注釈「小説 ザ・外資」(高杉 良 著、光文社)

 

1)この小説は、内容が大きく3つに分かれる

第一部は、主人公の西野健雄が米国の投資銀行「ダイアモンド・ブラザース(DB)」(ゴールドマン・サックス)に勤務していて、合併話の「トロフィーディール」(大型案件)を纏めあげたが、その案件を上司と上司のお気に入りに横取りされる話である。

結局、主人公はこれでDBに嫌気がさして退職し、たまたまジョギングしていて知り合

ったマイケル・パターソンに誘われて、彼の東京支店に役員として入社する。

 

第二部は、この東京支店で扱っている「ヴィクトリア債」というものが、ハイリスク・ハイリターンのデリバティブの私募債であるにも関わらず、元本保証として大々的に売り出しており、巨額の資金を日本企業から集めている。この詐欺を知った西本は、入社後僅か10日にして同社を退職するが、やがてこのヴィクトリア債券は紙屑と化し、日本企業約70社、約1300億円の損失を惹起する。

 

第三部が、長銀の破綻と、その再生のために外資が乗り出してくるが、「瑕疵担保条項」というのをつけさせられる。これは譲渡時以降に、貸出債権が20%以上不良債権化したら、

簿価で預金保険機構が買い取る、という恐るべきもの。現実にそごうデパートが債権放棄を依頼して再起を図ったとき、この再生銀行のみはそれに応ぜず、不良債権として簿価による買取を要求した。

 しかし、その金額が約1000億円の巨額になるために、世論が納得せず、結局、そごうは債権放棄を依頼しての再生は諦め、民事再生法による再生に切り替えた。

 

 この、そごう事件で外資のあくどさが表面化したが、今後とも、この瑕疵担保条項は、不良債権が顕現するたびに、国税で外資から買い取りつづけることになる。

 

2)注解

「小説 ザ・外資」で、事実を扱っている個所について注解をつけてみよう。

小説片手に、注解を楽しんで、おくれやす m(__)m

 

.10 5行目 「ヴィクトリア・エコノミクス・インターナショナル・リミテッド」

       ――>「プリンストン・エコノミクス・インターナショナル・リミテッド」

同上     「マイケル・A・パターソン」――>「マーチン・アームストロング」

P.10 7行目 「グレース証券」――>「プリンストン証券」

P.11 7行目 「ダイアモンド・ブラザース」(DB)――>「ゴールドマン・サックス」

P.13 4行目 「東邦長期信用銀行」(東長銀)――>「長期信用銀行」(長銀)

P.13 9行目 「日本産業銀行」――>「日本興業銀行」

P.13 10行目 「光陵銀行」――>「旧三菱銀行」

同上     「住之江銀行」――>「旧住友銀行」

同上     「芙蓉銀行」――>「旧富士銀行」

P.22     「MOF担」とは「MOF」つまり旧大蔵省を担当する者のこと。 

P.30 8行目 「ラクレル」――>「ヤクルト」

P.30 9行目 「熊野副社長」とは副社長の熊谷直樹のこと。

P.33 左から3行目 「吉岡」とは、小説上では、「グレース証券東京社長 吉岡明」。

       実際は、「クレスベール東京会長 瀬戸川 明」のこと。

P.35 4行目 「ACB(朝日中央銀行)――>「第一勧業銀行」

P.35 5行目 「総会屋利益供与事件」とは、1997年大物総会屋小池隆一に対して

       第一勧銀が117億円に及ぶ不正迂回融資を行っていたことが判明。副頭

取、常務など計7名が逮捕され(1997年6月)、元会長宮崎邦次が縊死

した(同6月)。

同上     「丸野証券」――>「野村証券」。実は、この小池隆一に対し、野村証券は

       1991年の株主総会を乗り切るために、元社長酒巻英雄が弟が経営する

会社を使って、合計6回、約5千万円の「損失補てん」を行った容疑で、

酒巻社長や元常務が逮捕された事件がある(1997年3月)。

P.35 最終行 「シチズン・バンク」――>「シティ・バンク」

P.36 最終行 「グレース証券」――>「クレスベール証券」

P.37 終りから3行目 「ヴィクトリア・グレース・グループ」――>「プリンストン・グループ」

P.39終りから7行目 「熊野晴樹」――>「熊谷直樹」

P.177 終りから3行目 「山三証券」――>「山一証券」

P.199 終りから8行目「ヴィクトリア債」――>「プリンストン債」

 

P.199 最終行 「パシフィック証券」――>

「リパブリック・ニューヨーク・セキュリティーズ・コーポレーション」

P.268 最終行 「サンライト電気」――>多分「アルプス電気」

P.274 4行目 「マンハッタン銀行」――>多分「チェース・マンハッタン銀行」

P.298 終りから3行目 「グレース証券事件」――>「プリンストン債事件」

    プリンストン債が支払不能に陥り国内企業約70社、約1300億円の私募債が

紙屑と化した事件。後日、損害賠償として支払われた金額の主なものは下記のよ

うな按配であった。                       億円

           中電工              123

                  群栄化学工業            98

                  アルプス電気            74

                  アマダマシニックス         60

                  アマダ               51

                  キッセイ薬品            35

                  山洋電気              33

                  アサツー・ディ・ケイ        22

             (以下省略)

P.305 終りから5行目 「住之江信託銀行」――>「住友信託銀行」

P.306 2行目 「極東債券信用銀行」――>「日本債券信用銀行」

同上     「北拓銀行」――>「北海道拓殖銀行」

P.314 終りから9行目 「スイス・ファースト銀行」――>「クレディスイス・ファイナンシャル・プロダクツ銀行」

P.316 3行目 MK(メロウ・キング)――>「メリル・リンチ」

P.319 7行目 「オンライン・ワールド社」――>不詳

P.321 7行目 「ウェーブス」――>「ムーディズ」

P321 8行目 「セントラル自動車」――>「トヨタ自動車」

P.330 終りから5行目 「AだのCだの」――>「第一銀行だの勧銀だの」

P.331 終りから5行目 「北原」――>不詳

P.332 10行目 「キャピタル・マネジメント社」――>「ロングターム・キャピタル・マネジメント社」

.332 終わりから4行目 「ふたりのノーベル経済学賞受賞者」

        ――>「マイロン・ショールズおよびデイヴィッド・マートン」

.332 終わりから3行目 「ルーブル危機」とは、98年8月、ロシアに大量の短期資金

を投入していた大手ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメント社が巨額の損失

を抱え、米国にも影響が及びました。債券相場やダウ工業株30種平均の下落を

招き、世界的な経済混乱の様相を呈した。

.337 1行目 「ジョエル・ランリネイ」――>「ティモシー・コリンズ」

.337 終わりから7行目 「アップルツリー・ホールディングス」――>「リップルウッド・ホールディングス」

.337 終わりから2行目 「ジョン・ワドリー」――>「不詳」

.345 3行目 「山崎義雄」――>「八代政基」

.345 終わりから5行目 「ミスター・マキタ」――>「槙原 稔」

.345 終わりから4行目 「光陵商事」――>「三菱商事」

.400 10行目 「ロバート・スタイン」――>「ポール・ボルカー」

.400 終わりから6行目 「イガワ」――>「今井 敬」

同上    「ヒロセ」――>「樋口廣太郎」

.404 9行目 「二月十日」――>「平成12年2月10日」

同上  「アップル・ブラザース」――>「ニュー・LTCB・パートナーズ・CV

 

 

P.417に出てくる役員名

   「山崎義雄」――>「八代政基」

   「ロバート・スタイン」――>「ポール・ボルカー」

   「井川 司」――>「今井 敬」

   「広瀬治雄」――>「樋口廣太郎」

   「牧田 勉」――>「槙原 稔」

   参考 http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/kak1/120307.htm

取締役     (経歴)                               BG TCCFR  

      八城政基   元エッソ石油取締役社長              ×  ○ 

      会長兼社長  元シティコープ・EVP、シティコープ在日代表、                               

             元シティコープ・ジャパン会長

            (非常勤)

      槙原 稔   三菱商事株式会社取締役会長   ×    

                           三菱自動車工業取締役

                       三菱電機取締役

                           東京海上火災保険取締役

                          IBM取締役

    樋口廣太郎  アサヒビール株式会社取締役         ×   ×   ×

             相談役名誉会長                   

             経済戦略会議議長

             経済団体連合会委員

      青木 昭   元日銀理事                            ×   ×   ×

             日本証券金融株式会社取締役会長

      今井 敬   新日本製鐵株式会社           ×    ×   ×
              代表取締役会長

             経済団体連合会会長

      森 秀文   前長銀副頭取                           ×    ×    ×

      山本輝明   前長銀参与                              ×    ×    ×

      ティモシー C.コリンズ   リップルウッド・ホールディングス             ×    ×   ×

                           最高経営責任者

      J.クリストファー      エンスターグループ社副会長       ×    ×   ×

                  フラワーズ

      小川信明   弁護士                                    ×    ×   ×

             前長銀監査役

      マイケル J.ボスキン/ スタンフォード大学教授             ×       

      ドナルド B.マローン/ ペインウエバー会長                  ×    ×    ×

      マーティン G.マックギン /メロン銀行会長                    ×     ×   ×

      デイヴィッド ロックフェラー/元チェース・マンハッタン銀行会長          ◎      

             Rockefeller Foundation

             The Rockefeller Brothers Fund

             Rockefeller familyFund

             Rockefeller Center Properties Trust

      シニア・アドバイザー

      ポール .ボルカー /元連邦準備制度理事会議長   ◎  ◎    

                     元チェース・マンハッタン銀行副社長

      バーノン ジョーダン/ラザード・フレール・アンド・カンパニー                 ×   

             マネージング・ディレクター 

                           American Express取締役

                           Bankers Trust取締役

                           Dow Jones取締役

                           J.C. Penney取締役

                           Union Carbide取締役

      ×/所属せず  ○ /メンバー   /幹部メンバー

            BG/The Bilderberg Group   

            TC/Trilateral Commission 

            CFR/the Council on Foreign Relations

P.417 7行目 「旭日ビール」――>「アサヒビール」

P.420 7行目 「内部登用の取締役2名」――>「森 秀文と山本輝明」

P.429 8行目 「そうごう」――>「そごう」

 

以上

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