椎茸栽培は里山を育てる
我が家には,庭の他にもたくさんの植物があります。今回は,山林にスポットを当てました。山林といっても,スギやヒノキなどの常緑樹で材木になる林ではありません。広葉樹の雑木林。クヌギ山の話です。
中国産の椎茸がスーパーに並ぶようになりました。椎茸栽培をしている我が家とすれば,これは面白いはずがありません。ただし,スーパーで見ていると,中国産の安いものはさすがに品質の点では劣ります。日本のものは品質が良いだけでなく,里山を育てているという意味でも大事にして欲しいと思うのです。
上の写真は,我が家のクヌギ山です。クヌギという木は,カブトムシやクワガタムシが寄ってくる落葉樹です。その木が椎茸栽培には最高なのです。
この木を切って適当な長さに切りそろえ,菌を植え付けます。適当な環境の所に置いておくと,椎茸が出てくるというわけです。この椎茸の菌を植え付ける木を,原木といいます。
さて問題です。この木をこのまま切り倒すことはできるでしょうか。
1月から2月にかけて,原木切り出しの作業をしました。原木になるクヌギの木にチェーンソーを持って近づいてて,さあ切ろうという具合に簡単にできるでしょうか。
これは,できません。周りのシノ(ササ)をきれいに刈らなければならないからです。そうしないと人間は近寄れませんし,切り倒した後の作業もできません。この木に近づき,切り倒し,適当な長さに切りそろえ,できた原木を山から道路まで運ばなければなりません。
そのため,草刈り機(刈り払い機)で3m近い高さのシノを刈っていきます。刈り倒してもすぐに運び去らないと,作業は進みません。ですから,このシノ刈りは2人一組の作業となります。一人が刈り取り,もう一人が運び出すのです。
このような急斜面を刈らなければならないこともあります。高速で回転する刃を持つ機械を操作しながら急斜面を上り下りするのは,やはりいざというときのことを考えると大変気を遣います。
木を切り倒すところは,きれいにシノを刈ります。そして,空いたスペースに木を倒していきます。倒したら細かい枝を切り,太い原木にできるところを一定の長さに切りそろえます。
切りそろえた原木は,道路近くのがけの上から落としていきます。
もちろん,この作業は人力で行います。山の中は車が走れませんので,手で運ぶか使えても一輪車ぐらいです。
がけから落とした原木をこうして積み上げ,トラックで作業上のある自宅に運びます。原木の積みおろしはもちろん手作業。生木なので,結構重いのです。
チェーンソー,草刈り機,トラックなどを使っても,どうしても人手が必要になります。椎茸栽培は,この山仕事を低賃金でやる中国人にもってこいの仕事かも知れません。
木を切ったりシノを刈ったりして,里山を守っていることになるのでしょうか。
里山はクヌギ山であったり,栗が生えていたりしますが,里山が維持されていた昔,人々の生活は山の資源を生かしていました。つまり,たきぎを拾い,落ち葉を集めて肥料にし,という具合です。里山には人の手が加わっていました。手を加えたから,カシなどの常緑樹が広がらなかったのです。カシなどの常緑樹が広がると,もうクヌギやクリの木は育ちません。
人が手を加えた自然は,人の手を加え続けなければ維持できません。
今回,たくさんのクヌギを切りましたが,他にクリ,ウルシ,カシなども切りました。シノもたくさん刈りました。それで,落ち葉のたくさんつもったフカフカの地面が出てきたのです。そこには,小さな木の芽をたくさん見つけることができました。私たちが手を入れることで,それらの木々が光を浴びて育つことができるようになったのです。
それに,クヌギは再生します。切り株から,新しい枝が出てそのまま育つことが結構あります。
8〜15年ほどで原木に使える立派な太さになり,再利用が可能となります。クヌギ山を切るときに,ちゃんとローテーションを組めば,クヌギはなくならないのです。かえってクヌギが育つのに邪魔になるカシなども一緒に切るので,クヌギにとってはありがたいわけです。
こうして,日本の椎茸は,日本の里山維持に貢献しながら栽培されています。
みなさん,よろしかったら国産の椎茸を食べてみませんか。焼いてしょう油をかけるだけでも美味しいですし,マッシュルームの代わりにビザに載せてもいいです。オリーブオイルでニンニクを炒め,賽の目に切った椎茸とにんじん,タマネギを加え,コンソメとチーズで煮込むと美味しいスープになります。
みなさんの食事で,日本の里山が少し手入れされるかも知れませんよ。
ところでみなさんは,2つの木の幹を見て,違いが分かりますか。
最初に載せた方,縦長の物はあまり良い原木にはなりません。後の方,横長の物の方が良い原木になります。
良い原木は,やはりクヌギの木です。良くないのは,クリの木です。しかし,サクラとかカシでは,椎茸の原木として不適です。クリでも育つことは育つのですが,できがあまり良くありません。
クヌギとクリでは,クリの方が表面がきれいです。しかし,もっときれいな木があります。それは,ウルシです。ウルシの木の表面はきれいですよ。でも,人によってはウルシオールにかぶれてひどい目に遭います。
我が家のビニールハウスで,椎茸が栽培されています。手前は,ウメの木です。
ウメの花がさく頃,原木を山から切り出し,菌を植える仕事をします。ウメの花を見たとき,そのような作業をしている農家がいることを知ってもらえると嬉しいです。
驚き! 枝が霞ヶ浦浄化に役立つ!
切った枝で,細くて原木に使えない部分があります。葉のつく小枝の先です。
最近,それを有効活用する道が開かれました。
束にして,霞ヶ浦の湖岸に沈めるのです。
それで人工的な浅瀬を作り,魚などが住みやすい条件を作ります。
椎茸組合のみなさんは,その話を聞いて枝を束にして引き取ってもらうことにしました。
一束15kgあたりわずかな額ですが,お金も出るので作業する方も助かります。
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