「暮らしの中の仏教語」
日常使う私たちの日本語を学んで見ませんか
増長・増上
 「おだてればすぐ増長する」「怠惰を増長させてはいけません」などと、現在は悪いほうにばかり使われる増長ですが、仏教語としては「功徳や善行を次第に大きくすること」に用いられる言葉でした。もっとも仏教語としてはゾウジョウと読みましたから、この語も読み方によって意味を変えられてしまった語と言えるかもしれません。
 ところで増長天(王)という神様がおられますね。四天王のお一方で帝釈天に仕え、須弥山(しゃみせん)の中腹にあって、南方を守護しておられます。赤い体をして怒りの相を示し、甲冑を身につけて手には矛などを持つ尊像を、どこかのお寺でご覧になったことがおありでしょう。
 東方の持国天王、西方の広目天王、北方の多聞天王とともに、私たちの住むこの須弥山世界を守っていてくださるのです。
 須弥山世界とは古代インドの世界観で、須弥山という大きな山を中心に、ありとあらゆる生き物・命あるものが生きているところを言います。この山の頂上には仏様がおられ、菩薩・縁覚・声聞・天上・人間・修羅・畜生…とだんだん裾野に達し、餓鬼・地獄と地下の世界に至ると思ってよいでしょう。
 人間は裾野にある大きな海の中の島=南閻浮(なんえんぶ)に住み、日本人はその中の南閻浮堤陽谷(なんえんぶだいのようこく)といわれるところに住んでいるんだそうです。
 もちろんこの山の頂上を極めて仏となろうとするのも自由ならば、転げ落ちて地獄にいってしまうことも自由です。
 増長天は四天王のおひとかたとして、私達の生活ぶりを見守っておられます。しっかり精進するとともに、本来の増長をするよう心がけたいものです。
 又、ぞうじょうというと増上の字を思い出しますが、これも「宗教上の能力が外部からの力によって強化させられること」を指す語です。芝の増上寺はそんな願いを含んで立てられたお寺かもしれませんね。



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