グリーン購入法に係る特定調達品目及びその判断の基準等の見直し

2008年12月 パブリックコメント募集中!!

 これまでの「古紙パルプ配合率100%かつ白色度70%程度以下」という基準が、古紙パルプ配合率が低くとも、「環境に配慮した木材のチップの配合割合」「白色度」「坪 量」を総合的に評価した総合評価値が80以上であることという改正案です。
  意見提出は2008年12月8日〜2009年1月6日まで  パブコメ詳細はこちらへ〜

コピー用紙のグリーン購入法・基準の見直し案の撤回を求める

共同声明を発表

プレスリリース資料 

2008年12月19日

環境省、そんなに急いでどこへ行く?

環境大臣にコピー用紙のグリーン購入法・基準の見直し案の撤回を求めます。

今こそ、基準を維持することで、古紙利用の信頼回復が必要です。

−古紙配合率基準緩和で、生物多様性、温暖化問題に悪影響−

古紙問題市民行動ネットワーク(古紙ネット)

ナマケモノ倶楽部

日本消費者連盟(日消連)

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部

 

 現在、パブリックコメント募集を行っているコピー用紙のグリーン購入法基準の改定では、古紙配合率は100%から70%まで引き下げ可能となります。総合評価方式による得点でも、「古紙100%」と「古紙70%・バージンパルプ30%」の総合評価は同等です。現時点での古紙配合比率のこのような基準引き下げは、2007年来流布され、現在も根強くある「古紙高配合再生紙よりバージンパルプの方が環境負荷が低い」という誤った情報を追認し、古紙偽装による再生紙への不信感を固定化し、紙のリサイクルに対する信頼自体を損ないかねません。

 今回のように不十分な議論のうちに拙速な改定を行うことは、前述したような誤解と混乱を生むことにつながります。むしろ、今こそコピー用紙の「古紙100%再生紙」という基準を維持し、消費者の古紙への信頼を回復・確保しつつ、製紙メーカーの古紙需要の増加を促すべきです。

 さらに、問題なのは30%まで利用可能なバージンパルプの基準です。「森林認証材」、「間伐材」、「持続可能性を目指した原料の調達方針に基づいて使用するパルプ」が利用可能となっていますが、「森林認証材」にはPEFC/AFSなど絶滅危惧種の生息地や原生林も伐採可能で生物多様性を脅かすと共に、皆伐後の山焼きで温暖化ガスを大量排出(196トン/ha)するものが含まれています。このために、例えば、タスマニア天然林木材チップが30%利用されると、古紙100%製品と比較して、約44%程度の排出量増加と推計できます 注1

このように「認証材」ですら信頼できるものではないのに、「持続可能性を目指した原料の調達方針に基づいて使用するパルプ」はさらに曖昧です。誰がどこでチェックして確認するのでしょうか。どうとでも都合よく解釈できる「基準」は基準とはとても言えません。

 一方、「間伐材」の利用については推進すべきですが、コピー用紙以外の印刷情報用紙ではすでに利用可能ですし、コピー用紙よりも、CO2排出抑制と有効利用・需要拡大のためには、まず、製材、合板、集成材、単板積層材、フローリング、コンクリート型枠等といった木材分野でのグリーン購入法基準強化が有効と考えます。

 古紙が「環境に良いわけではない」という主張の論拠は、「バイオマスエネルギーの黒液はカーボンニュートラルなので考慮しない」ことが理由でした。しかし、これは暴論であり、UNFCCC(気候変動枠組条約)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば、木質系バイオマスもCO2排出として計上することになっているので、本来、黒液もカウントすべきですから、30%のバージンパルプ利用により、製造段階だけで、約5%のCO2排出増になります 注2

 また、偽装理由に技術的困難さを主張していた企業ですら、すでに古紙100%再生紙を製造していて、現時点でのコピー用紙の供給量は少なくとも年間6万トンを越えており、政府機関の需要量を十分に賄えます。グリーン購入法の基準は国全体の動向を牽引するものであり、同時に一般市民のグリーン購入意識をも牽引するものです。市民・消費者にとってわかりやすく納得のいく現行基準を変更すべきではありません。

 そもそも、こうした古紙配合率基準の引き下げへの動きは、昨年の製紙会社などによる古紙高配合率再生紙の方がバージンパルプより「環境負荷が高い」といった誤った主張に端を発し、昨年末には、環境省からコピー用紙・印刷情報用紙一律古紙配合率30%の引き下げ(印刷情報用紙では古紙配合率40%が可能)改正案が提案されました。しかし、古紙偽装の発覚により、製紙会社による古紙偽装隠しとも取れる動きであることが判明し、改正案は一旦凍結され、供給量は確保されるとして現行基準がなんとか維持されたのです。その矢先でのこうした改定の動きには納得ができません。

従って、私たちは以下のことを要求します。

  • 古紙の信頼回復が行われていない現状での拙速な基準改定は凍結し、まずは信頼回復に力を注いでください。コピー用紙の現行基準を変えないでください。
  • 今回示された基準改定についての議論が尽くされていないばかりか、グリーン購入法の目的である「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」という方向性に逆行してはいないでしょうか。温暖化影響のみならず、生物多様性や資源有効利用の観点からの科学的論拠に基いた慎重な議論を求めます。
  • 今後のグリーン購入法の改訂論議については、コピー用紙のみではなく、紙利用全体について、NGOも含めた幅広い関係者も加え、十分な議論を行う形で抜本的・総合的検討を実施されることを要望します。

 

注1 政府機関の年間コピー用紙需要量6万トンとして、パルプ配合率30%のチップ需要は32,400トンなので、タスマニアでの平均収量186トン/haから、伐採面積は174haとなるので、196トン/haの炭素排出量なので、炭素排出量は約34,179トンだが、木材チップは総採取製品の8割に達するので、0.8を掛けて、27,343トン。一方、木材チップ内の炭素含有量は、約25%と想定できるので、8100トン。よって、利用される木材チップの炭素量に対して、3.38倍の炭素排出が伐採地で発生します。利用エネルギーの33%程度が黒液とされるので、タスマニアの天然林由来のバージンパルプ30%生産による炭素排出のうち約10%程度が木材チップによる炭素量なので、10×3.38=33.8が山焼きによる排出分です。注2より、古紙70%とタスマニア天然林パルプ30%利用の排出量推計値は90.2なので、(90.2+33.8)÷86=1.4418 となります。

注2 日本製紙による推計値によれば、バージンパルプ100%の二酸化炭素排出量を100とした場合、古紙100%再生紙では86です。http://www.np-g.com/news/news07042401.htmlこの86の30%部分(86×0.3=25.8)がバージンパルプに代わるので、概ね86−25.8+30=90.2で、これが古紙70%とバージンパルプ30%の排出比なので、90.2÷86−1=1.0488より、4.9%の排出増加です。黒液などの木材チップから得られる木質系バイオマスをカウントしないと一般的に言われるのは、UNFCCCやIPCCでは伐採時点で排出計上するのでダブルカウントとなるからです。よって、UNFCCCでは木質系バイオマス由来のCO2はカウントするので、黒液などの非化石燃料由来のCO2がカーボンニュートラルの考えに基いてカウントしないというのは誤りです。また、間伐材については、立木の約40%程度行われる間伐によって残った立木の成長促進に貢献することで、最終的には間伐しないケースよりも総蓄積量は多くなるものの、その純増分は、約20%以下に留まるとの報告も行われています。http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/seika/2004-seika/p26-27.pdf

プレスリリース資料 PDFファイル

2008年12月19日

環境大臣斉藤鉄夫 様

 

古紙問題市民行動ネットワーク(古紙ネット)

ナマケモノ倶楽部

日本消費者連盟(日消連)

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部

 

環境大臣にコピー用紙のグリーン購入法・基準の見直し案の撤回を求めます。

今こそ、基準を維持することで、古紙利用の信頼回復が必要です。

−古紙配合率基準緩和で、生物多様性、温暖化問題に悪影響−

 

 現在、パブリックコメント募集を行っているコピー用紙のグリーン購入法基準の改定では、古紙配合率は100%から70%まで引き下げ可能となります。総合評価方式による得点でも、「古紙100%」と「古紙70%・バージンパルプ30%」の総合評価は同等です。現時点での古紙配合比率のこのような基準引き下げは、2007年来流布され、現在も根強くある「古紙高配合再生紙よりバージンパルプの方が環境負荷が低い」という誤った情報を追認し、古紙偽装による再生紙への不信感を固定化し、紙のリサイクルに対する信頼自体を損ないかねません。

 今回のように不十分な議論のうちに拙速な改定を行うことは、前述したような誤解と混乱を生むことにつながります。むしろ、今こそコピー用紙の「古紙100%再生紙」という基準を維持し、消費者の古紙への信頼を回復・確保しつつ、製紙メーカーの古紙需要の増加を促すべきです。

 さらに、問題なのは30%まで利用可能なバージンパルプの基準です。「森林認証材」、「間伐材」、「持続可能性を目指した原料の調達方針に基づいて使用するパルプ」が利用可能となっていますが、「森林認証材」にはPEFC/AFSなど絶滅危惧種の生息地や原生林も伐採可能で生物多様性を脅かすと共に、皆伐後の山焼きで温暖化ガスを大量排出(196トン/ha)するものが含まれています。このために、例えば、タスマニア天然林木材チップが30%利用されると、古紙100%製品と比較して、約44%程度の排出量増加と推計できます注1

このように「認証材」ですら信頼できるものではないのに、「持続可能性を目指した原料の調達方針に基づいて使用するパルプ」はさらに曖昧です。誰がどこでチェックして確認するのでしょうか。どうとでも都合よく解釈できる「基準」は基準とはとても言えません。

 一方、「間伐材」の利用については推進すべきですが、コピー用紙以外の印刷情報用紙ではすでに利用可能ですし、コピー用紙よりも、CO2排出抑制と有効利用・需要拡大のためには、まず、製材、合板、集成材、単板積層材、フローリング、コンクリート型枠等といった木材分野でのグリーン購入法基準強化が有効と考えます。

 古紙が「環境に良いわけではない」という主張の論拠は、「バイオマスエネルギーの黒液はカーボンニュートラルなので考慮しない」ことが理由でした。しかし、これは暴論であり、UNFCCC(気候変動枠組条約)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば、木質系バイオマスもCO2排出として計上することになっているので、本来、黒液もカウントすべきですから、30%のバージンパルプ利用により、製造段階だけで、約5%のCO2排出増になります注2

 また、偽装理由に技術的困難さを主張していた企業ですら、すでに古紙100%再生紙を製造していて、現時点でのコピー用紙の供給量は少なくとも年間6万トンを越えており、政府機関の需要量を十分に賄えます。グリーン購入法の基準は国全体の動向を牽引するものであり、同時に一般市民のグリーン購入意識をも牽引するものです。市民・消費者にとってわかりやすく納得のいく現行基準を変更すべきではありません。

 そもそも、こうした古紙配合率基準の引き下げへの動きは、昨年の製紙会社などによる古紙高配合率再生紙の方がバージンパルプより「環境負荷が高い」といった誤った主張に端を発し、昨年末には、環境省からコピー用紙・印刷情報用紙一律古紙配合率30%の引き下げ(印刷情報用紙では古紙配合率40%が可能)改正案が提案されました。しかし、古紙偽装の発覚により、製紙会社による古紙偽装隠しとも取れる動きであることが判明し、改正案は一旦凍結され、供給量は確保されるとして現行基準がなんとか維持されたのです。その矢先でのこうした改定の動きには納得ができません。

従って、私たちは以下のことを要求します。

  • 古紙の信頼回復が行われていない現状での拙速な基準改定は凍結し、まずは信頼回復に力を注いでください。コピー用紙の現行基準を変えないでください。
  • 今回示された基準改定についての議論が尽くされていないばかりか、グリーン購入法の目的である「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」という方向性に逆行してはいないでしょうか。温暖化影響のみならず、生物多様性や資源有効利用の観点からの科学的論拠に基いた慎重な議論を求めます。
  • 今後のグリーン購入法の改訂論議については、コピー用紙のみではなく、紙利用全体について、NGOも含めた幅広い関係者も加え、十分な議論を行う形で抜本的・総合的検討を実施されることを要望します。

注1 政府機関の年間コピー用紙需要量6万トンとして、パルプ配合率30%のチップ需要は32,400トンなので、タスマニアでの平均収量186トン/haから、伐採面積は174haとなるので、196トン/haの炭素排出量なので、炭素排出量は約34,179トンだが、木材チップは総採取製品の8割に達するので、0.8を掛けて、27,343トン。一方、木材チップ内の炭素含有量は、約25%と想定できるので、8100トン。よって、利用される木材チップの炭素量に対して、3.38倍の炭素排出が伐採地で発生します。利用エネルギーの33%程度が黒液とされるので、タスマニアの天然林由来のバージンパルプ30%生産による炭素排出のうち約10%程度が木材チップによる炭素量なので、10×3.38=33.8が山焼きによる排出分です。注2より、古紙70%とタスマニア天然林パルプ30%利用の排出量推計値は90.2なので、(90.2+33.8)÷86=1.4418 となります。

注2 日本製紙による推計値によれば、バージンパルプ100%の二酸化炭素排出量を100とした場合、古紙100%再生紙では86です。http://www.np-g.com/news/news07042401.htmlこの86の30%部分(86×0.3=25.8)がバージンパルプに代わるので、概ね86−25.8+30=90.2で、これが古紙70%とバージンパルプ30%の排出比なので、90.2÷86−1=1.0488より、4.9%の排出増加です。黒液などの木材チップから得られる木質系バイオマスをカウントしないと一般的に言われるのは、UNFCCCやIPCCでは伐採時点で排出計上するのでダブルカウントとなるからです。よって、UNFCCCでは木質系バイオマス由来のCO2はカウントするので、黒液などの非化石燃料由来のCO2がカーボンニュートラルの考えに基いてカウントしないというのは誤りです。また、間伐材については、立木の約40%程度行われる間伐によって残った立木の成長促進に貢献することで、最終的には間伐しないケースよりも総蓄積量は多くなるものの、その純増分は、約20%以下に留まるとの報告も行われています。http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kouho/seika/2004-seika/p26-27.pdf

環境大臣宛 PDFファイル


 

イラスト あべゆみさん

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