統合失調症に変わって

 1993年に全家連が日本精神神経学会へ病名変更の要望を出して以来10年、遂に「精神分裂病」が「統合失調症」と変わることになりました。  全家連と日本精神神経学会による意見募集でも「統合失調症」が多くの支持を集めたとのことで、2002年8月に正式決定されるそうです。  今号では、以上をふまえ前回に引き続き「病名と偏見」についての座談会を開催しました。(2002年4月)



--「統合失調症」という病名について--

(ウメ)
前の病名は抵抗がありましたが、新しい名前にはイメージが湧きません。もう少し浸透して馴染みが出てみないとね。

(HIDE)
私も病名が変わって偏見が少なくなって、イメージが変わっていけばいいなと思ってます。精神分裂病というと、何かバラバラに引き裂かれているる人なのかなと思われがちですから。

(千尋)
私は名前が変わっても、やっぱり偏見の目は変わらないと思うわ。精神病者が事件を起こせば、「あんなの一生病院に入れておけばいいのよ」となるんだから。「統合失調症」といっても、範疇としては「精神病」ですからね。それに分裂病って名前は言い得て妙だと思うのよ。確かに私は分裂しているもの。

(ONE)
私も同意見で、名前が変わっても何も変わらないと思うので、今までと同じ名前でいいと思います。

(アトム)
感情面の起伏とか精神の流れが一人一人違うから、僕は統合失調症には納得できないね。いろんな症状があるんだから、一つの病名じゃ収まらないよ。だから、病名変更により期待することはない。

(カラス)
でも、いろいろな病態があるということで「病」ではなくて「症」になったらしいから、アトムの言うことに対しては配慮された結果の名前のようですよ。

(アトム)
でも、一つの病名じゃ、駄目だね。

(勇二)
僕は大分名前のインパクトが軽くなったような気がします。ただ、分かりづらくもなりましたね。分裂病の方がわかりやすかった。

(カラス)
あまり症状が分からない方がいいということで、「クレペリン・ブロイラー症候群」なんて試案もあったそうですね。歴史を知らなければ何のことかさっぱり分からない。

(千尋)
統合失調症だと、「それってどんな病気なの?」ってしつこく訊かれることになると思うのよ。それも嫌ね。

(勇二)
そうですね。はっきり言って分裂病の方がわかりやすいと思います。でも、やっぱり「分裂病」はあまりいい響きではないので、統合失調症の方が僕は好きですね。



--病名と偏見について--

(勇二)
統合失調症ってピンとこない。何が統合なのか、ちょっとわからないですね。

(とおる)
僕が統合失調症という病名からイメージするものは、心と身体のバランスが上手くとれていないというような感じ。僕の考えでは心も身体も深い部分では融合している。心がうつむき加減になると身体に現れるし、身体が不調だったら心にあらわれる。それと病名はとても大事なものだと私は思っています。数年前にお医者さんから診断書をいただいて「精神分裂病」と書いてありまして、その時のショックは立ち直れないくらいものすごかったんですよ。

(千尋)
精神分裂病がどんな病気か知っていたの?全然精神病に無知な人だったら、その病名を聞いてもなんのことだか分からないわけじゃない。

(とおる)
ほとんど知識はありませんでした。だから、病名の持つインパクトだけでショックを受けました。「精神」が「分裂」する「病」ですからね。

(千尋)
統合失調症に変わってもこれから初めて病名告知される人はやっぱりすごくショック受けると思うし、例えば新聞や何かで事件を起こした場合に、「統合失調症の人が」って書いてあったら、やっぱり「ああ自分もそれと同じ仲間なのか」と思うから、名前が変わったって一緒よ。

(とおる)
でもイメージとしてはやわらかくなったと思いますよ。そういう期待も持ちたいし。分裂っていうとすごくきつい。

(千尋)
躁鬱病の人だろうが分裂病の人だろうが精神病者が事件を起こせば、「あんなのは病院へ入れおけばいいのよ」ってなる。どんな病名であろうが、「精神病」っていう枠の中に入っていれば一緒。病名は沢山あるけれど、偏見は個々の病気に対してのものではなく精神病に対してのものだと思うわ。

(とおる)
僕は以前から病名変更に期待を持ってました。今、作業所で生活させていただいてますけど、ハンディとかブランクとか背負っているわけでして、皆さんそうだと思うんですけど、これから何年か先、何らかの形で社会に溶け込んで自立出来る希望を持って生きられる、そういうことを望んでいますね。その時に、「僕、精神分裂病なんです」と人に言うよりも、「統合失調症なんです。今、作業所で働いています。こうやってがんばっています。」っていう方が言い易い。

(ウメ)
わたしは病名変えるだけではなく、せっかく新しく付けた名前なんだから、それにふさわしいようなプログラムをもっときちんと立てて、中身もリフレッシュしてもらいたいです。従来の医療を継続するだけでは、病名を変えたってあまり意味がないと思う。これを契機に例えば、統合失調症専門病棟みたいなものをつくる。神経症は神経症、気分障害は気分障害というように分けて、もっときめ細やかに診てもらえたらいいと思いますね。外国を見習って良いところは取り入れるようにして。

(千尋)
でも要は精神科にかかってるっていうことでしょ。それじゃ一緒よ。

(卑弥呼)
もしかして、精神科を「心療科」等に変えちゃったら少し違うのかな。

(千尋)
そういうことだわね。だから、病名を変えるよりも「精神科」というのを変えた方がいい。

(アトム )
それはいいな。確かに僕の通っている病院は去年「心療科」に変わって、それ以来混んでいるようだよ。

(卑弥呼)
精神病院なのに内科って名前の付いている病院もあるしね。

(千尋)
私は、病気をきかれても「分裂病」とか「統合失調症」とか言わない。今までも「精神病」って答えるようにしていたし、多分これからもそうすると思う。それで「どんな病気なの?」ときかれたら、「ドーパミンが多く出てんのよ」ってだけ言う。

(勇二)
その言い方は良いですね。僕もまねしよう。



まとめ
前回の座談会では、「何をしたって変わらないから、精神分裂病のままで良い」とい諦めの気持ちが浮き彫りになりましたが、今回正式に「統合失調症」と発表され、僅かながら前向きな気持ちに傾いたように感じられました。
 ただ、やはりまだ底流には医療及び世の中の偏見に対するかなり強い不信感があるようです。今後の医療の発展を望むとともに、偏見除去の為の我々の活動へのをご理解、ご協力いただくようお願い申し上げます。



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