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作者からの手紙
ページ1よりつづく








私の考える理想的な人物はケンです。社会的にはドロッ
プアウトした若者と見られ、彼の言うことは所詮夢物語
だ、という烙印を押されるでしょう。しかし、私は理想
を語れない人間に何かが成し遂げられる筈が無い、所詮
人間は・・と言う、その人間こそが、所詮その程度の人
間なのだと思うのです。人間を諦めていない、彼の考え
こそが人類愛というもので、この宇宙で最も良いものを
知ってしまった彼には、もやは恐れるものがない、だか
ら彼は出ていったのです。

一方マリアは盲目であるからこそ、モノの本質を見るこ
とができます。シモンが信じられないのは、彼が狂人だ
からではないし、ケンが貧乏学生であっても、それは信
じることの妨げにはなりません。彼女には、自身の内に
絶対的な正しさがあって、それに従ってのみ判断を下し
ます。たとえそれが残酷な真実であっても、まやかしの
幸せより良い、と知っているからです。そして、それ以
外の人物は、悩み・苦しみ・傷付き・迷って、翻弄され
る普通の人々です。

死を突き付けられて、人は初めてその本質が見えます、
その時、何が現れるのか?結局はそれだけが真に価値あ
るので、良い死とは同時に良い生き方にほかならないの
ではと、思うのです。そして、最も偉大な死は犠牲の
死。究極は見ず知らずの他人の為に死ねるか?です。

偉そうなことを書いてきましたが、私自身、どのように
死を迎えるかは日々、切実な問題として、迫ってきてい
ます。
今、この瞬間、死んでも本望だと思えるか?
その度に、まだまだ悟りきれないなぁ〜と、嘆息するば
かりです。日々、是反省・・・。


追伸

シモンについてですが、ひとつには戦争の犠牲者を描き
たかったこと、もうひとつは大野がいかに危ない役者で
あるか、知らしめたかったということです。
前回の私の作品では平凡な日本人男性という役どころ、
ものすごくストレスが溜まったそうで、じゃあ今回は好
き放題、暴れられる役にしてやろうと、あのイカれ具合
となりました。

スキンヘッドは私からの命令でしたが、本人はイタク気
に入っていて、これほどまで似合うとは予想以上だった
ようです。当日は大野の坊主頭に会場全体が笑いの渦に
なるのでは?と、不安だったのですが、皆さん心底、恐
かったようで大きな反響を頂きました。ホント、一見の
価値あり、見事なタコ焼き頭でした。

再演の機会があったら、是非、お見逃しなく!


小澤 奈津子

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