取材日記vol.12

NHK教育「サイエンス・アイ」 01年5月放送中止

取材日:3月12日

場所:東京慈恵会医科大学・高次元医療画像工学研究所

 

手術シミュレーションで医療を変える

 21世紀の外科医療に大きな革新をもたらすという研究が始まっています。
最先端の画像処理技術で手術のシミュレーションに挑む研究者、東京慈恵会医科大学・高次元医療画像工学研究所所長、鈴木直樹助教授を訪ねました。


 鈴木さんは、コインピュ−ターを医療に応用しようという研究に日本でいち早く取り組んできました。今も日本の医療技術は非常に発達しています。が、その先の次世代医療を研究しているのです。

 現在の診断:
MRIと呼ばれる磁気を使った身体の内部をちょうど輪切りにしたように撮影することができる装置で身体の断層写真を撮影して診断に利用。

⇒⇒このMRIでとった写真を使って3次元の人体画像を作ろう!!


 3次元の人体

  そこで登場するのがコンピューター。
MRIで全身をくまなく撮影した400枚の写真を組み合わせ、コンピューター上に3次元の人体を再現させます。
それぞれの臓器の大きさや位置などを1o単位で正確に再現。
さらに、内臓の一部だけを取り出して、中の血管の様子を克明に知ることもできます。

この画像によって、個人の身体の中を立体的に把握することが可能になるのです。

⇒⇒
身体の中を知る手段として診断に使える。
   患者さんの身体の中は一人一人違う。これを利用して治療にも使える。

 手術シミュレーションシステム

研究室では、3次元画像を使って手術シミュレーションシステムの実用化に取り組んでいます。
患者さんの3次元画像を相手に模擬手術を行おうというシステムです。

仮想空間で手術をするためには医者の細かな指の動きをとらえ、コンピューターの中に取り入れる必要があります。
そこで利用しているのがモーションキャプチャーと呼ばれる技術。

これがモーションキャプチャー
ロボットになった気分でした…。


腕や指に取り付けられたセンサーが位置や動きなどを正確に測定し、データとしてコンピューターに送り込みます。
これを使うと実際の動きが同じように仮想空間に反映されるのです。

このモーションキャプチャ−と3次元画像の技術を組み合わせて開発されたのが
手術シミュレーションシステムです

私も体験させていただきましたが、確かに、何かに触ってる感触があるんですよ、目の前には何もないのに!!

 このシステムを使うと模擬的に3次元人体を手術しているような体験をすることができ、実際には決してできない手術の予行練習をすることができます。
非常に難しい手術になる場合、前日にこれを使ってシミュレーションすることができれば結果として、患者さんの負担も軽くなり、手術時間の短縮にもつながるのです。

 研究の行方

鈴木さんたちは、2年前、ドイツのボン大学と共同で手術シミュレーションの実験を行いました。仮想空間にある1つの人体をドイツの医者と日本の医者が同時に手術しようという試みは成功に終わりました。

鈴木さんはおっしゃいます。
「こうした研究が進めば遠くはなれた場所にいる医師が学生を教えることや実際に手術することも可能になる。診断・治療・医学教育という医療の3本柱を変える可能性を持っている。
まさに21世紀の医療を変える研究。今後が楽しみです。
左側が鈴木先生です。

  

 あとがき

 手術シュミレーションのコントロールルームは、さながら宇宙ステーション。どうやら鈴木先生のご趣味らしいのですが、かなり未来を感じました。
 そして、、鈴木先生と組んでボン大学との共同手術に臨んだ外科医の先生小林先生は、実は私の父の担当医だったという事実が発覚!!何というご縁…。まさか父の担当医の先生とテレビで共演することになるとは夢にも思いませんでした。
 今回は、何とも特別な感慨を持たざるをえない取材となりました。

 

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