寮
寮というと、今日では、学校や会社などの学生が寄宿する共同宿舎を想起するのが普通ですね。皆様のご親類に、どこそこの女子寮とか独身寮とかに暮らしておられる方も多いでしょう。
一方、寺院の内部にこの○○寮と呼ばれる建物や部屋がたくさんあります。特に禅宗では、衆寮(しゅりょう)・典座寮(てんぞりょう)・維那寮(いのうりょう)・知庫寮(ちこりょう)・知殿寮(ちでんりょう)等たくさんありますね。これは何かつながりがあるのでしょうか。
辞典で「寮」を引きますと、共同宿舎の意味は四〜五番目にはじめて登場し、それが近代日本で生まれた用法であることがわかると存じます。もともと、寮という字は政務を司る役所とか役人を表す字で大勢が役割分担して役務を果たす意味でした。その後、官と僧が一体となっていた時代を通過することによって、役割分担をして寺務を果たす僧舎を表すこととなりました。
日本では、鎌倉時代以降に入った禅宗で多く使われ、室町時代から江戸時代にかけては、各宗に於て、僧が寄宿して自宗の学業を就学する道場を指すようになりました。また茶道が広まると、庭園の中に独立して建てた茶室を茶寮と言い、装飾を排した簡素な建物や別荘を寮と言い、更に大きな建物まで寮と呼ばれるようになったようです。
また、寮は単に建物や部屋ばかりでなく、その中で行われる共同生活も指しますが、その点では、寺院も一般の用法も変わりません。
ところで寮生活は寺院にとってのみならず、一般社会人にとっても、一度は体験したい大切なものとは言えないでしょうか。自分だけのワンルームマンションで好きなように暮らす若者には特に、寮での共同生活を体験してほしいですね。家庭という最小の共同生活さえも出来ない自分本位の人間が増えてゆくことを困った現象と見るのは、私一人だけではないでしょう。
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