「暮らしの中の仏教語」
日常使う私たちの日本語を学んで見ませんか
しび・しゃちこばる・しゃちほこ

 東大寺大仏殿の大棟(おおむね)の両端に大きな魚の尾形をした飾り瓦がついていますね。あれが鴟尾(しび・鵄尾)です。鴟尾はインド伝来の空想上の海魚を形どったもので火災除けとして寺院の屋根の置かれるようになりました。水を呼ぶ縁起ものとして、中国人に大棟へあげられ、日本にも伝わったわけです。

  また、この鴟尾のうち、魔竭魚(まかつぎょ)を変形させたという鯱(しゃちほこ)があります。鯱はふくろうに似た目と、巨大な歯並のある口、虎に似た頭部と魚の体を持ち背にとげがあります。そして、木魚にされれば大人しくしている一方、屋根にあげられていると随分勇ましい姿となる事から、城郭建築に取り入れられたのは、織田信長の安土城が最初かもしれません。平成八年に安土城跡から出土したのが最古だそうですから・・・。

  日本のお城に付けられた鯱は火災除けと言うより権威を示す飾り物としての役が強められたようですね。そしてそのことから、いかめしく構えたり緊張して顔をこわばらせることを、しゃちこばると言うようになりました。

  ところで最近、一般の民家でも、豪邸にはこのしゃちほこが上げられるようになってきたようです。火災を防ぐとともに、建物を立派に見せようとする願いは庶民とて同じことです。

  しびもしゃちほこも、火災から大切な建物を守る願いが込められている事に変わりありません。

  お互い、火の用心をするとともに、何よりも我が心が煩悩の炎に焼き尽くされぬよう、心にしっかりと火災除けをしておきたいものです。


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