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ある日曜日の午後のひとこま

 今日は2月最後の日曜日.もうすぐお雛祭りですので,わが家のお姫様2人のために,今日は朝からお母さんとお父さんは雛人形を出しました.これ,嫁さんのご両親からの贈り物で,わざわざ日本から手荷物で持って来てもらったという代物.桃のお節句になると,これを毎年飾っています.日本の家ではこんな大きなものを飾るようなスペースがないので,こちらの家にいるときだけの行事になりそうです.去年までは,1階の子供部屋に飾っていたのですが,今年は航一や萌美が歩き回ることもあって,子供達のやって来ない2階の広間に飾ることになりました.
 尊之兄ちゃんは,お雛様やお内裏様を飾っている私たちのそばに来て,興味津々.

「タカ(尊之のニックネーム)もならべる〜,さわりたい〜〜」
だめ!!

とお母さん.にべもない返事です.

「そんなに触りたかったら,まず石鹸で手を洗ってきなさい!」
「はぁ〜い」

 確かに尊之のあの汚い手でお雛様をいじくりまくられた日にゃ,きれいな白いお雛様の顔が黒くなってしまうなぁ.手を洗ってきた尊之がいそいそと帰ってきました.

「洗ってきたよぉ〜」
「ちゃんとタオルで手を拭きなさい!あ,こら!そうやって濡れた手を振り回したら,お人形にしずくがかかるでしょ!」

 尊之にはまだちょっとこの雛人形に対する価値,ってものがわからないようです.まぁ,嫁さんのご両親がわざわざ日本から運ばれたので,嫁さんにとってはなおさら『大事』な人形なんでしょう.

 お昼を少し回ったころ,近所に住むオイちゃんのお母さんが階段を上がってきました.

「おかず持ってきたから,食べてね.あら,まだ終わらないの?」

 今日はオイちゃんのおばあさんの誕生日でごちそうを作ったらしく,そのおすそ分けを持ってきてくれたのでした.そして嫁さんのとなりに座って,飾りつけがほぼ終わった雛人形を見ながら,

「あら〜,相変わらずきれいなものねぇ.今年はいつパーティーするの?」

「3月3日です.このパーティーは,毎年3月3日なんです.平日ですけど,来てくださいね」

「わかったわ.今年は誰のためのパーティーなの?」

「えっと...女の子みんなのパーティーです」

「みんなの...?」

「子供の日みたいな日なんです.去年は萌美の初めてのパーティーだったので,萌美は特別でしたけど」

「じゃぁ,オイも来ていいのね?」

「ええ,もちろんです」

 今年の雛祭りも,たくさんの子供や大人が集まる楽しいパーティーになることでしょうが,子供達が雛人形にいたずらしないように気を付けないといけないお母さんは,また少し痩せるかもしれませんね.

HinaDalls
飾り付けが終わった雛人形

 飾り付けを終わって,お昼ご飯の時間です.さっきオイちゃんのお母さんが持ってきてくれたおかずがテーブルに並んでいます.大きな白身の魚を煮て香草(パクチーやネギ,唐辛子など)で飾ったもの.豚肉の薄切りを油でカラッと揚げたもの.酸っぱくて辛くて透明の魚のスープ(これもトムヤムなのかな?).えびのすり身のから揚げ.どれもおいしかったです.お腹も一杯になったところで,

さぁ!尊之,散髪に行こう!

 今日は久しぶりに散髪に出かけることにしました.私も尊之も,半月ほどすると髪の毛はボーボー.家から歩いて5分程度の所にある,いつもの角の散髪屋さんにでかけました.尊之を散髪に連れて行くのは,私の仕事.尊之の手を引いて,てくてく歩いていきました.ところが,散髪屋さんの前に来ると

「あ〜,今4人も待っているんだ.夕方にならないとできないんじゃないか?」

と,店の前で順番を待っているお兄さんに言われてしまいました.

 仕方なくもう一度出直そうと,また二人で家のほうに帰っていきました.すると

「かなぼしさ〜ん,どこ行ってたの〜?」

と聞きなれた声.うちの従業員の女の子の声です.見ると,彼女の家の前で小さな女の子を抱いています.あれ?確か彼女の子供は双子の男の子のはずだったけど?

「いや,散髪に行ったんだけど,客が多くて,できなかったんだ.で?その子は誰の子?」

「あ,この子?妹の子です」

「なんだ,じゃぁ,君の子供は?」

彼女は答える代わりに,笑いながら上のほうを指差します.見ると,家の前のマカームの木に,男の子が二人,登っていました.ありゃ〜,大きくなったなぁ...去年のスポーツデイの時には,まだ小さかったのに....

「かなぼしさん,この近くにも散髪屋さんがあるんだけど,行ってみます?」

「ああ,行ってみようかな.どこにあるの?」

「一緒に行きましょう,すぐそこですから.ほら!降りといで!ちょっと出かけるよ!」

彼女は双子の男の子と,抱きかかえた小さな女の子を連れて,私を散髪屋さんに連れて行ってくれました.散髪屋さんのおじさんとおばさんに「日本の人だからね,よろしくね」とかなんとか言って,帰っていきました.散髪屋では,おばさんの興味が尊之に集中.

「どこに住んでるの?へ〜,で,学校は?あ,幼稚園?どこ?あら〜,マリーウィタヤー?へ〜〜.あんた,日本で生まれたの?あら〜.日本って,寒いんでしょ?雪,って知ってる?ところで,妹や弟はいるの?あら,3人も?あららら....」

さすがの尊之も,このおばさんの質問攻めには閉口したようでした(笑).尊之,女の人って,こういう人もいるんだよ.

 散髪屋のおじさんは,やっぱり無口な人でした.黙々と尊之を刈り上げて,私の散髪をしてくれました.


さっぱりしたところで家に帰ると,庭先でみんな集まっていました.何してるのかな?

UnderTree
マカームの木の下でなにやら集まっている..?


 ご覧のとおり,庭先のマカームの木になった実を,取って食べているのでした.うちの下の3人の子供達とおかあさんは,マカームが大好き.私と尊之は,食べないことはありませんが,それほど好き,ってこともありません.ちょっと酸っぱいよね,砂糖に漬けてない取ったばかりのマカームって.それに,食べすぎると,お腹こわしちゃう気がしない?

Makham
傘の中には,マカームの実が


「そんなことないわよ.おいしいのに.食べないの?」

と嫁さん.

Koichi&Megumi

 あれ?航一と萌美はいるけど...茉莉子は?と嫁さんに聞くと,

「オイちゃんのおばあさんのパーティーに呼ばれて行ってる」

とのこと....なるほど.いつもなら,必ず

まりこ,たべゆ!マカーム,たべゆ!!

って聞かないんですが.茉莉子がいないなら,みんな気がねなく食べることができますねぇ.
 それにしてもまぁ,みんな庭先に座り込んで...あれ?今度は尊之がいない....
 家に入ったかな?...あ,またビデオ見てるな?なに気取ってるんだ?いやいやゴメン,散髪したばかりで,かっこいいよ(笑)!
Takayuki 尊之は,暇があるといつもビデオを見ています.今日は「ポパイ」.どうしてだかわかりませんが,尊之は同じビデオを何度も何度も繰り返して見ます.もう内容も筋書も,セリフさえも覚えてしまうくらいなんですが,それでも飽きずに見ます.

「たかゆき〜...それ,もう何回も見たでしょ?別のビデオ見たら?」

「いや〜ん,これがいいの!」

 この「ポパイ」はコラートのナイトバザーで買ったもので,タイ語の吹き替え版です.1回15分程度の物語が,テープ1本約1時間分かな?ぎっしり詰まっています.物語は全部で4つ.ケラケラ笑いながら見ているところをみると,内容を理解しているようです.私はまだ,アニメでさえあまり聞き取れないのですが.

 あ〜,なんだか同じのばかり見てると,眠たくなって来ちゃったじゃない.お父さんはちょっとひと眠りしてくるからね.