vol.14
NHK教育「サイエンス・アイ」 01年6月9日
取材日:4月日
場所:日本大学生物資源科学部
植物パワーで土壌浄化を狙う カドミウム土壌汚染濃度の基準が世界基準に引き下げられることが決まりました。カドミウムによる土壌汚染を植物を利用して取り除こうという研究が進めれています。 |
<カドミウム対策> カドミウムは重金属。分解されないため、一度土壌に入るといつまでも残ってしまう厄介な汚染物質。 〔これまでの対策〕 土を増やして薄めたり入れ替える。←根本的解決にはならない 〔長谷川さんの対策〕 植物がもともと持つ「吸収する能力」を活用し、土の中のカドミウムを吸ってしまおう! さらに、吸収した植物は抜き取るか刈り取るかし、それを燃やして灰にする。 灰からカドミウムを精錬回収すれば、再び利用可。リサイクルも出来る!! <これがミゾソバパワーだ!> 微量のカドミウムであれば吸収できる植物もありますが、濃度が高くなると、ほとんど例外なく枯れてしまいます。より多くカドミウムを吸収することができる植物はないのか、長谷川さんは6年かけて探しつづけました。 その結果 タデ科の植物「ミゾソバ」がカドミウムに強いことがわかりました。
〔実験〕 環境基準のおよそ370倍の濃度、3.769PPMのカドミウム溶液にミゾソバを浸して、一週間、温室の中で水耕栽培をする。 →ミゾソバは枯れることな順調に育った →水溶液の濃度が1.039PP、実験前の4分の1に減っていた 〔ミゾソバの問題点〕 1、葉や茎などに蓄えられる量が限られている。 2、生育時期が限定。春から秋のみ 〔考えられる解決策〕 1、より多くのカドミウムを吸収させるためには葉や茎が大きく育つ植物が有利。 2、季節ごとに次々と植える植物を替えることが出来れば、より早く土の中のカドミウムを取り除くことが出来る。 ⇒⇒カドミウムに強いスーパー植物を作ろう!! <遺伝子組換えでパワーアップ> 注目したのが遺伝子組換えの技術。それには、酵母菌を使います。 酵母菌にはカドミウムに対する耐性があり、体内にカドミウムが入ると特殊なたんぱく質を作って無害化するのです。酵母菌が持つメタロチオネインといわれるたんぱく質にはシステインというアミノ酸が大量に含まれていて、体内にカドミウムが入ってくるとカドミウムと結合し捉えて離さず、カドミウムは他の物質と結合できなくなるため、結果的に無害化されるというわけです。 長谷川さんはこうした酵母菌が持つ遺伝子を植物に取り入れようと考えました。 〔実験〕 1、からし菜に酵母菌が持つ遺伝子を組み込む。 →からし菜は成長すると葉が大きく育ち、水分などを大量に吸収し、また、地中に細く長い根を張り巡らせるため低い濃度の汚染の除去に適していると考えた。 2、普通のからし菜と遺伝子組み替えをしたからし菜を、それぞれカドミウム溶液に浸し観察 〔結果〕4日後・・・ 普通のからし菜⇒枯れた 遺伝子組換えしたからし菜⇒青々と茂っていた! こうした方法ですでに数種類の植物で遺伝子組み替えに成功しています。
<現状にモノ申す> 長谷川さんたちは、実際の農地でどのくらいのカドミウムの除去ができるのか実験を行いたいと考えています。 |