流水の働き(小4→5)で大地の変動を
1 大地は変動する
この「流水のはたらき」で何を教えるか,ずいぶん悩んでしまった。流水の三作用(浸食・運搬・堆積)を教えればよいのかと思ったが,どうもスッキリとしない。流水実験をやっても,ピンとこない。
そこで,単元の途中から,「そうだ,中3でやってた『変動する大地』をやればいいんだ」と思い立った。昨年度まで中学にいた私は,このプランの良さを知っている。受験を目前にした中学三年生が,自分の頭で考える喜び,「動くこと山の如し」を実感できた感動,そんなことがあった単元だ。小学4年生にだって,好感を持って受け入れられるに違いない。
そう思い,実践した。
文献は,左巻健男編著『新中学理科3年の授業』(民衆社)である。その中の「地層と地殻変動」の項。鈴木邦夫さん(埼玉科教協)の原稿である。
授業の中で,ここにある図を利用した。
大地のすべては,変動の歴史的産物である。低地は元々低地であったわけではない。大地も同じ。流水のはたらきでできたのだ。海岸の砂も,もとからあったのではなく流水のはたらきでできた産物だ。
茨城の鉾田町(霞ヶ浦・北浦の北にある)は,縄文海進でできた低地,下末吉海進でできた台地でできている。それは,坂道を上る,下るということで行き来できるから,非常に分かりやすい。自分達の土地を意識させながら,この学習を進めていきたい。
なお,教科書の写真や地図帳などを活用しながら,流水実験(教科書)と現実の地形(地図帳)を結びつけながら学習を進めることにした。
2 授業の様子 4年生でも大丈夫
(1)平野のできる条件 沖積平野
日本列島レリーフ図(別添)を配布し,平野に青で色を塗らせる。
「平野はどんな条件のところにできるのでしょうか。」
課題を提示してノート作業をさせたが,ほとんど考えつかない。
・山じゃないところ(山じゃないから平野なんだ!と否定される。)
・まわりの方
・海の近く
という意見がかろうじて出された。しかし,検討するとすぐにぼろが出る。
「では,確かめてみましょう」と言って,「日本のまわりは全部平野で山地はないか。」「日本の海の近くは全部平野で山地はないか。」と調べさせる。
よく見れば,三陸海岸は山地,リアス地形である。海の近くに平野があるわけではない。
全部の意見がOUT!となったときに,「川があるんじゃないか」という意見が出された。図や地図帳で「平野には川があるか」を調べさせる。ひたちなか市に那珂川,波崎町に利根川が流れていることもわかる。
川が平野を造ったらしい。
(2)本当に山は削られているか
教科書の写真で上流の様子と下流の様子を見せる。上流の山には谷ができ,下流には三角州ができる。
「山はけずられているか。」
・削られていたとしたら,山がなくなっちゃう。
という意見に対し,
・雨の後のグランドの土は,削られていた。
・山が削られるから,谷ができる。
・上流には大きな石がたくさんあるけど,下流に行くと小さくなる。石だって削られる。
という意見が出てきた。
資料「川の浸食量と堆積場所」(別添)の冒頭部分を読み,毎年わずかに削られていることを知らせる。ただし,年数が重なれば,目に見えるようになることを示す。
<たしかになったこと>
けずられていた。でも,0.5mmしかけずられていない。見ただけではわからない。でもけずられている。少しの雨ではけずられていないと思う。
1年 0.5mm
10年 5mm
100年 5cm
1000年 50cm というふうだ。 (志穂さん)
「先生,1000年後,本当に山が低くなったか見てみたーい。」
「うん,じゃあ,体に気をつけて長生きしろよ。」
(実際は,浸食されても隆起するので,低くならない。)
(3)川が平野を造った
平野はいわば川が造ったことを確認し,課題を出す。
「平野は水面のように平らか」
・平野というからには平ら。
・山じゃないから平ら。
・学校に来るときに,坂があるから平らじゃない。
・校庭の土が,雨が降るとでこぼこになるから平らじゃない。
双方の意見が出るが,前掲の鈴木邦夫さんのプランでは,「でこぼこがある」という事を押さえ,「それらを台地と低地という」とまとめることになっている。
しかし,「川が平野を造った」を使って考えさせたいので,それ以外の意見を期待した。だが....出なかった。
「この授業をやったとき,別なクラスでは(中学3年)こんな意見が出てたよ。『平野が平らだったら,川が流れない。かたむいているはずだ。』この意見はどうかな。」
この意見に納得する子ども達は多い。
資料 沖積低地の作り(別添)の図の部分だけを見せて,斜めになっていることを確かめる。
「川が流れていないと,平野は造られていない」という意見や,「近くの鉾田川がどうして流れるのか分かった。」「鉾田川はゆっくり流れるから,ほんの少しだけ傾いているんだ」「平らだったら水がたまって,洪水になる。」という意見も出た。
この課題が,次に生きる。
(4)平野は海だった
「平野の土は,どこで積もったか。海(水中),川(陸上)」
・見当がつかない。なぜなら,川に積もると川がなくなってしまうかもしれないし,海に積もっても海がなくなってしまう。
・陸。平野は川が造ったから,川で積もった。
・陸。三角州があるのだから,川の下流に積もった。
・陸。海に積もったら,魚の住むところがなくなって大変。
・海。川に積もっても,流れているので少しずつ流される。
・海。流れていないから,積もる。
・海。川に積もったら,川が流れなくなってしまって大変。
・海。川は斜めで流れているから積もらない。海は平らなので流れていないから積もる。
すんなり行くと思いきや,双方譲らない。
ななめにした板の上に砂をのせ,下に水そうを置く。
どちらが海で,どちらが川かを尋ねる。
すると,板の方が川で,水そうの方が海だと答える。
上から水を流し,どちらに砂が貯まるかを調べる。これで,海に積もるのか川に積もるのかが分かる。
もちろん,砂は下の水そうに貯まるのだが,それを不安そうに見ている子どもがいた。当たり前といえば当たり前の結果なのだが,よく分からないみたいなところがある。
ここでは,もっと分かりやすい正確な実験を示したい。前掲書では,化石で確かめることを引き出して,「陸地に貝化石が出るから,海で堆積した」とまとめる。このまとめの仕方も,良いと思う。
*ここの決着の付け方を,教えていただきたい。
海で堆積したことをはっきりさせるが,それでは終わらない。
「さて,平野は海で積もった物が陸になってできました。では,あなた方の住んでいるのは,低地か台地ですね。それじゃ,みなさんの住んでいるところは,昔海だったことになりますが,それで良いですか。」
と,念を押す。
自信を持って海だと言えるか,手を挙げさせる。これは,挙げる子がほとんどである。
「科学者達は,次のように調べています。
低地のところは,6000年ぐらい前は海でした。旭町,横町の鉾田川の近くは海でした。
台地はどうだったでしょう。6000年ぐらい前は,陸でした。でも,12万年前にさかのぼると,海だったことが分かっています。台地の桜本も西台も,それぐらい前は海だったのです。」
このように説明し,付け加えさせた。
(5)川の蛇行
川が曲がっている様子を図に書く。内側と外側では,どちらの方が安全かを問う。
内側の方が安全,外側はけずられるという意見が出て落ち着く。
ただし,外側がなぜ上流でもないのに流れが速いのか,という疑問が出されて解決しない。
この課題は教科書にはあるが,あまり深入りしたくない。
蛇行するという事実を教えた方がよいと思う。
例えば,河岸段丘なんて,川の蛇行が分からなければ,巨大な川を想像してしまう。
外が削られる,蛇行すると教えよう。