有機分子を利用した光って??
城戸先生の研究テーマは有機EL。つまり特殊な有機分子が発する光を利用して次世代ディスプレイを開発しようというものです。
この有機ELの特徴は、薄い膜が直接発光する点にあります。
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これがフィルムの基板を利用して光らせたもの。ホタルみたいできれいですよね。 |
例えばフィルムの基板を利用すると、薄いペラペラの光るモノもつくることができます。
そして、この原理を応用すれば、極めて薄い壁掛けテレビなどが実現できるのです。
見せていただいた有機ELを使ったディスプレイ(5.5インチ)は、厚さ、たったの1.5ミリ!フルカラーで信じられないクッキリさ!!従来の液晶ディスプレイではつくりえない薄さであんな高画質を実現させるとは、、、、ただただ目を丸くしました 。
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これがそのテレビです。確かに超薄型だけどフルカラーでしょう??
常識を超える薄さにただただビックリなのでした。
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**現在使われている液晶ディスプレイの場合、
・表面の赤・青・緑の色のついたフィルターに後ろから蛍光灯で光を当てて光らせるという仕組みのため、装置にはある程度の厚みが必要
・斜めから見ると見にくくなる(注:最近は一部改善されているものも出回っている)
という弱点があるが、有機ディスプレイの場合、薄いというほかに、斜めから見ても画面はよく見えるし、その膜自体が光るため色のコントラストがはっきり見えるメリットもある。
どうやって光っているの?
光の元となる有機分子は紫外線を当てると蛍光に光る性質をもっています。
1、赤や青、緑などの有機分子の薬品を組み合わせ、新しい色を作り出す。
(分子モデル図、つまり設計図を書き、それに従って薬品を混ぜる。加えるタイミング、濃度、温度の微妙な違いよって濁って光ったり、全く光らなかったりすることも)
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これが有機分子の薬品です。紫外線に当てるとご覧のように光ります。カラフルできれいですよね(^^)。写真が黄色いのは元からです。薬品を保護するため、部屋全体が黄色い照明になっているのです。 |
2、この有機分子を電極のついたガラス板の上に乗せて均一に伸ばす。
(刷毛だとデコボコになるのでガラス板を回転させてのばしている。薄さは0.1マイクロメートル)
3、この膜に、電極を取りつけ、電圧をかける⇒明るく発光
(電極に挟まれた有機分子の膜には、陰極から電子が流れ込み、もう一方の陽極からはホールと呼ばれる、いわば電子の抜け殻が流れ込む。この二つが結合することで生じるエネルギーが光となる。)
有機分子の組み合わせは無限だと城戸先生はおっしゃいます。
ひとつの有機分子が出す光の色はあらかじめ決まっていますが、複数の有機分子を合成して新しい分子を作ることで様々な色の光を作り出すことができるのです。
現在、実用化されているものだけで何百種類もあるそうですよ。
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有機分子を組み合わせるのは頭の中。そして机に向かって設計図を書き→実験という流れになっています。これはその設計図にあたるものです。 |
世界で初めての発見、はじまりは偶然から
13年前、アメリカで緑色の光が有機ELで実現して以降、世界中の研究者がよりきれいで明るい光を出す有機分子を見つけようと取り組んでいました。赤や緑はすぐに誕生しましたが、どうしても実現できない色がありました。
それが、白でした。
8年前、城戸先生の研究室では赤い光を出す有機ELの膜の研究をしていました。
いくつかの色を合成した溶液に赤色の有機分子を入れると赤く光るはずでした。
しかし、その実験の途中、たまたま赤色の有機分子が足りなくなり研究室の学生は仕方なくそのまま実験を続けました。
ところが、完成した有機ELの膜を光らせてみると、突然それは白く光ったのです。
調べてみると、青色と緑色の有機分子にごく微量の赤を混ぜることで、有機ELは白く光ることがわかりました。
白色光は、照明に使われるなど非常に利用価値の高い重要なもの。世界中の研究者が探していた白を城戸先生が発見した瞬間です。
城戸先生の実現した白い光を使えば紙のように薄い照明器具を作ることも可能です。現在の蛍光灯は水銀を使っているので環境に悪影響を及ぼす可能性がありますが、有機ELは環境にも優しい。城戸さんは世界中を有機の光で照らすのが夢だとおっしゃっていました。
次世代ディスプレイの実用化
有機ELを使った次世代ディスプレイが普及する鍵は消費電力をいかに下げるか。城戸先生は、その画期的な方法を3年前に開発しました。
その方法とは、有機ELの膜の一部にリチウムという金属を混ぜることです。
そうすることで電流が流れやすくなり、従来のものに比べて10倍明るく光ることがわかりました。
この方法を使って消費電力を大幅に減らすことができれば、有機ELの実用化は大きく進むと城戸さんは考えています。
携帯電話のディスプレイやデジタル腕時計は今年、来年にも(アメリカでは一足早く実用化済み)テレビは3〜5年の間には本格的に実用化されそうです。
ディスプレイの革命が起きるのも、もうすぐそこのようですよ。
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