開祖・元祖
仏教の宗派をはじめた最初の人を指す言葉に、開祖・元祖げんそ(又はがんそ)・宗祖・祖師などがあります。どれも似通った意味ですが、いつの頃からか、これら普通名詞が固有名詞化してまいりました。単に「開祖」と言えば釈尊のことを指し、只「元がん祖そ」と言えば法然上人のことを指し、「大師は弘法、宗祖は親鸞、祖師は日蓮」と世に呼びならわされるようになりました。元祖上人と言えば、それは法然のこととなってしまってますから、もし法然上人以外の元祖を指す場合は、○○元祖○○と、前後にキッチリ名前を添えなければなりません。大師も同じことで、伝・教・大師最・澄・となってはじめて、弘法大師以外の大師となるわけです。
普通名詞が固有名詞化してしまうと、かえって不便となり、それに代わる普通名詞が作られるようですが、いたちごっこで名詞の数だけ多くなることになりかねません。
一方、固有名刺だったものが普通名詞化することもあります。「元祖」がそのよい例でしょう。
浄土教を一番広めたのは親鸞聖人で、宗祖と呼ばれてますが、実は親鸞は法然上人を師と仰いでおられました。宗祖の更に元があったというわけです。そこで法然上人を元の祖、つまり元祖とお呼びしたわけです。この元祖が一般社会に流出し、お菓子やさんやお土産やさん等では、総本家と元祖が競い合っておりますね。どちらが、宗派ならぬ店を最初にはじめた人なのか?又今では、元祖未婚の母(桐島洋子さん)のような元祖も登場する時代となりました。
ここでもう一つ説明を付け加えさせて戴きます。開祖乃ない至し祖師という語は、宗派によって多少その使い方が違いますので、気をつけてください。例えば曹洞宗をはじめた道元禅師は、開いたわけでないから開祖でなく、宗派というグループ化を避けられたので宗派でなく、高祖と呼ばれています。又、曹洞宗で祖師と言えば、達磨大師かあるいは歴代の血けち脈みゃく相承者です。同じ単語なのに、その都度「誰を指すのか」判断するのも、大変ですね。それが、日本語の特色の一つでもあります。
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