巡り狂う物語(3章)
●2002/07/15 Mon めぐり狂う物語21
ぼくの憂鬱は収まることはなかった
少しでも、気分を晴らすために
キプロス島に向かった
そこで、ぼくは親切なジャーナリストにあった
正確に言えば、親切そうな、自称ジャーナリストだ
そして、イスラエル人だ
(パスポートをみたから
間違いないだろう、おそらくは)
「そんな悩むことはないさ」
そのジャーナリストはぼくに言った
「世の中にあるのは嘘と偶然だけさ、
問題もなければ、理由もない」
それを聞いたとき
ぼくはすこし気分が楽になった気がした
●2002/07/21 Sun めぐり狂う物語22
ぼくは、聞いてみた
「ジャーナリストの使命ってなんですか」と
イスラエル人の、そのジャーナリストは
驚いた顔をして、答えた
「いい、使命感っていうものは重く考えてしまってはだめよ」
「使命感っていうものに縛られてはだめ、
利用するものなのよ、」
「モグラの穴みたいにね、
前々からそこに存在しているいたのよ、って顔をして
こっそり作り上げるの」
「で、誰かに与えるの、
その人はたぶんきちっとその使命感を大事にするでしょうね
でもね、自分はそんなと無縁に生きちゃうのよ。
私の言ってる意味わかるかしら?
あなたの質問に答えたない気がするけど・・・」
「たぶんね。だまされてはいけないということかな。」
「少し違うわね、
ねえ、これから、イスラエルに行って
内戦の取材をするのよ、ついてこない、
そうすれば、私の言いたいことがわかると思うの」
と彼女は言った。
もちろん、ぼくには断る理由がなかった。
●2002/09/17 Tue 巡り狂う物語23
イスラエルに着いた
ぼくは彼女の取材に付き合って
いろんなところにいって
いろんなものをみて
いろんなハナシをきいて
いろんなことをかんがえてみた
あるとき、彼女は言った
「ねえ、知ってた。世界には60億人もの人々が住んでるのよ
でもね、この世界を動かしているのは、
きっと、100万人にも満たない人たちなのよ
私の言うことに、あなたは、
いろいろと反論がするでしょうね。
こんな考え方にはね。きっと。
でも、いいか、わるいか、知らないけど、
それが、民主主義だと思うのよ。」
ぼくは、何も言い返さなかった。
何か言えば、それが、すぐに、灰になってしまいそうな気がして。
●2002/09/22 Sun めぐり狂う物語24
ジャーナリストの、その彼女は
しばらくここに残るといった
でも、ぼくは、ここにいて
主義とか平和とかばかり考えたくなかった
何が正しいのかわからなった
もちろん、正しいものなんてないのかもしれない
でも、正しいものなんてないという考え方に
染まることもできなかった
ぼくの悩みを聞いて
ある戦争「カメラマン」が言った
ぼうや、とにかく、見るんだ
見ることが大事だ
何よりもそのものに対して目をそむけずに見るんだ
見ることでしかわからない
じっと見ろ
じっくり見ろ
●2002/10/02 Wed 巡り狂う物語25
ピカソは言った。
理解されるというのは
誤解されることだ、と。
でも、それは、我々から言わせれば
ちょっと違うふうになる
その戦争カメラマンは言った。
理解できないから
誤解する
理解できないなら
判断するんだ
てなふうにな。
ぼくは少しこの世界が
わかった気がする。
●2002/12/03 Tue 巡り狂う物語26
ぼくはイスラエルの地をさった
ジャーナリストの彼女は言った
「あなたは自分に言い訳している」って
ぼくは言い訳した記憶なんてなかった
そのことを彼女に言うと
「あなたはいつも何だか自分だけわかった気になって
いつのまにかどこか遠くに逃げているの
そして、そのことにいつも自分が悩んでいるの」
「あなたは、探したいものを見つけるために旅にでたのよね?」
「そうだと思うよ」
ぼくはもうほとんど目的を失っていることに気づいた
●(追加) 巡り狂う物語27
目的なんてどこにもない
幸せなんてどこにもない
正義なんてどこにもない
夢もなければ欲望もない
あるのは現実
でも、それすらない
何があるんだ
この世界に何があるんだ
ぼくは何も考えられぬまま
飛行機に乗り込み
インドに向かった
そして、そこで旅を終わらせえることに決めた
特に理由もないし、
理由なんてどこにもないから
●2002/12/08 Sun 巡り狂う物語28
インドの街並みをねりあるく
生と死が混在する街
誰もがここに来て
何かを見出していく
でも、ぼくは知っている
そう何かを感じるために
インドに来た友人が
何か大きなものを感じて
戻ってくることを
そして、その感じたものが
何か分からないほど
依然と同じ生活をしていることを
ぼくにはわかっていた
彼女がぼくに伝えたかったことが
●2003/01/13 Mon 巡り狂う物語29
ぼくは片一方だけ
睫毛の長い女性にあった
彼女は言った
「あなたはきっと言うわね
なぜ片一方の睫毛だけ長いんですかって
そして、なぜ、両方の睫毛の長さを
あわせないんですかってね」
ぼくはずっと見つめられていた
視線をそらし
その女性の後ろになる河を見ていた
「変わるものと変わらないもの」
彼女はつぶやいた
ぼくはその後につづけて言った
「変わることのできるものと
やっぱり変わらないもの」
●2003/01/20 Mon 巡り狂う物語30
ぼくは河を見ていた
生と死が混在する河だと人は言う
でも、ぼくにとって
それはどうでもよかった
中学校のころだったと思う
ぼくはいつも通ってる電車の
下に通る河を見ていた
そして、あるとき、何かに駆られるように
河を見たくなった
ある日、途中下車して
河を見に行った
駅から思ってたより遠くて
で、たどり着いたとき、
もう夕方だった
でも、逆にそれがとてもきれいだった
なぜだっかわからない
ぼくはその風景につかまれたあと
ふと、立ち上がって叫んでみた
だから、何だっていうんだ!
ガンジスを見ながら
そのときの光景を思い出した
ぼくはまた立ち上がった
だから、何だっていうんだ!
ぼくの声は一瞬人々の視線を集めた
しかし、そのあとは、また、日々の喧騒が
ぼくは思う
何があったって
何がなくたって
ぼくらは巡ってゆく
めぐりめぐりめぐりめぐり
狂想の煙幕を張るんだって
完