小柴昌俊さんの講演

小柴さんのお話を生で聞くことができました。
 2003年9月15日,つくば市の高エネルギー物理学研究所の一般公開日のことです。
 ここは,加速器を使ってニュートリノを発生させ,カミオカンデに送ったこともある研究所です。
詳細は、http://www.kek.jp/openhouse/


 ただし,会場は混んでいました。小柴さん見たさに,たくさんの人が集まっていました。私もその1人だから,文句は言えませんが。
 30分前に行きましたが,会場前で「立ち見の席もいっぱいです。テレビモニターでご覧ください。」と,入場を断られそうになりました。しかし,とっさに,「私は,関係者ですのでご心配なく。」と言い,無事に会場に潜り込めました。ウソはついてませんよ。私は「教育関係者」です。(^^ゞ 
 ただし,背の高い私が立ち見すると迷惑になると思い,立ち見はせずに床に直接座りました。
 板倉聖宣さんの本は,こんな時に役立ちました。『たのしい知の技術』(仮説社)に,「関係者以外お断り」の場所に入る方法が書いてありました。いいのかなあ。

 1時間ほど,カミオカンデの歴史と功績を話していただきました。大変穏やかな口調で,重要な用語はゆっくりと,とまるで教員のような話し方です。(うーむ,例えが悪いかなあ。)
 内容は,本を読んでゆっくり考えながら理解した方がよいので省略します。おすすめ本は,次の2冊です。

ニュートリノ天体物理学入門
知られざる宇宙の姿を透視する
ブルーバックスで,ニュートリノ天体物理のことを学びたいならこれ。
やれば、できる。 小柴さんの半生を知るならこれ
更に検索をかけたい人はこちら


 1時間の予定で話し始めましたが,多少早く終わったので,予定外の質問の時間がありました。ラッキーです。
 もちろん,私は右手を天井に突き刺すように挙げて,順番待ちをしました。最後の方に回ってきました。

宮内 先ほどのお話は,ニュートリノについて,カミオカンデについて,まるで子どもが自分で育てた自慢のザリガニやカブトムシを語るように,すごく愛着を持っていることが伝わってきました。質問は,演題の「宇宙,人間,素粒子」の人間についてです。つまり,小柴博士についての質問です。そのようにニュートリノ,カミオカンデに愛着を持って研究をすることになったきっかけは,何だったのでしょう。
小柴 カミオカンデの実験をやるきっかけは,当時の最先端の研究,本筋の研究が電子と陽電子を衝突させることだと言われていた時代につかみました。 その研究をやるには,その装置があるヨーロッパに行くのが手っ取り早い方法です。学生もそれで卒業できるし,最先端の本筋の研究を体験できます。しかし,自分のところの学生を他の研究機関に送るのは,相手に大変迷惑をかけることになります。また,研究した学生がその後も素粒子の研究をやりたいと思ってくれるようにならなければ,最先端の研究をしても意味がありません。
 そこで,魅力ある研究テーマを探していました。
 すると,陽子(原子核を作るもの)が崩壊する可能性がある,という理論が出されたことが伝わってきました。それを聞いたとき,「大量の水を監視し続ければ,陽子が崩壊することを発見できるかもしれない。」と,カミオカンデの実験の原理を思いつきました。
 幸い,若い人達がこの研究に続いてくれて,今では私の教え子の教え子がカミオカンデで働いています。
宮内 教育的配慮がきっかけだったのですか(!!!)。ありがとうございました。

 小柴さんの話は,私の記憶に基づいていますので,正確さに欠けるかもしれません。
 科学者といえば,自分の興味を突き詰めて研究していくものだと思いましたが,後身のためを考えてテーマを探していたのだというのが意外でした。(多少,照れがあると思いますけど。)
 小柴さんは,教育者であり,親分だったわけですね。

 ※お断り 冒頭の写真は講演中に撮った物です。ぶれが出ていますが,それはわざとフラッシュ撮影しなかったため,シャッタースピードが遅くなったからです。講演の最中にフラッシュの光を浴びせてはいけない,という私なりの礼儀を尽くした結果だということで,ご勘弁ください。
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