「暮らしの中の仏教語」
日常使う私たちの日本語を学んで見ませんか
天人・神様・天人五衰
 「天人」という言葉を聞いたことのない人などいらっしゃらないでしょう。でも「天人とは?」と問われてもちゃんと説明できるでしょうか。そうですね。天人とは仏教で説く六道世界のうちの天上界に住む者をさします。
 六道世界は迷界ですが、天上界は最上界ですので、さすがに苦は少なく楽は多く、自由に天を飛びまわれます。また人間界と違って大変な長寿を保ちます。いわゆる神様はこの所に住んでおられますので、天人と神様は同じ者の異名だとも申せましょう。
 ところで大変な長寿を保つというこの天上界といえども「生ある者は必ず滅す」の理に従い、やはり死ぬ時を迎えなければなりません。その時には、天人五衰と申しまして、五つの徴候があらわれるそうです。経典によって多少の違いはありますが、大槃涅槃経によれば、一・衣裳垢膩(衣服が垢で油染みる)、二・頭上華萎(頭上の華鬘が萎える)、三・身体臭穢(体が薄汚れて臭くなる)、四・脇下汗出(脇の下から汗が流れ出る)、五・下楽本座(自分の席に戻るのを嫌がる)の五つを教えております。
 私達人間は「死んだら天国へ行く」と言い、又そう願ってますが、死ぬという点では天上界も人間界とそう変わりません。天上界の更にその上、仏界に達しなければ生老病死から逃れることは出来ないでしょう。仏様は人間界と天上界の者達の師です。だから、天上師とお呼びし人天(人間+天人)に福報を授けてくださる類無きものとして尊んでいるというわけですが、私達は是非、仏界へ行く事に致しましょう。人間界からしか仏界へ行けません。天上界から仏界へ通ずる道はありません。天上界の者は、見という煩悩に犯されて更にその上へ行くことを望まないからだそうです。私達は、貧瞋痴慢疑見の六煩悩すべてを払って、速やかに仏身を成就したいものですね。


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