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遭難現場での傷病者への対応は、ケース・バイ・ケースです。ここに記した対策は、原則的、標準的なものであり、無効であったり、症状を悪化させてしまうケースもあります。傷病者への応急手当は、専門の機関で講習を受けることで、より安全、確実に施せますので、受講をおすすめします。 講習は、おもな消防本部(消防署)で受けられます。詳細は、問い合わせ下さい。 |
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山でケガ人・病人が発生、または発見したら/出血を止める/ねんざ・脱臼の手当/打撲・骨折の手当/暑さによる傷害/やけど/他
「山と渓谷」2000年1月号特集「安全登山宣言」中の記事「初級・救急救命法」(指導=東京消防庁多摩消防署救急隊)などをもとにして再構築したものです。救急法については、新たに(財)東京救急協会に指導・監修していただき、カミナリ対策に関しては、北川信一郎(元埼玉大学教授・理学博士)氏に監修していただきました。 *営利や営業活動に利用するのでなければ、本冊子の複写を認めます。 |
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山でケガ人・病人が発生、または発見したら
1.現場の安全確認 応急手当は、原則的にその場で行う。傷病の原因によっては、動かしてはいけない場合(低体温症など)もあるからだ。しかし、上部からの落石の危険があったり、足元が非常に不安定で、傷病者・救助者ともに、そこにとどまることが危険な場合は、安全な場所に移動させる。 その際、傷病者がなるべく楽な体位を、維持する努力をする。 転・滑落などで、現場に近づくことが危険な場合は、二次遭難になるので、むりに近づこうとしないで、なるべく早く、救助を要請することを考える。 2.明らかに命に別状のない傷病の場合 (ねんざ、少量の出血など) 応急手当を施す。 山小屋や、人家などに移動困難な場合は、無線や携帯電話、第三者への伝言依頼などで、救助を要請する。 連絡手段がない場合は、傷病者の保温(日射病などは除く)に配慮し、食料、水分の補給がしやすいように整えてうえで、救助を呼びに行く。行動可能なものが複数いる場合は、ひとりは現場にとどまり、傷病者の安全に配慮する。 3.重い傷病者の場合は、意識、呼吸、出血の程度などを確認して、救助要請 |
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倒れている人を発見!
(事故現場の安全確認と傷病者の安全確保。大出血の場合はすぐに止血) 1.意識をしらべる。
意識確認 片手を額に当て、倒れている傷病者のまぶたを注視する。わかれば傷病者の名前、わからければ「もしもし」など、傷病者に呼びかけながら、もう一方の手で肩をたたく。呼びかけに対して、傷病者のまぶたがぴくぴくと動けば、意識がある物と判断して良い。また、額に当てた手では、傷病者の体温を確認する。 4.異物を取り除く
異物除去 嘔吐物によって、倒れている人の気道がふさがれる場合がある。手の親指と人差し指を交差させて、口を開く、もう一方の手にガーゼやバンダナなどを巻き、口のなかをふき取るようにして異物を取りだす。この際、異物をのどのほうへ逆に押し込まないように注意する。 5.気道確保・呼吸を調べる
気道確保、および呼吸観察 片手全体で額を押さえ込み、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先に当てて、あごを引き上げる(後頭部を背中につけるようにして、頭を回転させるようなイメージ)。気道確保したらイラストのように自分の顔を近づけ、目は傷病者の胸の動きを見て、耳は呼吸音を聞き、頬で、吐きだされる息を感じるようにして、5秒間呼吸の有無を確認する。 |
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7.人工呼吸
人工呼吸 気道確保し、額を押さえている手の親指と人差し指で鼻をつまみ、鼻孔をふさぐ。大きく息を吸い込み、相手の口を自分の口で完全におおう。1.5〜2秒をめやすに、静かに息を吹き込んだあと顔をはなし、傷病者の胸と腹の動きを観察しつつ、はき出される息で気道確保を確認。確認後、息をもう一度吹き込み、その後、5秒に1回の割合で吹き込む。 |
8.脈を調べる
脈拍観察 頸動脈に指を当てて、傷病者の脈拍を調べる。人差し指と中指の2指をのどぼとけの上に当て、肌に沿わせながら、2指を自分の方へ軽く下げる。指先を傷病者に軽く押しつけるようにすると、指先に脈拍を感じやすい。そのままの状態で5秒間、肌に脈拍を感じなかったら、脈拍がないものと考える。 |
10.心肺蘇生
心肺蘇生 人工呼吸後、脈がない場合は、心臓マッサージを行う。片方の手のつけねを胸に当て、さらに、もう一方の手の指がたがいちがいなるようにして上から重ねる。指先が肋骨に当たらないように指先を上にそらせる。両肘を曲げずに、傷病者の肋骨に対して垂直真上から圧迫する。胸が3.5 〜5cm下がる程度で、1分間に80〜100回の早さでリズミカルに圧迫し、心臓マッサージ15回、人工呼吸2回の割合で行う。 |
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傷病者の体位 傷病者は、原則として枕をさせないで水平に寝かせる。これは、全身の筋肉などに無理な緊張を与えないためである。そして、シャツのボタン、ズボンのベルトなど、体をしめつけているものをゆるめる。 |
顔色がひどく蒼白なとき
ザックなどの上にヒザから下をのせ、足のほうを30cmぐらい高くして仰向けに寝かせる(足側高位)。しかし、頭、胸、腹、をケガしているときは頭を低くしてはいけない。また、この体位で寝かせると息苦しくなったり、痛みがひどくなる場合にも、水平に寝かせる。 |
顔色がひどく赤いときや、呼吸困難、頭や胸に外傷があるとき
上体をかるく起こすように寝かせる。アゴは少し上げるようにしておく(半坐位)。この半坐位は、脳血管障害にも適している。 |
腹部の外傷や腹痛があるとき
膝の下にザックなどを入れて膝を立て、背中の上部から頭にかけて、ザックなどを利用して、少し高くする(膝屈曲位)。 |
食べ物を吐いているときや、背中にケガをしているとき
腹這いにさせて、顔を横に向ける(腹臥位)。 |
嘔吐、および意識不明のとき
気道確保が必要なときは、手の甲にあごをかるく突き出すようにのせる(昏睡体位)。 |
| 注 意 心臓マッサージや人工呼吸などは、練習しておかないと、的確に施すことはむずかしい。事前に講習を受けておきたい(上覧「おことわり」参照)。また、救急救命法には、いくつかの考え方がある。今回は、(財)東京救急協会の指導による方法を紹介した。さらに、血液や唾液などに直接ふれると、感染症にかかるおそれがある。傷病者との直接接触をさけるラテックス製の手袋や専用の人工呼吸マウスなども発売されているので、それらの携行がのぞましい。 |