「暮らしの中の仏教語」
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語録
 なにげなくTVをつけましたら「健康語録特集」と題して、健康に関する言い伝えやことわざを紹介する番組をやっておりました。
 「えっ、健康語録だって?」と思い、私は辞書を引いてみたのです。案の定そんな語録の使い方はありません。語録とは中国で生まれた禅宗用語で、禅宗の祖師そし達が平常に語ったことを、侍じ社しゃというおつきの者が筆録し、編纂したものを申します。代表的な語録としては、臨済義玄禅師(唐)の臨済録、円悟克勤こくごん禅師(宋)の碧巌録、万ばん松しょう行ぎょう秀しゅう禅師(南宋)の従しょう容よう録などがあげられ、中でも碧巌録と従容録は禅林の二大宝典として大切にされて参りました。
 語録という言葉は禅家の用語ですが、もちろん特許があるわけではありませんので、中国人の間に広く使われるようになり、一般に「偉人の言葉を集めたもの」を指すことになったわけです。朱子の近思録、王陽明の伝習録も語録と呼ばれてますし、最近では毛沢東語録が有名になりましたね。
 それにしても、語録とはあくまで「ある一人ひとりの人のことばを集録したもの」でした。人を限るのではなく、主題を限って、例えば「健康に関する言葉を集めたもの」まで語録と表現することを、耳新しい使い方だと思ったのは、私一人ではないでしょう。
 しかし、言葉は生き物でして、時代により人により表すものが違ってきてしまうことが多々ありますね。使いはじめには「そんな使い方は無い」と判断されようとも、みんながそんな使い方をするようになれば認知されてゆきます。
 語録ということばが今後どのようなものを表すようになってゆくのかは未知ですが、語録が仏教語であったことだけは、知っておいて戴ければ幸甚です。更に、私達一人一人が、自分史を書いて自分の語録を残せるほどになれればすばらしいことと言えましょう。
 せっかくのこの一生を空むなしく過ごすことのないようにしたいものです。


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