取材日記vol.07

NHK教育「サイエンス・アイ」 11月11日放送予定

取材日:8月21・22日

場所:愛媛大学理学部生物地球圏研究科

 

地球内部を岩石から探る

 地球内部ではマグマやプレートなど様々な物質が活動していることはわかっていますが、その姿はまだ誰も見たことはありません。
 これまでは、地震の伝わり方や、噴火によって出てきたものを細かく調べることによって地下奥深くを推測してきました。しかし、ダイヤモンドを手がかりに地球の内部がどのようになっているのか、直接的に知ることができるというのです。
 研究を進めている、愛媛大学理学部の入舩徹男先生を訪ねました。


 地球の内部とは…?

 地球内部は卵にたとえられるように、薄い地殻とマントル、そして中心部の核からできています。マントルは地球の体積の8割を占めており、上部マントル、マントル遷移層、下部マントルという3つの連続しない部分に分かれていることがわかっています。
 地球内部の奥深くは高温超高圧。表面に近い深さ30kmの地殻とマントルの境目でもおよそ1万気圧。深くなるにつれ圧力や温度は増し、地球の中心付近では360万気圧、5000度にも達するそうです。
 
マントル構造

 ダイヤモンドで何がわかるの??

 ダイヤモンドと言っても、宝石のダイヤとはちょっと趣が違います。大きさおよそ2ミリ。宝石としては最も価値がない、中に混ざり物が含まれているものを用います。
 一般の人には価値がなくても、入舩先生にとっては宝物です。混ざり物の正体は地下のマントルに含まれていた岩石のかけら。高い圧力がかかったままの状態で残っているのです。
 どのようにしてこれらの物質ができたのか、そしてその地下はどうなっているのか調べることで地球の内部の謎の一端が明かされるわけです。

 実験方法 

 入舩先生は研究成果を実験によって確かめようと、地球奥深くの高温・高圧状態を実際に再現する装置「オレンジ1000」「オレンジ2000」を作りました。直径1mmの穴の中に、上下・左右・前後から均等に油圧で大きな圧力をかける仕組み。最高で40万気圧、地下1200kmの環境を作り出すことができます。

 マントルの主な成分のひとつがカンラン石。このカンラン石の構造は、圧力や温度で分解され、それがマントルの不連続面を作る原因だと考えられていました。
 ところが、先生の実験によってカンラン石に高温と高圧をかけた結果、不連続面よりも60km以上浅いところで分解が起こりました。
 これまで考えられていた遷移層と下部マントルの不連続面の深度、すなわち660kmよりも、60km以上浅いところでカンラン石が分解され、構造変化が起こっていたと考えられるわけです。

 カンラン石の変化が不連続面をつくっているとは限らず、不連続面のすぐ上側に、カンラン石とは別の物質が存在するかもしれない可能性が出てきたのです。

 

超高圧実験室

オレンジ色の機械が超高圧実験装置
「オレンジ1000」。名前の由来は色がオレンジというのと、みかんの産地愛媛県で生まれた機械だからということです。もとはねずみ色だったとか。
この写真ではわかりませんがここは藪の中にあって、何より蚊が多く、虫除けスプレー、蚊取り線香を炊きながらのロケでした。腕、足はもちろん、唇、眉毛など20ヶ所くらい刺されてかゆかった(^^;)

 研究の行方

 高温で超高圧の条件を実際に作ることで、今までわかっていなかった地球の内部が少しずつわかってきました。これからはもっと高圧、高温を実現できるようにして、より深い部分の状態を調べ、さらには、核は何でできているのか解明したいとおっしゃっておられました。

  

あとがき

 
研究生の条件は1cm角の折鶴が折れること。何しろ直径1mmの穴にカンラン石を詰めるわけですから、手先の器用さが求められます。私も挑戦しましたが右側の2mmでgive up。中にはピンセットも顕微鏡も使わずに折れる人もいるそうですよ。

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 愛媛大学理学部は松山城から徒歩20分あまりのところにあります。ロケの合間にその松山城に連れて行っていただきました。
 神社を抜けて頂上にたどり着くと瀬戸内海と市内が一望できます。先生は夕方の散歩を日課にしていて、松山城までの散歩中にアイディアが浮かぶことも多いんだそうです。自然豊かで心落ち着く場所。松山に行くときは、道後温泉とあわせて立ち寄ってみるのはいかがでしょうか?

 

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