=編集整理=
| 整理者 |
新聞記事に朱筆を入れ、“見出し”をつけ、“割付け”を決める編集のことを新聞では特に“整理”という。編集整理ではその新聞の完成のために一番大切な仕事であるが、それだけに難かしく、整理者の責任は重いわけだ。
◎ 整理者の責任と義務
整理者は自分の担当の面にまわってきた原稿に一切の責任をもち、それに公平適切な判断を下す義務がある。「ニュースを生かすも殺すも整理者の胸三寸」といわれるのはこの理由による。
◎ 整理者の資格
整理者には、このため社会のあらゆることに関する知識が要求される。そしてあらゆる情実や権力に左右されず、常に客観的にものを視ることのできる人でなくてはならないし、新聞に関する知識、テクニックは完全にマスターしていることはいうまでもない。(一般紙では取材記者を務め上げた人が整理部に入ることが多いようである)
◎ 新聞の整理の目的
新聞の整理の究極の目的は“正しく、容易に読ませる”ことである。雑誌や書籍はある程度時間をかけて読むのであるから、“標題”があれば事足りるが、新聞の本質は“速報”と“広報”にあるのだから、読者に読む意欲を起こさせなくてはならない。そのために読者の眼を引く“見出し”や写真、読みやすくするための“割付け”など編集上の工夫が必要になってくる。
◎ 整理者の仕事
(一) 担当面の全部の記事を読み、記事として不適当なものは除外する。また不完全な記事は取材記者に再調査、書きなおしを依頼する。
(二) 原稿の誤まり(かなづかい、誤字)おかしい点を訂正し、長短を調節する。
(三) ニュースバリュー(報道価値)を検討し、見出しの大きさ(段数)、写真、リード(前文)の有無、紙面での位置、形を決める。
(四) 行数を計算し、正確な“割付け”を作る。
(五) 見出しをたて、活字を指定し、印刷所へまわす。なお、写真、凸版、カットなども同様にして整理者が決める。
(六) 印刷所で組版に立ち会い、校正、配置などに誤まりのないように注意し校了=紙型をとり終えるまでの責任をもつ。
| 見出し |
整理の上手、下手は“見出し”を見ればわかるといわれるほど重要なものである。つまり“見出し”のよい、わるいでその記事を読む人が多くなるか否か、ということもいえる。
見出しはその記事がなにを読者に伝えようとしているか、その記事の重要な点はなにか、を簡潔なことばで表現し、直接読者の視覚に働きかけする役目をする。したがって雑誌などの文の“標題”とはちがい、あくまでも記事の内容的なものを読者に示す。
二本見出しの場合は、二本が合一してその記事を表現するから、まず主見出しで内容を表わし、そで見出しでそれを説明あるいは補足するのが原則。
〔実例〕
会長に上田君当選
生徒会役員、高一の進出目立つ
次に、形の上から見た“見出し”の種類を分類してみると――
(一) 段見出し 新聞は、ブランケット版(大版)では十五段に、タブロイド版では十段に紙面を横線(段けいという)で分けてある。一段見出しというのはその一段の中におさまるものをいい、二段通してつづいているのは二段見出し、そしてさらに三段、四段見出しとある。見出しの大きさ(段数)は結局ニュースバリュー(報道価値)によって決められるが、紙面でもっとも大事な記事のくるトップはブランケット版では四段か五段、タブロイド版では三段の見出しがよいところだろう。
(二) 中見出し 長い記事を読みやすくするために途中につける見出しのことで、報道記事では内容、特集、アンケートでは項目、座談会では話題のそれぞれ変わったところにつける。
(三) 横見出し 紙面に変わった調子をだし、その記事をひきたてるために活字を横にならべた見出しのことで、おもに紙面の最上段や写真記事の見出しに使われる。
(四) かぶせ見出し 一段見出しとしてつけるほどでもない小さなニュースのときに使い、見出しの下にすぐ記事を配する。(この本で項目の変わったところにワクでかこって標題がついているのが例)
◎ 見出しが一行のものを一本見出し、通常は二本見出しであるが、トップ記事など重要な内容を沢山ふくんだ記事では三本見出しも使う。
二本見出しでは“主見出し”“そで見出し”、三本見出しでは“肩見出し”“柱見出し”
“そで見出し”とそれぞれ各行をいう。
秋季大運動会 (肩見出し)
二Aが晴れの優勝 (柱見出し)
好天に恵まれ盛大に開く (そで見出し)
◎ 見出し実例 @―Cはそれぞれ見出しの基本形である。実際にあたってはこれらがさらに複雑に組み合わされたものが使われる。
見出し実例@![]() |
◎見出し実例 @ 二段見出しの基本。主見出しで結果をのべ、そで見出しでそれを説明している。 これが―― A・F・S合格発表 相川君も合格す というのでは単なる標題であって、新聞の見出しとはいえない。 |
見出し実例A![]() |
◎見出し実例 A 横見出しの例。中央の凸版は「鞄を盗まれた友達へ挙金す」とある。いくぶん主見出しが抽象的であるが、このような友情美談の場合にはそれもよいといえる。 |
見出し実例B![]() |
◎見出し実例B、C いずれも一段二本見出しの例。 ◎見出しもできるだけ口語体を使って、具体的にわかりやすく記事内容を表現する。また紙面の上で同じような。たとえば「―開く」「―さる」「―す」といった見出しがならぶのは平版でよくない。原則として二本見出しが二本とも“体言止め”“用言止め”は読者に単純な感じを与え、印象がうすいから避けることが望ましい。 |
見出し実例C![]() |

@ 号数の呼び方は印刷所によって違うことが多いので、呼び方の違う場合は、前表にならって作るとよい。(活字の大きさの基準として五号活字の天地の長さを一倍とする。)
A 「限度」は、その段数の天地いっぱいに入れることのできる各号活字の数、「見出し」はその段数に主見出しとして適当な標題字数。( )内はそで見出しの標準字数。一本見出し、三本見出しの場合は各々多少変わる。
B 表中、二段以上の五号字数、および三段以上の四号、二号の字数が、見出しとして普通使わないが、リード(前文)などで通し組みとして使用する場合の参考。数字は最大限度だから、リードでは天地にゆとりをつけるため、リードの段数によって違うが、少なくとも二、三字減らす必要がある。
C 該当数字のないものは、特別の場合のほかは用いない。
D 一号活字で三段の主見出しをつけたい場合は、〔三段〕の欄の「見出し」の行を、右の号数欄一号までたどると、「11〜12」字という答がでる。初号二段主見出しなら、「5〜6」つまり5字ないし6字が適当とわかる。一号で三段見出しのそで見出しが作りたければ、同じく三段見出しの項をたどると( )内に13字が適当とわかる。
| 紙面効果 |
編集整理にあたっては、読者をひきつけ、紙面の魅力を増すためにいろいろな効果がほどこされるが、そのおもなものに―
(一) 凸版
(二) 写真
(三) カット
―の三つがある。
◎ 凸版
文字のバックに地紋(模様)を配したり、字形を変型あるいは拡大したものを凸版という。凸版は各面のトップに用いたりすると、紙面の魅力を増す。
その際文字の書体は“ゴチック体”を用いた方が明瞭でよい。横凸版の場合は天地一段を占めると、記事の整理がしやすい。(一段に満たぬ場合は上または下に“ケイ”を補う)縦凸版は四段―五段がよい。なお天地がいっぱいにならぬよう気をつけ、いく分かの余ゆうをもたせる。
そのほか、特集、座談会、アンケートなどの企画記事には凸版を用いることが望ましい。
次に凸版を指定する実例
<凸版の指定実例>

◎ 写真
写真は記事を読者に具体的に印象づけまた紙面にうるおいを与える。大体ひとつの紙面に二、三枚はほしいところだ。
報道写真は記事を具体的に表現するのであるから、新聞記事と同様に“5W1H”の要素がふくまれていることが望ましい。
具体的にいうと写真の画面中に時計、標識、人物の表情、動作など時、場所、内容を示すようにする。
写真は無駄な部分を切って、その原稿のニュースバリューに比例した大きさに指定する。顔写真では、活字、凸版が四角なので円形、ダ円刑がよいといわれる一段半、二段半などの中途半端なものは組版のとき手数がかかり、体裁もよくないのでやめた方がよい。
写真説明(絵ときという)はいかなる場合でも必ず入れる。
また、ときにはその季節に応じた季節写真を配すことも、紙面に明るさを与える。
◎ カット
カットは連載ものには必ず使う。記事を見なくてもカットを見れば、なんの連載かがわかり読者に親切。デザインは記事と関係のあるものが望ましく、文字は読みやすい、あまり抽象的なものは避ける。

写真およびカットの大きさを指定するには、上図の通り、かならず天地○段、左右○cmと寸法を記入することを忘れないこと。
原画と同じ大きさでよい場合は、ただ“原寸”とすればよいが、紙面に応じて大きさを拡大又は縮小するときは、上図のように原画に対角線をひいて行う。(これは大きさが変わっても、縦横の寸法の比率は同じであることによる)
またこの方法によって自分の意図する段数のときの横の寸法もはっきりと知ることができ、紙面の割付けを行なうにあたっても便利である。
| 割付け |
紙面の仕上げともいえる“割付け”は各記事の紙面での位置を決める仕事である。
割付けをするには、まず新聞紙の上に広告の段数、つき出し、記事なか広告の部分をとる。(ほかに一面なら題字のスペースも忘れてはならない。)次に連載で位置のきまっているものはその位置におき、さらに大きな凸版、見出し、写真の位置を決め、原稿の行数にあわせて紙面を割りふってゆくわけである。その際に“読みやすい紙面”になるよう努めることが大切なのは再三述べた通りである。
整理者は最後に“割付け”をもって組版に立ち合い、担当する紙面についていろいろと指示を与えるわけであるが、実際の大組ではかならずしも割付けどおりになるとは限らない。であるから割付けには多少の弾力性をもたせておいて、整理者があわてることがないようにすることが望ましい。
割付けに際し注意することは――
(一) 見出しの配置が一方にかたよらないようにすること。そのためには紙面に対角線を引いて大きな見出しはこの線上にくるようにすると、適当に見出しが散って非常に見やすくなる。
(二) 写真を使う場合も、紙面の一方の側にばかり集まらないよう紙面全体のつりあいを考える。
(三) 左右に通っている線を中段ケイというが、これが左右に端から端まで通っているのは“切腹”といって上と下のつながりがうすくなり、体裁も悪いから絶対にしないこと。(最下部の一、二段はかまわない)
(四) 企画記事、寄稿文などは花ケイでかこんだりすると体裁もよく、紙面もきれいになる。
(五) 同じ性質の記事はなるべく同じところに集めて全体の見出しをつけると読者に親切だし、読みやすくなる。
(六) 横見出し、三本見出しなどは一つの紙面であまり多く用いない。
(七) 凸版を二枚以上使うときは“白ヌキ”“黒ヌキ”を適当に使い分けバランスを考える。
(八) 大きな写真を紙面の中央におくと紙面が安定する。(写真ばかりでなく凸版、見出しなど目につくものを中央において、視線を中央に集めると全体の安定感が増す)
(九) たとえば季節写真、絵、似顔などを配するとかして、とりつきやすい紙面を構成するように努める。
