化学天気予報ってどんなもの?? 普通の天気予報の「ひまわりの雲画像」のような動きで、黄色やピンク、白といったカラフルな塊が西から日本付近に動いてくる画像でコンピュ−ター上にシミュレーションされています。(イメージ湧くかしら??)
そのカラフルな塊が飛来してきた化学物質を表していて、黄色は黄砂、ピンクは硫黄酸化物、白がススや一酸化炭素・・・というように、物質がそれぞれどのように飛来するのかこの画面を見れば一目瞭然となっています。(写真がなくてゴメンナサイ。コンピューター画面なもので・・・)
この他、ノックスと呼ばれる窒素酸化物や火山ガス、ラドンなど予報している物質は20種類。3日先までの移動を予想しています。
化学天気予報って何で必要なの??
鵜野さんが化学天気予報を作った目的は中国などの東アジア諸国の経済活動が日本の大気汚染にどれほどの影響を与えているかを明らかにするためです。
東アジアから日本に流れてくる物質の発生源は、工業地帯からの排煙、石油・重油・石炭など燃料の燃焼ガス、自動車の排気ガスなど。この中には、酸性雨の原因となる硫黄酸化物や呼吸器に悪影響を及ぼす窒素酸化物などがたくさん含まれています。しかし、これまで日本にどれだけの量がどのように運ばれてくるのかその実態はわかっていませんでした。
カギは黄砂
鵜野さんはまず、酸性雨の原因となる硫黄酸化物で研究を始めました。
東アジア地域で石油、石炭の消費量や車の台数などから硫黄酸化物がどこでどのように出ているのか詳しく調べ、このデータに気象庁が発表している東アジアの風や降水量のデータを組み合わせて硫黄酸化物の動きをシミュレーションしたのです。
結果、硫黄酸化物が大量に日本上空へ飛来してきている様子がわかりました。
しかし、この頃はまだ日本周辺に限定されたモデルで、アジア地域を考えた場合には自然から出る物質との相互作用を考える必要がありました。
予測精度を上げるには何が必要なのか。
鵜野さんが自然から出る物質の中で注目したのが黄砂でした。
中国内陸部では大量の黄砂が巻き上げられ、毎年2000トン以上が日本へ流れてくると考えられており、大気汚染物質に何らかの影響を与えていると推測したのです。
鵜野さんと共同で研究している国立環境研究所では特殊なレーザーを使って上空の黄砂の分布た動きを調べています。上空へ向けて発射されたレーザーは黄砂や硫黄酸化物にぶつかって反射します。その反射の強さや波長を計測することで上空の物質の種類や量を調べることができます。
調査の結果、上空に黄砂と硫黄酸化物が混じりあっている高度がありました。
この部分では黄砂と硫黄酸化物が化学反応を起こし黄砂の周りに硫黄酸化物がくっついた状態になっていると考えられます。
硫黄酸化物の移動の全貌を知るためには、この黄砂の流れを正確に把握しなければならないのです。
化学天気予報ついに確立
鵜野さんは、気温や湿度、風向きなどから黄砂がどのような条件で巻き上げられるかを計算し、モデルに加えました。
そして、2000年12月、化学天気予報がついに完成。
運用開始間もない12月31日、例年より2ヶ月も早く大規模な黄砂が発生し、日本へやってくるという予報が出ました。
早くも壊れたか??正直焦った鵜野さんたち。固唾を飲んで見守ります。
その結果は・・・
見事的中!!
2001年1月3日、予報どおり黄砂の大きな塊が日本上空に飛来していました。
さらに、予想していなかった物質の流れも浮かび上がってきました。
南から、一酸化炭素やススなどが流れてきたのです。
これまで日本への影響はないと考えられていたインドシナ半島などの焼畑によって発生したものだと考えられています。
こうした3つの流れが一気に日本上空へ流れ込んでくるという東アジア全体のダイナミックな化学物質の移動の実態が初めて見えてきたのです。
化学天気予報の可能性
今取り扱っている物質は20成分くらい。今後はオゾンなど100成分くらいの化学物質の輸送を正確に捉えたいと鵜野さんは考えています。
人工衛星や飛行機で観測したデータを取り込みながら、アジア域の大きなスケールでどういう流れがあるのかを、正確にモデルの中で表現して役に立てたい。
また、計算が複雑な光化学スモッグも、どこから流れてきたものかも含めて細かい分解能で正確なシミュレーションをしたいをおっしゃっていました。
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