声にならない声で


 
 それから僕は息を殺し、じっと耳を澄ませる。そしてそこにあるはずの小さな声を聞き取ろうとする。水しぶきと、音楽と、人々の笑い声の向こうに、僕の耳はその音のない微かな響きを聞く。そこでは誰かが誰かを呼んでいる。誰かが誰かを求めている。声にならない声で。言葉にならない言葉で。


                                           『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹


 初めに断っておきますが、「声にならない声」というこのHPのタイトルは、ここから引用したものではなく、自分でふと考えたものです。当初、このHPのタイトルを何をしようかと迷ったとき、ぼくは「言霊」というタイトルにしようかなと考えてました。でも、「言霊」というタイトルでHPを作ろうとしたら、すでにその名は使われているらしく、使用できませんでした。で、「言霊」という言葉の持つイメージに近いものをということでく思いつく言葉をいじくって思いついたのが、このHPのタイトルになっている「声にならない声」というわけです。しかし、いま、振り返ってみると、「言霊」より「声にならない声」のほうが、どことなく意味深でいい感じですよね。そう思いながら日々過ごしたのですが、トルコ旅行中の読書タイムで村上春樹の小説に同じ表現を見つけ、やっぱ、このタイトルはステキだなて再確認している今日このごろです。みなさんは、どう思います??


(評)ちなみに、この「ねじまき鳥クロニクル」はあの福田和也が「作家の値打ち」で大絶賛した本で、村上春樹の代表作のひとつです。で、内容はというと、一口で説明できないのですが、僕なりに解釈すると、蒸発した奥さんを、日常の裏側にある声にならない声を探すという物語です。とにかく、難解です。だって、まったく現実的でないからね。でも、現実の世界と全く違う次元の世界のものがたらかというとそうでもないんですよ。うーむ。


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