「暮らしの中の仏教語」
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城・化城
 私達が「城」と言えば、王様とか殿様の住む建造物そのもののことしか想起しませんが、中国の城は市街地を取り囲む形に築かれているということを、まず申し上げておきたいと思います。従って仏典中に出てくる王舎城とか舎衛城という訳後も、それぞれ、マカダ国の首都ラージャグリハとコーサラ国の首都シュラーバスチを指すのであり、ビンビサーラ王やハシノク王の居城ということではないということになりますね。
 ところで法華経化け城じょう喩ゆ品ぼんに、こんな話があります。宝処に行こうとして旅を続けていた皆さんが疲れ果て「我等疲ひ極ごくして復また怖ふ畏いす 復進むこと能あたわず 前路猶なお遠し 今退しりぞき還かえりなんと欲す」と言いはじめました。導師はこれを聞いて、神通力をもって仮に一の大城を作り、ここで皆さんを休息させた上で、、再び真の宝処に向かって出発したというのです。
 止し息そくの為に化作けさされたこの大城(都市)を化け城じょうと言うんですね。「此の城は実に非ず」として、皆が休み已おわると消滅させられてしまいますが、成仏の為の仏道がこれに喩えられていることがお解りでしょう。
 仏道精進する者が、途中で還かえってしまわないように、仏さまは三乗という名のお悟さとりを設けておいてくださいました。声しょう聞もんと縁覚えんがくがこれに相当するというのです。
 山登りで、登山道の途中に頂上のように景色を見はらせる場所があれば、登山者がリフレッシュされるようなものでしょうか。またいったん山頂に達して下山する者は、無意識に「頂上はもうすぐですよ」とあとから来る登山者を励ますとも言います。たとえ頂上は遠くても、そう言わずにいられないんだそうですね。仏様も疲れ果てた修行者を励ます為に、「もうすぐ」と声をかけてくださるとともに、化城という幻の都市まで化作けさして、私達を支えてくださいます。有り難いことですね。一歩一歩、仏道を前進してゆきたいものです。



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