A Single Railway
("Engineering" Feb. 5, 1897より)

ドコービル氏の名前は、最軽量の鉄道の事、特に世界各所の農場での可搬式鉄道で有名
である。
その発達は1889年パリ世界博覧会を見て確認されたし、またEngineerig誌P477にも書かれた。
同書にはドコービル家とそこで作られる機関車鉄道や馬力鉄道に関する
記事もある("Engineering" 1889年、6月7日)。
その時よりドコービルシステムは発展しつづけ、わが国でも少なくとも一社以上がこの
方式の生産をしている。
ドコービルより物にならない、他の発明者達は本来の簡易システムから使いづらい
複雑なもの探しに向かった。1本レールシステムの事である。
付属物を加える事で有効性を求めるという事だが、返って2本レールより高価なもの
になってる。
たかが小さな荷物を運ぶための、いわゆる1本レール鉄道を作るため、地面から持ち上げ、
その荷物は馬の鞍のように振り分けて積み、それを三角の支柱で支え、車両を安定
させるために、側面に2本のレールを追加している。
結果はどうあれ、来たるブリュッセル博覧会での、いわゆる1本レールは、これまで作られた
ものの限りでは成功は望めないだろう。
しかしながら、ドコービルが安価で使いやすいにもかかわらず、輸送量から、
その1番安いシステムさえ無理と判断されるケースもたくさんある。
人手も少なく、道路状態も悪く、人畜の力で運んでも農場主にとって割が合わない場合もある。

このような状況でフランスの技師Caillet氏は可搬式でも固定式でも使える本当の
モノレールを開発した。
蒸気機関車や他の動力使用車はダメだが、人口希薄な植民地などで、
使える最もシンプルなシステムである。

このシステムでは固定式の場合、非常に軽い平底レール1本。
それを短い間隔で固定する平らな枕木の端には地上に固定するためのピンを通す穴。
レールジョイントはレール底までをくるむ継ぎ目板を使う。
これら全ての様子は
図1
図1でわかるだろう。
レール上を走る車両は、用途によって無蓋車、客車、ケガ人輸送車、有蓋車等、
各種の形がある。
176ページの写真はそれらであるが、その他の用途車両写真も発表する予定だ。
たいていのは4輪で、タイヤはレール面に合わせて溝が入れてある。
車両台枠下に付ける軸受けは車両の前後端まで延ばしてもよいし、車体の下に付けてもよい。
言うまでもないが、すべての車輪は一線上にセットしなければならない。
このような車両に荷物を積んだ場合、平均が取れないのは明白だろうが、
この問題の解決こそCaillet氏の優れたところだ。
車両の片側から人間動力の場合2本の棒で、畜力の場合軽いフレームを通して押すのだ。
完全に平均のとれた荷物車両の場合は車両を押す力以外何もいらないのは明白だ。
実際にはそれは無理ではあるが、車両がどちらかの側に転倒するのを防ぐのに
大きな力はいらない。
レールでなく、道路やでこぼこの耕地を運ぶのに比べれば、ずっと楽だ。
言っておくが、荷物を積むのもむずかしくはない。
なぜなら、車両を発車させるまでは、フレームに蝶番で付いている支柱が貨車を
十分安定させているからだ。

これらの優れた方式は写真を見ればこれ以上説明する必要もないだろう。
だがこれはフランス本国やその植民地で広がり、わが国でも使うようになるかも知れないので、
もう少し細かく説明しよう。
使われるレールは非常に軽いもので、Vignolle式(平底レール)。
これまでに使用されたのは、その状況により4種類。
4.5kg、7kg、9.5kg、12kg (1mあたり)
最も有用と考えられる可搬式の場合、通常線路は5mで、継ぎ目板と6つの枕木でその重量は
状況によって、27.7kg 40.3kg 42.9kg 55.9kg 62.1kg 75kg となる。
軽い方のものなら、1人の労働者が持つことが出来るだろう。
線路設備はすべて鋼製で、レールのつなぎ目に穴を空けるのは弱くなるので、従って穴無し、
ボルト無し継ぎ目板を使う。敷設の便の為のレールとして、2.5mや1.25m長も作る。
枕木は四角で周囲は強度用にツバつき、長さは20cmから30cm、幅は10cmから
20cmだが、使用レールによる。
図2
図2にあるように、2つのブラケットがリベット止めされていて、これはレール底板が通る道である。
これらのブラケットは対角線上に枕木の上に配置されていて、レールを引き通した後、引き戻し、
レールを強く固定する。
軟弱地盤に敷設する場合はあらかじめ土台は強化の必要がある。
各セクションの端の枕木においては、レールの先は10cm突き出し、ここに継ぎ目板をつける。
鋼製の継ぎ目板は弾力を持っていて、ここに突き刺す。
最急曲線半径は4mだが、これは小さすぎて不便なので、8m標準最急曲線がよい。
曲線レールは曲げたものが供給される。
車両を側線に入れたりするのに、当然ポイントが必要だが、これらも他と同じ、非常に
単純な構成である。
第1にこれは2つの傾斜した坂を持った鋳物製板である。
図3
図3のように、車輪はレールから上方向に離脱して持ち上がる。
なお、別の仕掛けも発明者は用意している。
それは金属板に2方向または3方向のレールを取り付け、可動レールをレバーで
切り替えて、方向選択するものである。


ここまでで、Caillet1本レール鉄道は人力によるものと、畜力によるものがあり、
前者はよりより軽いものだと説明した。
普通の人力車両で運べる荷物は318kgでその車輪直径は25cm。
しかし、各種のバラエティがあり、最も小さいタイプは
図4
図4のように低いボックス型で車輪は前後に出っぱっていて、側板は積み下ろし
のために開閉する。
この原型の車両からは数多くの別種のものが、植民地用に作られた。

救急車は
図5
図5で、興味深い利用であり、植民地でも利用されている。
非常に軽いフレームで、それが布で覆われ、1面はカーテン付きである。
担架2人用でフレームに付けられた輪によって吊るされる。
他の用例としては、重量物用で橋げた、電柱、材木用であり、これらには2つの押し棒が
付いていて、2人の人力を必要とする。
図6
図6でそれぞれの台車には手動のブレーキハンドルがついている。
注意だが、この車両の幅は1.5mである。


より重量車両で畜力を要するものの幅は3m近い。
このような車両は原理的には同じだが、もちろん重く、積載能力も1tから2tある。
車輪直径は50cmから75cmで一般構造はみな同一である。
車体は軽いガーダーフレームであり、その中に車輪が収まっている。
車輪はブレーキ付き、車体は推力用の棒によっても強化されている。
Caillet式は既にいくつもの適用例を持っており、1つのフレーム内に2つの荷台を
付けた土木用車などもあり、これは人力、畜力両用である。
見てのように、馬と車両を固定するハーネスはきわめて簡単である。
車両を転回する事はないので前進にも逆進にも馬を取り付けられる。

図7
図7はかなり大きなもので、貨物用である。
このケースではアンダーフレームは間隔を置いた2つの梁からなり、
その間に4輪を配置している。
図8
図8のように、この形式では簡単に、馬1頭式を2頭式にできる。
必要なのは押し棒の長さを増し、馬なりロバなり牛なりを仕切り棒で区切られた中に
2頭固定することである。
図9

図10

図9と図10はこれまでとは明確に違う、高能力の土木用貨車である。
図11
図11ではそこそこの輸送力が必要なトラムとしての能力を示している。

Caillet氏の独創的モノレールが、わが国や海外がしばしば直面する少量輸送問題を
広範囲に解決することは疑いないだろう。
ドコービル式ほどの能力が無いのはもちろんだが、ドコービルでさえ、
費用的にもったいない場所ではこの方式が多く適用できるだろう。
この方式は各種の環境下で試されている。
エジプトではその能力を英国技師によって強く保証された。
思うのだが、この国にもモーターカーや軽便鉄道より効果的なものとして、
Cailletモノレールの活躍場所があるのではないだろうか。


訳者注釈
この文章は冒頭に記した通り、Engineering誌から訳したものです。19世紀末の英国の
非常にすばらしい総合技術雑誌です。
私の翻訳力はアマチュア三流なので、多くの誤訳が含まれているかも知れませんが、
大要は汲んでもらえると、思います。
前段では跨座式簡易モノレールに対してかなりきびしい評価が下されてますが、
これは、Latigue式モノレールを指しているものと思われます。
Latigue式モノレールは↓の図で確認し出来ます。
http://cnum.cnam.fr/CGI/fpage.cgi?4KY28.22/0024/100/448/0/0
下はロシアで作られた、傷病兵員輸送用と思われるLatigue式客車です。
(Le Genie Civil 誌、1885年より)



Cailleteモノレールのその後の発展としては、よい資料が見つからず、
"Railway and Locomotive Engineering"1911年7月号に僅か数行、
「現在、北西アフリカ、メキシコ、チリ、ペルシァ、ジャワ、で盛業中」
と書かれてますが、少なくとも日本の例を私は確認できません。
他にオーストラリアの鉄道雑誌でCailleteモノレールの記事表題を見たことがあるので、
豪州にはあったのかも知れません。(2005年2月) 

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