悪口
私たちには、知らず知らずの間に身と口と意で重ねている悪いことがあります。これを戒めた教えを仏の十戒と言っておりますが、その一つが悪口なんですね。悪口は、真実でない冷酷な言葉をあびせることで、妄語・綺語・悪口・両舌(もうご きご あつくりょうぜつ)という口で作る四つの罪の一つになっております。妄語とはうそをつくこと、綺語とは人をペテンにかけること、両舌とは二枚舌で人を仲たがいさせることですが、特に悪口は罪の意識が薄く、日常に犯されやすい罪ですから、気をつけなければいけません。ドイツの諺に「この世で一番難しいことは自分自身を知ることで、最もたやすいことは人の悪口を言うことだ」というのがありますが、当を得たものといえましょう。
この悪口は全く曲者でありまして、自分にも他人にも多大の迷惑を及ぼします。十住心諭にある「当に知るべし、残害の衆生は皆悪口に縁って生ず」の句をよくよく考えてみることに致しましょう。仏教では口で作る四つの罪(口四)すなわち「嘘をでっちあげて、相手を陥れる言葉」を吐くことを固く禁じて、自分自身を知ることを勧めます。また、道元禅師は「仏道をならふといふは自己をならふなり」とおっしゃいました。
人のことをかれこれ言うより、自分が何なのかをさがすことが肝要というものでしょう。自分を知るには、いったん自分を外に出して自分を忘れなければなりません。その時はじめて自分が見え、自己と他己が高次元で統一されているとわかるでしょう。
悪口を言いながら他人に嫌われて暮らすより、本当の世界に自分を
置き、すばらしい一生を過ごしたいものと念じている次第です。
身三=殺生・倫盗・邪姪
意三=貪欲・隕志・愚痴(邪見)
口四=妄語・綺語・悪口・両舌
(この十を戒めたのが十戒)
法話目次九はこちら
サイトトップはこちら