた。
3学期に単元を通して実践されるそうで,生徒の反応がどうなるか楽しみである。

栃木の粂川さんの発表
 「地球の大きさと宇宙のひろがり」1時間の授業(中3)

 「宇宙の構造と歴史を教えたい」という書き出しでリポートされ,
粂川さんの宇宙に対する考え方が明確に打ち出されていた。
10cm四方の紙をもとに,一辺のスケールを100倍,100倍・・・・・としていく,
そして,そこに入るものを考えていく展開であった。
実践では14回繰り返している。生徒のノートには宇宙の広さを感じ取ろうとする姿勢が伺えた。
また,粂川さんのねばり強い指導も見えてくる。
検討会では,120億光年の長さを決めて,銀河団や銀がや太陽系がどれくらいかを考える方がイメージがつかみやすいのではないかということが話し合われた。
宇宙について授業の中で熱く語る粂川さんが想像できるリポートであった。
                       (この文章は藤田さんより)

解剖実習 千葉の石島秋彦さんが講師。実際に授業で役に立つ解剖の仕方を実演,実習します。『子供の科学』誌などでも活躍中の方です。ニワトリやブタの頭などを解剖する予定。
参考 石島さんを講師にお呼びして行ったニワトリの解剖研修会(「理科の部屋」ネンジュモオフ)
 左は,ブタの頭を2つに切った物。真ん中の白い棒のような物が,脳梁。その周りが大脳です。脳陵の左側に見える白い小島のようなのが,脳下垂体。大脳を取り出し耳の方をほじくると,蝸牛管などが見つかります。非常に小さい物です。
 次は,鮮やかな手並みでニワトリの消化管を伸ばす石島さん。非常ににこやかな表情で解剖していました。
 最後は,鋭い歯を持つことで分かると思いますが,サメです。
 サメは,文字通り鮫肌でした。(^.^)片方にはすべすべですが,逆向きにはザラザラです。ヒレは,「フカヒレ」になるので,ついておりません。フカヒレのために,サメの資源が減っているそうです。
○参加者より
 たいへん迫力ある解剖講座でした.少人数だったので遠慮なく質問したり,触ったりできましたが,もっと参加者がいてもよいないようでしたよね.遅くなるので多くの方々は帰ってしまったようで残念でした.(埼玉 Kさん)
 豚の解剖、ニワトリの解剖など、本当に貴重な体験をさせていただきました。衝撃的でした。これを授業でさせてみたいです。(岡山 Yさん)
 ニワトリの卵巣が印象的でした。卵になっていく様子が一目瞭然でした。ブタの目玉も強烈な印象でした。黒いどろっとした物が出てきましたが,それで暗室を目玉の中に作っていると分かると,なんか感動しました。(茨城 Nさん)

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