「暮らしの中の仏教語」
日常使う私たちの日本語を学んで見ませんか
法王・法皇
 クリスマスはキリスト教を思い出させ、キリスト教と言えばローマ法王を連想する人が多いでしょう。ローマ法王の法王とは、実は仏陀の尊称なのです。
 こう申し上げると「えーっ」とおっしゃるでしょうね。でも本当です。バチカン市国にあるローマカトリック教会本庁の首長が仏陀であるはずがないのも本当です。
 カトリック教会の首長はラテン語でパパ、英語でポープと言いますが、これを和訳した人がきっと法王としたのでしょう。仏教の法王にあたると思ったかもしれませんね。もうひとつの和訳、教皇の方が一般的になってたら、こんな話はせずに済んだのですが…。
 ところで法王は仏法の王様ということでお釈迦様以外の人には使われない語でした。しかし日本に於て、考謙天皇が重祚して称徳天皇となられた時、法王という官職名を作りました。あの問題の道鏡にこの位を与えたのが法王のはじまりだそうですね。
 次に天皇は「法体となられた天皇」、つまり天皇が出家すると、こう呼ばれることになりました。菅原道真を登用したことで知られる宇多天皇が、仁和寺で剃髪され、寛平法皇と称されたのが、そのはじまりだそうです。
 仏教では「転輪聖王」という思想があります。「天から授かった輪宝を捧持して天下を平定し、正義によって世界を統治する理想的君主」を指すインド伝来の思想ですが、法皇はこの転輪聖王にあやかったものかもしれません。この王は仏陀と同じく、三十二の偉人の相をしているといわれます。
 仏法の王たる法王と、理想的君主たる法皇の二人が揃えば、すばらしい仏国土がこの世に実現するというものでしょう。夢ではなく、本当に実現させてほしかったですね。
 近年、あやしい宗教家や政治家が、正義と称しておかしなふるまいをする時代となりました。本物の法王・法皇に学びたいものです。


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