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日本郵政公社最終日2007年9月30日の窓口終了時12時30分の東京中央郵便局(左)と、オレンジ色標識の2007年10月からの横浜中央郵便局
随時更新
新郵政観戦記 ”国有会社”の実際
【最近の話題】 フライイング後のスタート 都会の幻想 年賀はがきの発売日 国営、民営、国有、民間 アップグレードで注目させる会社がある一方で ゆうメールのダイレクトメール 履歴書も送れるA4定額封筒 ノルマ設定の愚 公社時代より開示されない企業情報 国債の共同購入システム 2009年9月16日の約束
【新300円普通切手関連】 余白まで続く300円切手の菱形 新しい300円切手の実物(菱形スクリーン、蛍光インク)
■ ノルマによる利益と不利益 2009年11月1日(日)
お年玉つき年賀はがきの発行枚数は、前回2009年の新年用(2008年度分)は41億3684万4000枚となった。2009年1月5日までに35億3000万枚が販売できたと郵便事業会社は報告しているが、販売期限の1月15日までに完売はできなかったようだ。今回2010年の年賀はがきは、発行枚数が最終的に39億枚と予定されており、前回の実績を考慮して抑えたものだろう。
前回2009年用年賀はがきで1月5日までに販売された35億3000万枚による収入は、1枚50円の料金分だけで1765億円となる。郵便事業会社の2008年度(2008年4月から2009年3月)の営業収益(事業収入)は1兆8652億82百万円となっており、その9%以上を年賀はがきに頼っていることになる。
年賀はがきの販売実数は35億枚を超えても、2009年の年賀郵便物の取扱総数は29億0064万通1千通だった。差は約6億3000万通、1枚50円として315億円分が残ったことになる。郵便事業会社の2008年度の経常利益は589億円だから、人々が年賀はがきを余分に買わなければ、会社の利益は大幅に少なくなっただろう。(注1)
この「余分」による「利益」は、郵便事業会社や郵便局会社のスタッフに課せられた「ノルマ」の効果が大きいのではないだろうか。今回は1人4000枚が義務づけられている職場も多いようで、関係する社員が20万人いれば合計8億枚・400億円に達する。それより少なく1人1000枚だとしても合計2億枚・100億円になる。
ノルマとして社員が購入した年賀はがきは、インターネットオークションに出品されるほか、金券店に持ち込まれるものが多く、金券店での買い入れ価格は1枚35円くらいに落ち込んでいる。
金券店としては、その年賀はがきを額面割れで売ることもできれば、郵便局に持ち込んで一般の切手に交換してから売ることもできる。はがき1枚あたりの交換手数料が5円かかるが、はがきの購入価格が1枚35円であるため、あわせて40円の負担で50円分の切手が購入できることになり、その切手もまだ額面割れで販売できる。
結局のところ、ノルマの数字が大きければ大きいほど、郵便事業会社や郵便局会社の窓口での今後の売り上げの停滞をまねくことになる。郵便局会社としては、郵便事業会社の代理店としての手数料収入の減少につながる危険をはらんでいる。
- 【関係記事】 10月7日付‥ノルマ設定の愚
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- 注1.年賀郵便物には、年賀はがき以外のはがきを使ったものや封書で差し出されたものもあり、6億3000万より多くの年賀はがきが年賀状に使われなかったことになる。ただし、余った年賀はがきをあとから懸賞応募などに使ったり、別の切手・はがきに交換してから郵便に使ったりすることもある。年賀はがきの製造にも費用がかかるため、使われなかった年賀はがきの合計額がそのまま利益になるわけではないが、年賀状に使われない”余分”の購入がなかったら、郵便事業の収入は、より少なかったことになる。
■ フライイング後のスタート 2009年10月30日(金)
6月29日に開かれた日本郵政の株主総会には、100%の株主である財務大臣の代理として財務省理財局次長が出席した。本コラムの6月30日付(株主総会の政府責任)では、官僚まかせの風習を批判した。
当時の麻生内閣の状況であれば、兼任の多かった財務大臣が出席できないとしたら、<郵政事業担当大臣である総務大臣か、財務大臣の命をうけて政務を処理することが職務である財務副大臣が、株主総会に出席するのが筋>だっただろう。
10月28日に開かれた臨時株主総会では、唯一の株主である財務大臣に代わる政府代表として亀井静香郵政改革担当大臣が出席した。当コラムの主張が通った、というよりは「政治主導」となった新政権では当然のことだ。
それに先立って10月20日に閣議決定された「郵政改革の基本方針」や、その後の日本郵政役員人事については、マスコミで批判が目立つ。批判の内容をまとめると、民営化に逆行する、元官僚の起用は疑問、改革の方向性がわからない−−ということになるだろう。
しかし、いま行われようとしている郵政改革は、民営化をいまから始める段階に戻し、公共性のある企業として発展させる方法を模索するということではないだろうか。だから、「民営化推進は当然」というバイアス(先入観による好み)があると、「(実質的な)国営化」という表現で批判することになる。
日本郵政の新社長がまず行う必要があることは、社員が意欲的に働ける環境をつくって、部内の活気を取り戻すことだろう。特に郵便事業会社は、作業方法の変更を部外者が指導したことなどが、事業の発展に悪く影響しているようだ。
官僚出身か民間経営者出身かということよりも、その人に実力があるかどうかという判断材料をマスコミは提供するべきだった。
亀井大臣は、新聞・放送・通信のマスコミ記者クラブ向けの会見とは別に、記者クラブに属さない雑誌やフリーランスの記者などに向けた会見を開いている(注1)。後者の非マスコミ向け会見の内容を読んだほうが、「新しい事業展開をしていく」という意図が読み取りやすい。
- 注1.亀井大臣の両方の記者会見での発言内容は、金融庁サイトの「記者会見」のページに掲載されている。
◆このページでは、2007年10月1日に分社・株式会社化された郵政事業のようすを中心にした郵政関係情報を利用者の立場でリポートします。 ◆現時点で国(財務大臣)は日本郵政の100%の株主で、郵便事業会社・郵便局会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命は4社ともに日本郵政の完全子会社です。日本郵政グループと郵政ネットワークは明治初期からの利用者の料金負担で構築されてきた国民の財産であると考え、「郵政民営化」という言葉を安易には使わないことにしています。実際を考えれば、「分社」「株式会社化」です。◆このページの写真は、個人名・住所・電話番号などの個人情報が含まれている場合、その部分をかくしたり別のものに差し替えたりすることがあります。
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▼ 新郵政観戦記 も く じ ▼
→国内郵便料金早見表 11月1日現在 →ゆうちょ銀行の振替・為替料金表 11月1日現在
→ナットクできる郵便利用法 →「民営化」でこわれる郵便局サービス
→24時間営業する日本郵便支店と休日営業する郵便局(PDF 370KB)
→9月大型連休中(いわゆるシルバーウイーク)の郵便配達と郵便局窓口・ATM
■ ノルマによる利益と不利益 2009年11月1日(日)
■ フライイング後のスタート 2009年10月30日(金)
■ 都会の幻想 2009年10月29日(木)
■ 年賀はがきの発売日 2009年10月28日(水)
■ 国営、民営、国有、民間 2009年10月27日(火)
■ アップグレードで注目させる会社がある一方で 2009年10月22日(木)
■ ゆうメールのダイレクトメール 2009年10月17日(土)
■ 履歴書も送れるA4定額封筒 2009年10月15日(木)
■ ノルマ設定の愚 2009年10月7日(水)
■ 公社時代より開示されない企業情報 2009年10月1日(木)
■ 国債の共同購入システム 2009年9月11日(金)
■ 2009年9月16日の約束 2009年9月17日(木)
■ 「10月1日」は見送り 2009年9月11日(金)
■ 国民をなめるな! 2009年9月6日(日)
■ 10月という約束 2009年9月3日(木)
■ 6月の約束 2009年9月1日(火)
■ 「見直し」、すみやかに 2009年8月31日(月)
■ 「選挙」表示の2色の違い 2009年8月24日(月)
■ 選挙はがきの出され方 2009年8月21日(金)
■ 自己評価は100点満点の法制度 2009年8月17日(月)
■ ATMで無料の電信振替、再び1年延長 2009年8月13日(木)
■ 横型はがき、暑中見舞い用に 2009年8月5日(水)
■ 余白まで続く300円切手の菱形 2009年8月1日(土)
■ ようやくの宅配統合申請 2009年7月27日(水)
■ 新しい300円切手の実物 2009年7月23日(木)
■ 青で2本のバーコード 2009年7月14日(火)
■ 郵便局での取り集めのリスク 2009年7月7日(火)
■ 7月1日は開港150周年記念日 2009年7月1日(水)
▼上記以前の掲載分
→10 こわれていく工作 2009年4月〜6月
→9 国民みんなの持ち物 2009年1月〜3月
→8 説明しやすいルールがほしい 2008年10月〜12月
→7 変化のない変化 2008年7月〜9月
→6 仮の姿のままで 2008年5月〜6月
→5 第2年度にいだく疑問 2008年4月〜5月
→4 説明が足りないままの年度末 2007年12月〜2008年3月
→3 進歩を避けようとする世界 2007年11月〜2008年2月
→2 新しい”ふつう”ですか? 2007年11月〜2008年1月
→1 郵政公社から郵政会社グループへ 2007年9月30日掲載開始
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新郵政観戦記 ”国有”会社の実際 つづき↓
■ 都会の幻想 2009年10月29日(木)
小泉政権の時期、郵政民営化の案を初めて読んだときに感じたことは、「もし日本が東京だけだったら、かなり良い方法であるはずだ」ということだった。
ゆうちょ銀行・かんぽ生命の両社に郵便局への出店義務がないとしても、利用者の多い東京で収益を上げるためには、郵便局から撤退すると不利になる。郵政省の時代から「特に東京の郵便局は、職員への教育が行きとどいていて、顧客への対応が親切だ」と感じていた利用者は多く、国民が安心して日本郵政・ゆうちょ・かんぽの株主になれる。
ゆうちょ・かんぽが完全民営化されたときには、店舗として郵便局を利用することは会社の自由意思ということになり、このときようやく一般の銀行や生命保険会社と対等な位置につくことができるだろう。
日本郵政は、株式売却で得た資金を郵便事業の維持に投入することができる。郵便局会社は、ゆうちょ・かんぽの最高の窓口(代理店)でありつづけることで、両社から安定的な手数料収入が確保できる。
これまでの郵政民営化法の枠組みについて、担当大臣として法案をまとめた竹中平蔵氏が「100点満点」(本欄8月17日付)と自己評価するのも、十分にうなずける。
−−以上は「東京だけが日本だったら」という前提だ。都会だけを考えた幻想だった。
民営化計画の原案作成に加わった学者には、「採算性の低い地方の郵便局は、コンビニなどの副業を始めればいい」と言っていた人がいた。郵便局の利用者が少ないところで、コンビニの経営が成り立つのだろうか。まして、完全民営化をもともと予定していない郵便局という”官業”が、地域の個人商店を圧迫していいものなのか。
鳩山政権にかわって10月20日に閣議決定した「郵政改革の基本方針」は、郵便・貯金・保険を全国あまねく利用できるようにすることと、郵便局を地域の拠点として活用することを明示している(注1)。この方針の内容は、郵政事業の民営化をいまから始めようという時点で国民に明示されるべきだった。
マスコミでの論評には、貯金・保険の全国サービス義務づけを問題視するものや、国民新党や亀井静香郵政改革担当大臣の主張に引きずられすぎだと批判するものが目立つ。しかし、「郵政改革の基本方針」は、8月の衆議院選挙にあたって民主党が政権公約にかかげていた内容に沿った内容になっている。4年前の”郵政選挙”の結果は尊重して、直近の選挙の結果は無視するのだろうか。
いまは、「郵政改革の基本方針」という新しい枠組みの中で、民業の圧迫にならず、かつ国債購入機関だけで終わらないようにする方策を考えることのほうが大切だ。
- 注1.首相官邸サイトに「郵政改革の基本方針」の全文が掲載されている。
- 注2.民主党の政権政策マニフェストの「33.郵政事業を抜本的に見直す」の項に示されている。
■ 年賀はがきの発売日 2009年10月28日(水)
2010年のお年玉つき年賀はがきが、10月29日に発行される。
年賀はがきの発売日というと、例年、季節の話題としてマスコミで取り上げられることが多い。
旧郵政省は、国営で公共的な企業であるという立場から、郵便関係の宣伝をマスコミで無料で取り上げてもらう広報活動に努力していた。特に、年賀はがきの発売日と年賀状の受け付け開始日には、都市部の中心的な郵便局にできる行列がテレビに映し出されるように手配した。
もっとも、年賀はがきの発売日のほうだけであれば、行列は何とかなる。いつもの記念切手類の発行日に集まるコレクターが、年賀はがきでも列をつくってくれる。発行当日の記念の日付印(消印)を集める人たちだ。そのコレクターの列が、”年賀はがきを求める人たち”としてテレビ画面に登場することになる。
営利企業になるとマスコミが無料の宣伝をしてくれないのではないか−−などと思っていたが、公共的な事業であることに変わりがないという認識もあるようで、2007年秋にも2008年秋にも年賀はがき発売のニュースは流れていた。
年賀郵便物の取り扱い通数は、日本郵政公社初年度の2003年度に33億5861万通あったあとは減少をつづけており、郵便事業会社となった2007年度は30億を割って29億7970万通、2008年度は29億0064万通だった。
その数を郵便事業会社としては減らしたくないだろうが、「年賀状は12月25日(金)までにお出しください」などと言っていると、「そんなに急がせるのだったら、年賀状を書くのをやめた」という人を増やすだけだろう。年明けに書いてもかまわないという気分を創出しなければ。
年賀はがきの購入申込用紙つきチラシから
■ 国営、民営、国有、民間 2009年10月27日(火)
自民党政権の時代、国会議員以外の人が国務大臣に起用されると、「民間からの登用」というように報道されていた。しかし、閣僚となった”民間人”の多くは官僚出身者だった。
いま民主党政権になり、日本郵政の社長候補が官僚出身者だと、「民間人を起用しろ」と批判する人があらわれる。
1987年、日本航空(当時)の政府持ち株が市場に完全放出されたとき、「日本航空民営化」のように報道された。1998年、国際電信電話(KDD=当時)の政府持ち株が完全売却されたときも、「KDDは民営化された」などと表現されていた。
一方。1985年、日本電信電話公社が株式会社に改組されたときも「民営化」だった。1987年、日本国有鉄道が廃止・分割されたときも「民営化」ないし「分割民営化」だった。しかし電電も国鉄も、その「民営化」の時点では、政府または政府機関が株式の100%を握った状態だった。
マスコミでの「民営化」という言葉の使い方にブレがある−−と長く感じてきた。最近になって、「民営化」という言葉には相対的な関係に対して使われる性質があるのではないか−−とも考えるようになった。国営的な状態が、少しでも民営的な状態に移行すれば、その時点で「民営化」になってしまうわけだ。(注1)
2003年、りそな銀行に政府資金が投入されたときには、「りそな銀行国有化」と表現されていた。しかし、NTT・JR各社・日本郵政は、国有の状態で発足したのにもかかわらず、「国有」という言葉があまり使われない。これは、「民営化」を強調できなくなるという意識がはたらくためだろう。それでも日本郵政については、西川善文社長のおかげで、国有状態であることを国民が認識できた。(注2)
「郵政民営化」という言葉の使われ方をみていると、2007年10月に行われた郵政事業の分社・株式会社化をさしているのが一般的だ。
しかし、”郵政改革”の基本を定めた郵政民営化法を読む限り、ちょっと違った意味で「郵政民営化」という言葉が使われている。
同法では、2007年10月に郵政事業を分割・株式会社化することとあわせて、2017年9月末までに銀行と保険会社の株式を完全に売却することを定め、どのように民間会社に変えていくのか、その移行のために政府がどのようにかかわるのか、行程を示している(注3)。
国有・国営だった郵政の事業を、2007年から10年がかりで民間企業に移行していくこと。−−これが郵政民営化であるわけだ。
- 注1.逆に、「民営化」された会社への政府関与が強くなると「(実質的な)国営化」と表現されることになる。郵政大臣(後に総務大臣)が管理した時期の郵政事業は国営企業、これを引き継いだ日本郵政公社は国営の公社という位置づけだった。
- 注2.このページの見出しでは、「国営」ではなく「国有」という言葉を当初から使っている。
- 注3.持ち株会社である日本郵政の株式は3分の2を超えない範囲で市場で売却され、郵便事業会社と郵便局会社は日本郵政が全株式の保有をつづけることになっている。
■ アップグレードで注目させる会社がある一方で 2009年10月22日(木)

電子郵便(レタックス)は、右側の口から。ただし、速達などと比べて なじみのない郵便になっているのが現実だ。
ファクシミリ送信型電子郵便レタックスは、1985年に全国のポストから差し出せるようになった。インターネット利用型電子郵便ハイブリッドめーるは、2000年に取り扱いが始まった。翌2001年からは、インターネットから内容証明郵便物 e内容証明が差し出せるようになった。
どれも、郵政事業が完全国営だった時代に導入されたものだ(注1)。
ファクシミリ送信型電子郵便の愛称「レタックス」は、レターとファクスの組み合わせであることを表している。手紙(レター)の実物が相手に届くのではなく、差し出した地域の支店から受取人の地域の支店まで、手紙の文面がファクシミリ送信される(注2)。受信した支店で、文面を紙にプリントして封筒に入れ、速達郵便物として配達する。夕刻最終の速達配達便に間に合えば、差し出し当日中に相手に届くことになる。1通の料金は、A4文書1枚のとき580円。
自宅のバソコンから差し出せるインターネット利用型電子郵便「ハイブリッドめーる」(注3)のほうは、新東京支店がWeb画面で内容文書を受け付けて、同支店または他地方の拠点支店の機械で印刷・封入して発送する。A4文書1枚で黒1色印刷のとき1通100円で、配達は普通郵便の扱いになる。
ハイブリッドめーるを利用していてよく感じることは、「なぜ普通郵便扱いだけなのか」ということだ。
印刷・封入した支店から速達扱いで発送するオプションがあれば、もっと便利だ。もし、受け付けた新東京支店から受取人側の配達支店まで内容文書が電送できるのなら、その支店から速達郵便物として配達することで、レタックスと同じように即日配達ができることになる。
郵便事業会社の現有のシステムをさほど変更することなしに、導入できるのではないだろうか。
郵便事業会社は、ようやく2010年2月から、Web利用で差し出した電子郵便を、レタックスとして即日配達する扱いを導入することになった(注4)。追跡もできるようにするという。ハイブリッドめーるの取り扱い開始から10年、とは遅い。
郵政事業の「公社化」「民営化」は、民間企業の手法による経営努力を求めた政策のはずだった。しかし、郵便を知らない民間出身経営者が力をもつ状況では、自社商品を面白くすることに頭がまわっていなかった−−というのが、ここまでの現実のようだ。【関連記事‥10月15日付】
- 注1.郵政省の事業担当部局が2001年1月6日に郵政事業庁(総務省の外局)に移行。2003年4月1日から日本郵政公社、2007年10月1日から日本郵政グループ。
- 注2.レタックスとして送る手紙は、用紙の大きさや受取人住所・氏名の記載位置などが細かく規定されているため、郵便窓口に用意されている電子郵便用紙に記載するのが一般的。適宜な封筒の表面に「レタックス」または「電子郵便」と書いて料金分の切手をはり、原稿(手紙)を入れれば、ポストから出せる。
- 注3.ハイブリッドめーるを差し出す場合は、あらかじめインターネット経由で利用者登録が必要。料金は、クレジットカード払いか後納。
- 注4.情報通信行政・郵政行政審議会の郵政行政分科会(2009年7月17日)の会議記録、および郵便事業会社の2009年7月17日発表による。
■ ゆうメールのダイレクトメール 2009年10月17日(土)
地上デジタル放送を案内するダイレクトメール(写真)が総務省から送られてきた。郵便事業会社が配達してきたものだが、あて名はなく、「配達地域指定」と「ゆうメール」の表示がある。
定形サイズの封筒だが、郵便物ではなくゆうメールであるということは、信書ではない印刷物だけが入っていることになる。それが配達地域指定で届いたということは、近辺一帯の全戸に一斉に配達されたということだろう。
封筒表面に「お知らせ」とか「あなたの地域の」などと書いてあるが、特定の受取人である「あなた」の家のテレビについての案内ではなく、「あなたの地域」に向けての一般的な告知となっているようだ。チラシ広告でも配れる内容の印刷物であれば、信書には該当しないと考えていいのだろう。郵政事業も受け持つ総務省が送っている以上は、ルール違反はできない。
総務省は「信書に該当する文書に関する指針」を発表し、どんなものは信書になって、どんなものは信書にはならないかを示している(注1)。これによると、あて先を特定しないダイレクトメールは信書には該当しないことになる。
ただし、この指針はあくまでも法令解釈のための案内という性格をもつ。現実の法令では「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書をいう」としか定めていない(注2)。
ゆうメールは以前の冊子小包郵便物に相当するが、2007年10月の郵便事業会社発足時に郵便物から除外された。その冊子小包郵便物は、1998年9月、それまでの書籍小包郵便物とカタログ小包郵便物とが統合されたものだ。
冊子の形になっていない印刷物は、ゆうメールを小口で差し出すときには送れない。
一方、1回にまとめて500通または1カ月間に合計500通以上の大口利用をするときには、冊子の形にはなっていない印刷物を送ることができる。これにより、ゆうメールを大口利用すれば、信書に該当しないダイレクトメールが、郵便物よりも安く送れることになる(注3)。
今回の地デジ案内のように定形郵便物サイズで配達地域指定(あて名なし)の場合は料金が特に安く設定され、1通20円前後(推定)となっている(注4)。
- 注1.信書に該当すると考えられているものは、書状のほか、請求書・納品書・領収書・見積書類、会議通知・結婚式招待状、許可書類、証明書類、文書に受取人名が記載されているダイレクトメールなどで、紙などの有体物に記されたもの(電磁的記録物を含まない)。
- 注2.郵便法第4条第2項。民間の信書便の対象となる信書も同じ規定が適用される(民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第1項)。
- 注3.荷物(旧小包郵便物)を数えるときに郵便事業会社は、通ではなく個を使う。「料金」は、郵便物から除外されたときから「運賃」となっている。
- 注4.配達地域指定ゆうメールの運賃は一般公開されていないが、日本郵政公社当時の料金が変更されていないもようだ。配達地を受け持つ支店から差し出す場合の1通あたりの運賃は、定形封筒程度のサイズで100g以下のとき、発送数4999通までのとき28円、5000通〜9万9999通のとき20円、10万通以上のとき18円。
■ 履歴書も送れるA4定額封筒 2009年10月15日(木)
エクスパックは、重さに関係なく500円均一で、ポストから差し出したときでも番号によって追跡できる(注1)。
2003年4月、発足直後の日本郵政公社がエクスパックを発売したときから、「信書が送れればもっと便利なのに」と感じたものだ(注2)。そんな封筒があれば、取引相手への企画書や就職活動の応募書類を、重量オーバーによる料金不足を気にしないで郵送でき、相手側に配達されたかどうかが自分で確認できる。
あのときから7年後となる2010年4月、信書が送れて料金均一の封筒がようやく発売されることになった。特定封筒と郵便事業会社では名づけている(注3)。
特定封筒の大きさは、A4判が入る240mm×340mm。配達時に普通郵便扱いになる料金350円の封筒と、配達時に記録扱いになる料金500円封筒の2種類が用意される。それぞれ、郵便はがきのように料額印面(切手部分)が印刷される。
特定封筒がポストや窓口から差し出された場合、第一種郵便物の一区分として新設される特定封筒郵便物となり、郵便物の限度重量である4kgまで均一料金が適用される。
350円の特定封筒は、厚さは3cmが限度とされ、普通郵便物と同じように郵便受け箱に配達される。
500円の特定封筒は、厚さは封筒に入る範囲で自由とされる。これが差し出されたときは、特定封筒郵便物のために新設される交付記録郵便という特殊取扱となり、書留郵便物と同じように受領印を受けて対面配達または窓口交付される。500円という料金は、交付記録郵便としての特殊取扱料金を含んだ金額だ。
350円・500円のどちらの封筒を使った場合でも、郵便事故のときの損害賠償は行われない(注4)。
特定封筒で差し出す郵便物は、第一種郵便物となることから、信書だけでなく物品を送ることもできる。その点ではエクスパックよりも便利だ。ただ、封筒の材質がどのようになるのか、速達や配達日指定などの特殊取扱が加えられるのか、詳細の発表がこれからとなる。どんな物品の郵送に適しているのか、まだわからない。
- 注1.エクスパックの名は当初は定形小包郵便物の愛称。2007年10月、郵便事業会社発足に伴う郵便法改正により小包が郵便物から除外され、現在はエクスパックが正式名になっている。当初は小包郵便物であったために、現在は郵便物ではないために、信書を送ることが認められない。
注2.信書とは、特定の受取人に対して、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書と規定される(郵便法第4条第2項)。
注3.特定封筒の内容と取り扱い方法は、情報通信行政・郵政行政審議会の郵政行政分科会(2009年7月17日)の会議記録、および郵便事業会社の2009年7月17日発表による。
- 注4.損害賠償は、書留・特別送達・代金引換のほかは、引き受けと配達の両方を記録する郵便物でなければ行われない(郵便法第50条第3項・第5項)。
■ ノルマ設定の愚 2009年10月7日(水)
書留郵便物が届いて受領印を押した直後、その配達員から「年賀はがきはいかがですか」と”御用聞き”を受けた。その人に予約をすれば、はがきの発売後、希望の日に届けてくれるという。
こんどのお年玉つき年賀はがき(2010年分)は、10月29日に発売される。郵便事業会社の内部では、実質的な販売ノルマが社員に課せられている。支店によって異なるものの、社員1人あたり5000枚以上という例もあるようだ。
郵便利用者として感じることは、
「郵便配達の仕事をする人には、商品を売ることなんか考えないで、配達の仕事に専念してほしい」
ということだけだ。
配達の途中に商品販売をすれば、その地域での郵便配達は遅れることになる。サービス低下ではないか。
配達する人が「売れなくて困る」と悩めば、安全に影響することもあるだろう。交通事故によって配達の遅れや郵便物の損傷が生じれば、顧客にとっても被害となる。
かりに郵便事業会社の配達スタッフから年賀はがきを100枚買ったとしても、地域の郵便局での販売枚数が100枚少なくなるだけのことだろう。
同社の期間雇用社員にとっては、ノルマ達成を契約更新(雇用期間延長)の実質的な条件のように締めつけられることもある。そのため、年賀はがきを自分で買い込んでインターネットオークションでさばく人も多い。結局、定価割れでなければ売れない。そんな”自爆”を待っている”顧客”が多ければ、地域の郵便窓口で売れる数は少なくなる。
郵便事業会社が年賀はがきでの収入確保を本気で考えているのであれば、商品や役務の質で勝負すべきだろう。支店レベルでのノルマ設定は、大量の定価割れをまねいて自社商品の価値を下げる愚策でしかない。いつになったら日本郵政グループは気づくのか。
購入申込用紙つきの年賀はがき案内の例
■ 公社時代より開示されない企業情報 2009年10月1日(木)
2007年10月1日に郵政事業が分社・株式会社化されてから2年たった。
この2年間に世の中で「郵政民営化によるサービス悪化」と指摘されるようになった事柄には、「民営化」というよりは、分社に主な原因があるものと株式会社化に主な原因があるものとがある。
もとの集配郵便局の中にできた会社別の仕切りに利用者側が合わせなければいけないことや、小規模な郵便局が地域の名産品の発送を受託しにくくなったことなどは、分社が原因だといえるだろう。
郵便局の領収証に印紙税がかかるようになったことや、振替・為替の送金料金が上がったことは、株式会社化によって一般企業並みに扱われるようになっことが原因だ。
しかし、原因が「分社」とも「株式会社化」とも特定しづらい郵政劣化の状況がある。日本郵政公社の時期までは企業情報として開示されていたデータに、分社・株式会社化してからは一般発表されないものがあることだ。
郵便事業の分野であれば、人件費の金額など経費の内訳、郵便物の第一種から第四種に区別しての収支、切手・はがき・料金別後納の別による収入内訳、地方支社別の収入、都道府県別の郵便物利用通数などは、日本郵政公社は発表していたのにかかわらず、郵便事業会社になってからは一般発表されていない。
貯金の分野であれば、都道府県別の貯金種類別残高や住民1人あたり貯金額などが、ゆうちょ銀行になって一般発表されていない。
郵便事業の営業収入の31%は東京支社(東京都だけを受け持つ)の収入であること、郵便事業の経費の78%は人件費であること、郵便貯金の1人あたりの保有額が和歌山・徳島・香川の3県だけは180万円を超えていること‥‥などが日本郵政公社の時代はディスクロージャー誌から確認できた(注1)。
いま郵政改革の見直しを考えようというとき、郵政の制度やサービスの現状を把握するには、日本郵政公社の時期と同じレベルでの情報開示が必要だ。
- 注1.「日本郵政公社2007」(2007年8月発行のディスクロージャー誌)に掲載された2006年度(2006年4月〜2007年3月)の決算や関係データから。1%未満は四捨五入。
■ 国債の共同購入システム 2009年9月28日(月)
郵便局会社の収入源は、郵便事業・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の3社からの代理店手数料だ。
2008年度の事業収入(注1)の50%が、ゆうちょ銀行からの手数料だった。次いで32%は、かんぽ生命からの手数料となっている。郵便事業会社からの手数料は16%にすぎない。
全国の郵便局の「郵便」の窓口は、もはや、銀行・生保共同代理店の副業サービスという状態になっている。
一方、ゆうちょ銀行の資産のうちの79%、かんぽ生命の資産のうちの65%は、国債で運用されている(注2)。
それより2年前、郵政事業分社の半年前の2007年3月末時点(注3)での国債の比率は、郵便貯金では63%、簡易保険では56%だった。契約額が減少したために、現在のほうが国債比率が高くなった。
ゆうちょの貯金をしたり、かんぽの保険契約をするということは、国債の共同購入システムに加入するのと同じようなことになっている。
結局のところ、郵便事業の全国ネットワークは、国債に大きく依存していることになる。
ゆうちょ銀行・かんぽ生命の国債保有額は、680兆円に達した国債発行残高の約3割を占めており、日本政府の財政も日本郵政グループの”顧客団”に依存していることになる。
「郵政民営化」路線の見直しにあたって、日本郵政グループの組織をどのように改めるかが論じられている。
とりあえず株式売却は凍結するにしても、ゆうちょ・かんぽの今後の資金運用の方法をどのようにするかを考えないことには、新しい組織形態は決められないのではないだろうか。
地域社会の活性化を考えるというのなら、地方公共団体向けの融資を増やすとか、住宅ローン・進学ローンなどの個人向け資金供給を始めるとか、検討しないといけない。ゆうちょ銀行・かんぽ生命を地方別に分社するという案も、検討されていいと思う。
- 注1.2008年4月1日〜2009年3月31日の営業収益(主たる事業の収入)。「日本郵政グールプ ディスクロージャー誌 2009」から計算。1%未満は四捨五入(以下、百分率は同様)。
- 注2.2009年3月末時点、「日本郵政グールプ ディスクロージャー誌 2009」から。
- 注3.「日本郵政公社2007」から。
■ 2009年9月16日の約束 2009年9月17日(木)
9月16日、鳩山由紀夫首相は亀井静香国務大臣に辞令を発した。
「郵政事業の抜本的な見直し及び改革を推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当させる」
郵政民営化法により、内閣には首相を本部長とする郵政民営化本部が設置されることになっている。副本部長としては、「内閣総理大臣の命を受けて、郵政民営化に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣」をおかなければならない。
小泉純一郎内閣以後の自・公連立内閣では、その国務大臣への辞令に「郵政民営化を政府一体となって円滑に推進するため企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当させる」と記された。一般には「郵政民営化担当大臣」と呼ばれた。
それが鳩山内閣では、「郵政改革担当大臣」となったわけだ。
亀井郵政改革担当相は就任記者会見で、
「昔の郵政事業にそのまま戻すというわけではありません。地域社会の活性化、日本の社会・経済の力強い発展のために貢献できる郵政事業を作る上げていきたい」
と述べている。
日本郵政グループの直接の監督は、原口一博総務大臣が受け持つ。就任会見では、
「分社化ありきの民営化を見直し、郵政事業における安心と信頼を回復する」
と述べ、亀井担当相との役割分担はどうなるのかという質問には、「協働関係で、亀井さんのところで深堀りをし、総務省と一緒に方向性を見いだす」と答えた。
国民との約束として確実に実行するということを、常に忘れずにいていただきたい。
■ 「10月1日」は見送り 2009年9月11日(金)
佐藤勉総務大臣は9月8日、ゆうパックとペリカン便との統合は現段階では認可できないと発表した。
郵便事業会社に示した再検討事項(8月11日・総務相会見)に対しての回答が「実現性、具体性に欠けた不十分なもの」で、佐藤総務相の懸念を解消できる内容になっていないという。
「現時点で総務大臣からの認可は得られていない状況にある」と認識した郵便事業会社は9月11日、「10月1日の宅配便事業統合を見送る」ことを発表し、認可を得るために「引き続き、総務省への説明を継続」していくことになった。
認可を見送った佐藤総務相の懸念のひとつに、日程の無理がある。たとえば、郵便局スタッフの研修のための実技訓練は、統合当日の始業前1時間だけだという。
3月31日付で鳩山邦夫総務相(当時)が郵便事業会社に提示した「認可の条件」では、業務運行に問題が生じないように「職員の訓練期間を十分に設ける」ことや、「宅配便事業統合前の利用者利便性が総体的に確保されるように」することか求められていた。
佐藤総務相が8月に再検討を求めた中には、「宅配統合が郵便業務に与える影響などを再評価」することも含まれている。これは3月31日付の「認可の条件」にも示されていたことだ。
その「認可の条件」には、郵便事業会社支店の一部をJPエクスプレスに使わせる場合に「信書の秘密が侵害されることのないように措置する」ということも掲げられている。郵便事業会社の顧客という立場で、関心を寄せないといけない事柄だ。
憲法で保障される「信書の秘密」には、手紙の中身だけでなく、封書の外面に記された事柄の秘密も含まれる。だれからだれに郵便物を送ったかという情報を含めて、秘密が保持される必要があるわけだ。
そうであるなら、郵便事業会社施設を借用するJPエクスプレス(の社員)が郵便物に接することのないように、”仕切り”は確保されるのだろうか。あるいは、コンビニエンスストアで宅配便荷物を集荷するJPエクスプレスのスタッフは店内ポストの郵便物は集めないというルールが、確立されるのだろうか。
ひきつづき、統合後の宅配便事業の取り扱い内容は国民に開示されないままとなっている。
〒マークと日本郵便ロゴを消して「JPエクスプレス」ロゴをかかげた
「ゆうパック」集荷自動車が、9月に各地で”見切り発車”している。
■ 国民をなめるな! 2009年9月6日(日)
総務大臣の認可が得られないままでも、郵便事業会社はゆうパック事業を子会社JPエクスプレスに実質的に移管することができるだろう。ゆうパック事業の経営主体は従来どおり郵便事業会社であることにして、運送をJPエクスプレスに委託したことにすればいいだけだ。
「それだけはするな」と、総務省も民主党も、いまのうちにクギをさしておかなければいけない。
ゆうパック事業の子会社移管(ペリカン便事業との統合)を郵便事業会社が準備することについては、すでに認められている。3月に総務大臣が認可した2009年度事業計画の中に含まれている内容だ(本欄4月1日付)。しかし、その統合の具体的計画について再提出が求められ、それがまだ認可されていない(本欄7月27日付)。
5月末ごろに決定するはずだった新ブランド(商標)も発表していない郵便事業会社だが、統合時期は10月1日と決め、すでに人員や施設の子会社移行を進めている。
あわせて、非正規労働者の一部を雇い止めにすることで、人員削減をはかるようだ。雇用を政府系企業が悪化させようとするわけだが、日本郵政グループはその予定についても一般に発表していない。
あと1カ月もない。認可がない以上、新宅配便の取扱内容も発表できない。だったら、利用者側に準備期間ができるように、移管を遅らせて当然だ。
総務省も、準備が実質的に進んでいることを追認しての認可は避けなくてはいけない。
「かんぽの宿」の事件で反省したはずだったのに、国民をなめている日本郵政グループの体質は相変わらずのようだ。
■ 10月という約束 2009年9月3日(木)
ゆうパックとペリカン便の統合時期について、佐藤勉総務大臣は8月、当初予定の10月1日よりも遅らせる必要があるという考えを示していた。その後、現時点でも大臣認可はないが、日本郵政グループ内部では10月1日実施のつもりで統合準備が進んでしまっているようだ。
佐藤総務大臣は、6月12日の就任直後から国会などで、郵便事業会社と日本通運の出資によるJPエクスプレスにゆうパック事業を移して宅配便を統合する計画について、十分に精査することを約束していた。(本欄6月25日付)
郵便事業会社から7月29日に提出された計画内容(認可申請)については、佐藤総務大臣は8月11日の会見で、持ち株会社・日本郵政の西川善文社長に次の3点を要請したことを明らかにした。(総務省サイト、広報・報道>大臣会見・発言等:2009年8月)
- 1.統合日は10月1日にこだわらずに、オペレーションの準備状況をふまえて再検討すること。
- 2.計画したサービス水準の実現のために、要員配置と業務運行体制について再検証すること。
- 3.宅配統合が郵便業務に与える影響などを再評価し、収支見通しが下ぶれした場合の対応などを慎重に行うこと。
この要請の内容とともに、顧客に向けての説明準備を考えれば、統合は遅らせるべきだろう。
日本郵政グループからは、認可申請をしたということが7月29日の申請当日に発表されて以来、今後の統合手順やサービス変更などについて一般利用者に向けての説明が何も行われていない。
根本的なことを言えば、郵便事業会社がなぜ他社と提携する必要があったのか、提携相手がなぜ日通(ペリカン便)だったのか、日本郵政グループは国民に対して十分な説明をしていない。
佐藤総務大臣には、認可を保留して新政権の総務大臣に検討を託すという方法も考えてほしい。

「ゆうパック」と同じ色で「JPエクスプレス宅配便」の文字を目立たせるペリカン便ノボリ(左)
■ 6月の約束 2009年9月1日(火)
民主党の鳩山由紀夫代表は6月、日本郵政の西川善文・取締役兼代表執行役社長の解任が認められずに鳩山邦夫氏が総務大臣を辞任したとき、「民主党が政権をとったときは、西川社長には辞めていただく」と話した。
鳩山由紀夫氏が内閣総理大臣になったら、この約束はすぐに実行すべきだろう。
かんぽの宿の安売り工作など日本郵政グループ幹部が起こした問題の追及は、「郵政民営化」を進めるか見直すかという議論とは次元が異なる。「民営化」議論とは切り離し、現行法に照らして、その行為が適切かどうかを論じなければいけない。
「週刊朝日」9月4日号では、かんぽの宿の安売りが日本郵政公社廃止前から準備されていたという疑惑を報じている。
日本郵政の社長職は、2006年1月に「民営化」準備会社として発足したときから西川氏がつとめている。2007年4月には日本郵政公社総裁にも就任し、同年9月末の公社廃止までは総裁と社長を西川氏が兼任した。公社最後の半年間、郵政事業の経営と分社・株式会社化準備の両方に責任のある立場にあったことになる。
6月15日、総務大臣辞任後の鳩山邦夫氏が会見し、「日本郵政が下の子会社をしばりつける契約書」として「日本郵政グループ経営管理契約」という文書が存在することを明らかにし、その契約内容を国民に発表して批判を受けるべきだと語った。「国民の共有の財産を守るためには、命がけでこれからも戦う」とも言っている。
「郵政民営化」の見直しにあたって新政権は、こういった内部状況も積極的に発表してほしい。
政権の側で発表しないと、鳩山邦夫氏から質問主意書が出されて、野党(自民党)にポイントをあげられる(かもしれない)。
■ 「見直し」、すみやかに 2009年8月31日(月)
衆議院選挙で、「郵政民営化」の見直しが支持される結果となった。
新しい与党は内閣発足時点ですみやかに、日本郵政グループ株式の売却を凍結する法律を成立させるべきだろう。
日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命各社の株式売却凍結法案は、2007年に参議院では可決されたが、2008年に衆議院で否決されて廃案になった。この法案は、参議院で野党が過半数を確保したことから、民主党・社民党・国民新党が共同で参議院に提出し、共産党も賛成した。
今回の衆議院選挙にあたっても、民主党・社民党・国民新党に加えて共産党も、それぞれに、「郵政民営化」の見直しをかかげ、その見直しを審議している最中に「民営化」が進むことを阻止するための株式売却凍結を約束している。
そうであれば、首相指名のために9月に開かれる特別国会で、前回と同じ法案を提出すればいい。選挙の結果をふまえれば、急ぎすぎということはないだろう。
当然ながら、その後の具体案の取りまとめを遅らせてはいなけい。
民主党・社民党・国民新党の公約をみる限り、いまの4分社を見直すことと、郵便・貯金・保険のサービスを全国規模で継続的に提供できるような事業形態にすることでは、一致しているように読める。
■ 「選挙」表示の2色の違い 2009年8月24日(月)
衆院選の公示から1週間たって、選挙表示印(前回8月21日付)の2色が手もとにそろった=写真。この2色による区別をまとめると、次のようになる。
◆黒の選挙表示 (規定上の印色表記は「さびききょう色」=一般の消印の色と同じ)
郵便料金が無料(公費負担)/衆院選では小選挙区の候補者が差し出せる/参院の比例区・選挙区、都道府県・市町村の首長・議員の選挙にも用いられる/はがき印刷費に公費補助がある。
◆赤茶の選挙表示 (規定上の印色表記は「とび色」)
郵便料金が有料/衆院選の小選挙区候補者届け出政党が差し出す場合に限って適用される(他の選挙では有料の選挙はがきが出せない)/料金別納郵便にする場合、その表示色は黒か青か鮮赤色/はがき印刷費に公費補助がない。
写真の2通は、候補者の政党は異なるものの、表面左上部に点線や注意書きが印刷してあることで共通している。あて名を書く運動員や支援者が、左上コーナーの横35mm×縦70mmの範囲に文字を入れたりラベルをはったりしないようにするためだ。
選挙用ではない一般の手紙・はかきでも、この範囲は無記入にするというルールは変わらない(本欄4月22日付)。しかし現実には、あて名をこの範囲に入れてしまう人が多い。差し出した後に消印が押されることを想像していないということなのだろう。
法令に基づいて使われる選挙表示印がはっきりと見えるにようするために、はがきを作る政党や候補者の側で意識しているようだ。
■ 選挙はがきの出され方 2009年8月21日(金)
衆院選にあたって、「選挙」表示の印が押された郵便はがきをすでに受け取られただろうか。
この選挙はがきは、コレクターズアイテムとして注目されることがある(注1)。
衆院小選挙区では、候補者1人で3万5000枚までの選挙はがきを差し出すことができる。料金は無料で、その費用は国庫で負担する。
候補者は、郵便事業会社から無料で普通はがき(注2)の交付を受けることもできれば、はがきを私製して無料で差し出すこともできる。
この無料扱いの選挙はがきは、選挙表示印(写真)が黒で押される(注3)。
候補者個人とは別に衆院小選挙区の候補者届け出政党も、選挙はがきを出すことができる。枚数は、都道府県ごとにその都道府県内でのその政党の候補者人数の2万倍までとなっている。この政党差し出しの選挙はがきは有料となる。
届け出政党は、郵便事業会社から普通はがきを買い求めるか、はがきを私製して料金を払って差し出す。その料金は、別納にすることもできれば、1通ごとに切手(50円分)をはることもできる。
この有料扱いの選挙はがきは、選挙表示印(写真と同じ形式)が赤茶で押される(注4)。
以上のルールから、衆院選での選挙はがきには、おおむね次の5タイプの出され方が存在することになる。(衆院比例代表については、選挙はがきを使うことが認められていない)
- 1 普通はがき−黒の選挙表示(無料)
- 2 私製はがき−黒の選挙表示(無料)
- 3 普通はがき−赤茶の選挙表示(有料)
- 4 私製はがき−料金別納で赤茶の選挙表示(有料)
- 5 私製はがき−切手をはって赤茶の選挙表示(有料)
この中で特に、切手をはって差し出された私製の選挙はがき(5)は、郵便の資料収集者や切手のコレクターから「数が少ない」と注目され、個人あてに届いたものが金銭で取引されることがある。
候補者や届け出政党は、選挙はがきを限度いっぱい一度に発送する必要はなく、小分けして差し出すことが認められている。
政党分の有料の選挙はがきは、まずは料金別納でまとめて差し出した後、あとから差し出す分には切手をはることも、ないとはいえない。
もっとも、コレクターズアイテムになると意識して多数の選挙はがきに切手をはって政党が差し出したとすれば、希少価値は下がることになる。
- 注1.消印(通信日付印)とは違って、差し出し日にかかわらず公示日が表示される。
- 注2.郵便事業会社発行の一般の50円通常はがきを、この記事では「普通はがき」と表記した。
- 注3.一般の消印と同じ色で、この色は厳密には黒ではなく、紫がかっている。規定での印色の表記は「さびききょう色」。
- 注4.規定での印色の表記は「とび色」。(注1・3・4は、それぞれ公職選挙郵便規則に規定)
■ 自己評価は100点満点の法制度 2009年8月17日(月)
郵政民営化担当大臣をつとめた竹中平蔵氏が、8月17日のTBSラジオの報道番組にゲスト出演し、みずから作成した郵政民営化の法制度の枠組みについて、
「これ以外ありえない。お叱りをうけるかもしれないが、100点満点だと思います」
と発言した。
日本郵政グループのいまの経営陣の手腕にも、竹中氏は合格点を与えるという。しかし、
「郵政民営化法によって民営化を推進する責任がある政府が、脚をひっぱっている。いちゃもんのようなものをつけて、郵政が動けない」
と、名前は挙げなかったものの、鳩山邦夫前総務大臣の手法を非難した。
郵政民営化の見直しや株式放出の凍結を求める野党に対しては、
「民営化はいいが(組織や制度の)中身を変えろとは、いい加減。(野党はもともと)国営がいいと言っていたのだから、国営に戻せばいい。中途半端な民営化がいちばん困る」
と批判した。
実は…。総務大臣が日本郵政グループを監督することも、予算や役員人事に政府が拒否権をもつことも、竹中氏が原案をまとめた法制度に基づいている。その制度か、あるいは経営者の手腕か、少なくとも一方が”不合格”であるからこそ、問題が起きるのではないだろうか。
その”満点”の法律に従って株式の売却が進めば、全国規模のサービス展開が今後も続くのかどうか、国民の不安がさらに増すことになる。
いまの法制度の原案作成時、郵便局を日ごろ利用する一般人の感覚が欠けていたのではないだろうか。
■ ATMで無料の電信振替、再び1年延長 2009年8月13日(木)
ゆうちょ銀行ATMを使う口座間送金(電信振替)の料金が、ひきつづき2010年9月末日まで無料とされることになった。(ゆうちょ銀行8月5日発表)
この無料扱いは、ゆうちょ銀行営業開始の2007年10月1日に当初1年間の予定で始まり、これが2008年10月から1年間延長されており、今回の延長で3年間つづくことになる。(関係記事2008年8月26日付)
ゆうちょ銀行の前身である郵便貯金のATMは、1992年度末(1993年3月)までに、全国の郵便局への配備がほぼ終わったと発表されている(注1)。
ゆうちょ銀行ATMを使う場合でも、一般振替口座あてに払込書(振替用紙や払込取扱票などとも呼ばれる)を添えた送金は、総合口座から引き出して送金する場合でも有料の「通常払い込み」の扱いとなり、送金元か送金先のどちらかが料金を負担する。(注2)
この送金にあたっては、ゆうちょ銀行の貯金事務センターで、払込書の内容を確認して口座残高を計算するとともに、払込書の写しと口座残高の計算書を相手(口座加入者)に郵送するなどの手数が生じる。
一方、ATMによる電信振替は、文書のやりとりを伴わず、オンラインシステムの中で自動的に管理できる。
- 注1.ゆうちょ取扱店舗数/ゆうちょATM台数
2006年度末(2007年3月):2万4079 カ所/2万6103台
2007年度末(2008年3月):2万4094 カ所/2万6086台
2008年度末(2009年3月):2万4086 カ所/2万6136台
*2006年度末は、郵便貯金を取り扱う郵便局と郵便貯金ATMの数。2007年度からの店舗数は、ゆうちょ銀行の本支店・出張所の数と、ゆうちょ銀行の代理店業務を行う郵便局・簡易郵便局の数との合計。日本郵政公社または日本郵政グループの年度別ディスクロージャー誌による。
-
- 注2.当サイトに、ゆうちょ銀行の振替・為替の送金方法説明と料金表を掲載。
■ 横型はがき、暑中見舞い用に 2009年8月5日(水)
初めての国内用横型はがき(本欄6月2日付)は、暑中見舞い用はがき「かもめーる」(夏のおたより郵便はがき)の追加発行分から導入されることになりそうだ。
郵便事業会社8月4日発表によると、暑中見舞い用はがきのうち「オリジナルかもめーる」という種類の追加発行分26万2000枚について、新しい料額印面(切手部分)を採用するとともに、その一部を横長はがきにするという。
新料額印面は、6月1日の当初発行の「オリジナルかもめーる」の料額印面「夏の夜空」を手直ししたもので、「夏の夜空・きらめき」と題されている。当初の印面部と同じ1辺22.5mmの正方形だが、印面4辺が約0.5mm幅で青1色の枠となっている。
この青枠であれば、はがきが縦型でも横型でも、ポストから集めた郵便物に消印を押す郵便物自動取りそろえ押印機で検知できる意味がある(本欄7月14日付)。
縦長はがきの左上にある青枠印面であれば、上辺・下辺の平行棒を検知する。横長はがきの右上にある青枠印面であれば、右辺・左辺の平行棒を検知する。この検知によって、郵便物の長辺方向を認識して向きをそろえる。
郵便事業会社発表によると「オリジナルかもめーる」は注文販売の扱いで、申し込み期限が8月14日までとなっている。
しかし、どこでどのように注文すればいいのか、具体的なことが発表文書には書かれていない。
青枠つき新印面(郵便事業会社8月4日付「お知らせ」から)
■ 余白まで続く300円切手の菱形 2009年8月1日(土)

7月23日発行の300円普通切手(本欄7月23日付に蛍光反応の写真など)をさらに細かく見ると、印面の周囲が”余白”になっていない。”余白”部分にも、淡い茶の網点が印刷されている。見えにくいが、印面下部の淡い茶色の部分から”余白”部分まで、菱形スクリーンが続いている(写真は300円切手の右下部分)。
この300円切手についての郵便事業会社の発表(6月12日付の発行予告)に、「印面寸法 縦22.5mm×横18.5mm」「小切れ寸法 縦25.5mm×横21.5mm」(注1)とある。どちらも一般の普通切手と同じ寸法で、印面の4辺に1.5mm幅の余白があることを示している。
周囲に網点が印刷されていても、そこは300円切手の本体としては扱われない余白ということになるが、偽造防止には役立つだろう。
- 注1.「小切れ」とは、国立印刷局の部内の用語で、切手を1枚1枚に切り離した状態をさす。「小切れ寸法」で、切手1枚の全体寸法という意味になる。それに対して「印面寸法」は、切手の中の印刷部分の寸法で、切手本体部分をさす。
■ ようやくの宅配統合申請 2009年7月27日(水)
郵便事業会社7月29日発表の「平成21事業年度事業計画の変更認可申請について」という表題をみて、ふつうは、「ゆうパックとペリカン便との統合話だ」とは結びつかないだろう。
2009年度の事業計画が本年3月31日に認可された際、宅配事業統合(ゆうパック事業のJPエクスプレスへの移管)については認可から除外され、具体的な計画を作成して2009年度事業計画の変更として認可申請するように、総務大臣から指示されていた。
ただし、今回の発表文書は、そのような申請をしたという事実だけを伝えるもので、どのような内容なのかは明らかにしていない。
統合の実施時期は、郵便事業会社としては10月1日を目標としているが、総務省での審査によっては目標どおりにならない可能性もある。
認可を受けるまでは、統合された宅配便の新しい呼称も発表できないだろう。
■ 新しい300円切手の実物 2009年7月23日(木)

300円普通切手は、簡易書留の書留料金が3月1日から300円に変更されたことから発行された。金剛峯寺恵喜童子像を描いている。
右どなりの写真は、印面左下の金額表示(300)部分の拡大で、網点が平らな菱形状に並んでいるのが見える。
その右上の写真は、暗い場所で紫外線をあてた場合の反応で、切手本体部分はオレンジに光る。印面の下半分に「〒」のマークが青く見える。
7月23日に発売された300円普通切手の実物を見たところ、いままでの普通切手にみられなかった”工夫”があった。
1 絵柄を構成する細かい網点が見やすい、2 蛍光インクが絵柄部分にも印刷されている、3 郵便マークが入っている−−の3点だ。
細かい網点(1)から絵柄が構成されること自体は、大半の切手で同じだ。実際は、1mmの間に10個前後の点が並ぶため、個々の点は細かくて見づらくなる。ところが新300円切手では、その点が粗く、金額表示「300」のあたりでは倍率の低いルーペでも見える。
ふつうの印刷物では網点は直角に交わるが、日本の大蔵省印刷局(現・国立印刷局)が開発した製版方式では網点は菱形状に交わる。意図しているのかどうかは分からないが、菱形のスクリーンが見やすいということが、ニセモノ製造の抑止に役立つ可能性がある。
蛍光インク(2)は、速達郵便物用の270円切手と350円切手にも、印面枠として印刷されている(→反応を示す写真)。今回の300円切手では、絵柄部分にまで印刷された。
270円切手・350円切手の場合と同じように、300円切手がはってある定形郵便物がポストから差し出されたとき、消印のための大型機械(郵便物自動取りそろえ押印機)では、普通郵便とは別のものと認識することになるのだろう。300円切手+50円切手で定形郵便物の速達(80円+270円=1通350円)が出せるため、速達用の切手と同じ反応があったほうがいいことになる。
もっとも、80円切手に新300円切手を足してポストから出した定形郵便物は、自動的に機械が区別して配達記録郵便として扱うというようなサービスがあると便利だ。
印面の下半分の〒マーク(3)は、紫外線ライトをあてなくても、光の向きによって見える。蛍光インクというよりは、特殊な材料による偽造防止策なのだろう。
この切手をふつうに肉眼で見たときのデザインは、印面外周に「JAPANPOST DEFINITIVE STAMP 300YEN」の文字が枠として並ぶ。
国名に NIPPON と記した切手に、英語の JAPAN は必要なのだろうか。DEFINITIVE STAMP は、普通切手の意味ではあるものの、その意味でしっかりと通じるのかどうかも疑問だ。この言葉について普通切手の意味を採録していない英語辞典もある。
郵便事業会社が発足してから発行された普通切手は、発足当日2007年10月1日発売の50円切手・80円切手の2種類だけだった。今回の300円切手は、郵便事業会社としてデザインした最初の普通切手ということになる。
【関連写真】 いま発売されている普通切手全28種類
■ 青で2本のバーコード 2009年7月14日(火)

国内用50円はがきの料額印面(切手に当たる部分)を並べてみた(写真上)。
絵柄は違っても、写真の7点の料額印面に共通している部分がある。料額印面の上部と下部に横棒が入っていることだ。棒としては独立していない場合もあるが、四角い部分の上縁と下縁とが、一定幅の1色に塗りつぶされている。
料額印面にあるこの平行棒は、ポストに差し出された郵便物を郵便事業会社が機械で扱うときの標識となる。
1時間あたり1万5000通以上の郵便物の向きをそろえて日付印(消印)を押す「郵便物自動取りそろえ押印機」という大型機械が、平行棒を縦長郵便物の表面左上であると認識し、そこに自動的に消印を押す。
平行な棒線のそれぞれは、幅(上下)0.5mm以上、長さ(左右)18.5mm以上22.5mm以内。
上棒上辺から下棒下辺までは、22.5mmで一定している。
棒線の印刷色は、緑を含む青系統。郵便物自動取りそろえ押印機では、青系色の平行棒がある場合に国内あて普通郵便物であることも認識する。
棒線と棒線の間は塗りつぶしても問題ないため、平行棒が料額印面の絵柄の中で埋没していている場合もある。主な絵柄が赤やオレンジで描かれている場合でも、平行棒は青系色にする。
この機械認識用の平行棒は、郵便物の長辺に対して直角に印刷する必要がある。
6月2日付でお伝えした国内郵便用の横型はがきが発行されるとすると、オモテ面の右上に印刷される料額印面は、左右に縦棒がある形にデザインする必要がある。これまでの縦型はがきを右倒しにした形だ。
そのため、現行の縦型はがきの料額印面が、そのまま横型はがきの料額印面として流用されることはないだろう。横型はがき発行のときには、左右辺が青系色の平行棒になっている新しい料額印面が制作されるはずだ。
が、新しい料額印面の印刷された横型はがきは、きちんと事前発表されて発売されるのだろうか。
■ 郵便局での取り集めのリスク 2009年7月7日(火)
郵政事業の分社の前は集配郵便局だった郵便局は、窓口の向こう側が郵便局会社と郵便事業会社の2社に、または両社にゆうちょ銀行を加えた3社に分かれている。このサイトでは分社前から、この縦割り型の”分担”が利用者の不便をまねくことを懸念してきた(注1)。
そんな縦割り型の業務分担は、郵便局会社1社だけで営業する小規模な郵便局でも行われていた。
郵便事業会社側(注2)から郵便物の取り集め(注3)にくる輸送スタッフに対して、郵便局会社の郵便局は、局内の一定の場所で郵便物をわたすという直接の受け渡し業務のほかは、何の援護もしないことになっているようだ。
いや、郵便局スタッフが輸送スタッフに郵便物を「わたす」というよりは、自局で差し出された郵便物をおさめたケースや袋を局内の一定の場所に置いておき、郵便事業会社側の輸送スタッフに持っていってもらうといったほうが、適切かもしれない。
差し出される郵便物が多いときは、局内の一定場所と取り集めの自動車との間を輸送スタッフが何回も往復する。
郵便局会社の社員は、運ぶ仕事をしない。輸送スタッフが運んでいるところが外部からジャマされないように援護や防御をすることもないようだ。
これも、日本郵政グループ内の会社別業務分担の一方法なのだろう。しかし、利用者から期待される郵便の安全性は確保されるのだろうか。
局で使う現金の受け渡しのときには、警備会社の重装備のスタッフが、防御する姿勢をとりながら運んでいる。
郵便局での取り集め作業は、書留などの貴重品が差し出されていたとしても、何の防御もないうえ、郵便事業会社側スタッフは郵便局会社スタッフの協力も得られない。
小規模な郵便局を利用する人は、その局での取り集めの状況をいちど見て、安全性を確認しておいたほうがいいだろう。
- 注1.2007年9月から掲載している<「民営化」でこわれる郵便局サービス〜いまタテ割り郵政が始まる〜>の記事のとおり。
注2.郵便事業会社からの委託をうけた日本郵便輸送が作業をしている場合を含む。
注3.「取集」と書いて「しゅしゅう」と読むという説もあるが、このサイトでは「取り集め」と表記して「とりあつめ」と読むことにする。旧郵政では、「消印」を「しょういん」、「日付印」を「にっぷいん」と読むなど、一般的に訓読みされる部分を音読みして、それを内部で正式用語扱いしてきた。「民営化」して「お客様」視点を重視するというのなら、常識的な読み方をしてほしい。
■ 7月1日は開港150周年記念日 2009年7月1日(水)
「この7月1日は、日本の開港150周年の記念日だ」
と聞いて、函館市民には「そうですね」と受けとめる人が多く、横浜市民には「6月ではないの」と疑う人が多いことだろう。
米・蘭・露・英・仏5カ国との通商修好条約により、1859年7月1日(金)、函館・横浜・長崎の3港が貿易港として開かれた(5カ国の配列は条約調印順)。
その150周年記念日を前に本年6月2日、郵便事業会社は「日本開港150周年記念」の切手(写真)を発行した。
日本では1872年まで太陰太陽暦(陰暦)が使われており、開港当日は太陽暦(陽暦=グレゴリオ暦)では1859年7月1日だったが、日本の暦では安政6年6月2日だった。
函館市では、7月1日を開港記念日としている。
横浜市では、当初は7月1日が記念日だったが、昭和初期から6月2日が開港記念日となった。7月1日では梅雨と重なって記念行事が中止になりやすいことが配慮されたためと言われている。
長崎市では、江戸時代よりも前からポルトガルとの貿易が行われていたことから、開港時期を1571年、開港記念日は4月27日ということに決めている。
今回の開港150周年の記念切手は、函館港を描くシート、横浜港を描くシート、長崎港を描くシートの計3点が、全国一斉に6月2日に発行された。発行日は、横浜市での記念日にあわせたものだ。
しかし、「150周年」という事実を尊重するのであれば、発行日は本日7月1日にすべきだっただろう。あるいは、開港地それぞれを尊重して、各地での記念日にあわせてシート別に発行日を設定するという方法もあった。

日本開港150周年記念切手のシート3点のうち「横浜」。2段目の切手の写真は、当コラム本年1月3日付の
みなとみらい地区の写真とほぼ同じ位置から撮影している。が、なぜ夜景を使う必要があるのだろうか。
撮影時期は、写っているビルの並び方が本年初頭とは違うことから、1年以上は前であるようだ。