ヤブ医者
先日、病院へ、ある患者さんを御見舞に行ってまいりました。病院には大勢のお医者さんがおられますが、主治医が決まっていて、どのお医者さんにみてもらうかは定まっているようですね。ところでその患者さんは、自分の主治医が若僧であることを、不安材料の一つにあげておりました。年齢はともかくとしても、患者に不安を与える医者では困ります。このような医者を、昔からヤブ医者と言ってきました
が、今回はこのヤブについて申し上げてみたいのです。 ヤブとは野巫のことであり、字の如く、本来は野にある巫のことをさしました。古代には巫が医者を兼ね、呪術と医薬をともに用いて治療を行なうことが多かったのですが、宗教と医術が分かれると、巫の兼務する医者を野巫医者と言うようになったようです。 野巫は一術にしか通じていず、自分が未熟な部分を呪術をするこで補っていたのでしょう。本当は医術にくわしければ、呪術などしないでも治せるというものです。 また禅宗で野巫という時は、寡聞で浅学な修行者をさしました。勉強しない禅者が野巫です。このようなことから、一般に浅学で技術のつたない者を野巫といい、野夫・薮などと当て字して批判してきたというわけですね。とにかくヤブはいけません。私たちの大恩教主であるお釈迦さまは、別名を大医王釈迦如来と申し上げます。お釈迦さまは心の病ばかりでなく、体の病気も治してくださいましたが、野巫のするような呪術は用いませんでした。 世のお医者さん方には是非、お釈迦さまにならって、野巫になることなく、精進していただきたいことでありますし、私たちもお医者さんを信頼し、いたずらに疑深くなって煩悩にふりまわされないよう、心がけたいと思う次第です。
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