14年 8月7日
ユーティリティープレーヤー
 世界最大のスポーツイベント、2002FIFAワールドカップ日韓大会がその幕を閉じて早や一ヶ月。全世界のべ400億人の人が何らかの形で観戦したとも言われるこの大会。このページを御覧になっている方の中にも熱く燃え上がった方がおそらくいらっしゃる事だろう。かく言う筆者も今回の大会を非常に興味をもって観戦し、そして次回ドイツ大会を今から首を長くして待っているいちサッカーファンである。そのワールドカップ日韓大会で注目されたポイントの一つに、ホスト国である日本と韓国の大躍進があったのは、みなさんも記憶に新しい事だろう。特に日本の共同開催国だった韓国の活躍は素晴らしく、アジア勢初の4位という輝かしい結果を残した。その韓国代表チームを支えたのは『ユーティリティプレイヤー』と呼ばれる複数のポジションをこなせる選手達だった。前同国代表監督のヒディング氏が重用した彼らは、特に決勝トーナメント1回戦、対イタリア戦で素晴らしい活躍を見せた。ゲーム後半に劣勢に立たされた韓国は、形勢を逆転すべく守備的な選手をベンチに下げ、次々と攻撃的な選手をピッチに送り出した。ただこれだけではピッチ上は攻撃的な選手ばかりとなり、チーム全体のバランスが崩れてしまい有効な戦術とは呼べない。特にイタリアの様なカウンター攻撃を得意とするチームが相手ではなおさら逆効果になりかねない。そこでヒディング監督は、あらかじめピッチに残っている攻撃的な選手に幾分守備の意識を持たせるか、またはそれまでよりも若干守備的なポジションに移す事で、チーム全体の攻守のバランスを保った上でなおかつより攻撃的なチームを生み出したのだ。結果は御存知の方も多いと思うが、韓国は試合終了直前にイタリアから同点ゴールを奪う事に成功し、そして延長戦で優勝候補の一角であった同チームを下すという快挙を成し遂げた。
 我らがフォルブルート(以下VB)にもチームを支える『ユーティリティプレイヤー』が在籍している。今シーズンの登録は捕手でありながら、必要とあれば内野手、外野手そしてなんと投手までこなしてしまう選手の名は『松尾 年弘』(まつおとしひろ)。9つのポジション全てに適性を持つ彼は、そのレベルも極めて高く、どこに入っても高いパフォーマンスを発揮出来る非常に貴重な選手だ。そんな彼が見据える今シーズンのVB、そしてKリーグとは一体どんなものなのだろう?今回はKリーグ最高の『ユーティリティプレイヤー』である松尾に独占インタビューを試みた。

Q.「まず昨シーズンの個人の出来を振り返ってみて下さい。」
A.「打撃面に関しては打ち損じが多かった。狙ったところにも飛ばんかった事も結構あった。確かにプロではないからそういうのはなかなか出来へんのやろうけど、その中でも自分が目標としてたものに近付けなかったと思う。守備面では定位置確保が出来へんかった。チーム事情があるから仕方ない部分もあるが、やっぱり定位置を確保出来てる方が守り易いと思う。」

Q.「バッターボックスに入った時に心掛けてる事があれば教えて下さい。」
A.「先頭打者で起用される事が多いから、どんな形であれ出塁しようという気持ちはある。また(相手投手に)球数を放らせる様にしようと考えてる。(打球を)引っ張ってファールにする事が出来るから、好投手相手やったらそれで球数を稼ぎたいと思う。」

Q.「自身がライバルと考えてる選手を挙げて下さい。」
A.「上原(VB)かな。(笑) 共にMVPを狙う選手やから。(更に笑) 実際自分とタイプの似てる選手が(Kリーグ内に)あんまり居てないんで、ライバルという意味合いの選手は少ないと思う。強いて言えば印部(VB)くらい。」

Q「自身のバッティングの特徴は何ですか?」
A.「球威があるピッチャーでも合わせて行けると自分では思ってる。Kリーグでも代表戦でも全く手が出ないという感じのピッチャーは少ない。好投手と対戦する時は燃えるし、ええとこ見せたいと思う。ただ長距離バッターではない。『これが自分のスタイル』というものを持ってないから、大半のピッチャーに合わせられるんやと思う。ある意味それが自分のスタイルかな。」

Q.「チームではリードオフマン(1番打者)としての起用が多いですが、その事について一言お願いします。」
A.「それはありがたい事やし、必要とされてるから監督は1番で使てくれてるんやろうから、それに応えて出塁しようと思う。」

Q.「色んなポジションに入ってプレーされてますが、自身ではどのポジションの適性が高いと思われますか?」
A.「外野!センター。その他のポジションより守り易いし、ピッチャーとかキャッチャーなんかよりも自分に合うてると思ってる。」

Q.「所属するVBというチームを簡単で結構なんで紹介して下さい。」
A.「昔のイメージは凄く打つ打撃のチームやったが、だんだん監督が目指してる様なつなげるバッティングというものが出来てきてると思う。それなりに各選手が意識出来てるんやないかな。(守備に関して言えば)スペシャリストの集団であればええんやろうけど、みんなだんだん年とっていくし都合で参加出来へん選手も出て来るやろうから、1人の選手が幾つかのポジションをこなせる様になればええんとちゃうかな。」

Q.「Kリーグ内で確固たる地位を築かれましたが、今後目指して行くものは何ですか?」
A.「やっぱり連覇を続けて行きたい。それが我々の目標やし、これまで続けて来たからこれから先もそうして行きたい。個人的には今の自分を昇華させたい。」

Q.「何か所属するチーム(VB)に求めるものはありますか?」
A.「是非4番ピッチャーで…。(笑) それは置いといて、さっきも言うたけど1人が複数のポジションを守れる様になればいい。監督が最近外野の守備練習なんかしてるみたいやけど、そういうのをみんなちょっとずつして行けたらええなと思うな。これから人数的には厳しくなって行くやろうし。」

Q.「逆に自身はチームから何を求められてると思いますか?」
A.「やっぱり1番打者で使ってもらってる以上、必然的に出塁率アップは求められるやろう。それと(チーム内で)年長者になって来てるから雰囲気づくりもして行かなあかんなと思う。」

Q.「では何かKリーグ全体に求める事はありますか?」
A.「それぞれのチーム事情があるから一概には言われへんけど、人数足らんのはちょっと…。ある程度仕方ないのはあるんやろう。1人や2人足らんのはまだ目をつぶれるが、3人4人足らんのはもう問題外やと思う。それ(人数不足)に関しては募集なり何なりして行かなあかんやろう。それとたまにダラダラしたゲームが見受けられるのが凄くつらい。一方のチームの一部でだけ異様に盛り上がったりとか、ゲームの流れを止める会話とかを感じる時がある。楽しんでプレーする事が前提やけど、プレーしてるのは自分達だけやなく、相手チームもそうやし審判もそう。変に気の抜けたゲームは相手チームにも審判をやってくれてる人にも失礼にあたると思う。その辺をきっちり考えてやって行かなあかんやろう。ルーズなゲームはやめるべきや。」

Q.「今シーズンから決勝トーナメント制を導入する事になりましたが、その事はKリーグの活性化になると思われますか?」
A.「シーズンも最初の方ではそんなに大勢に影響はないと思うけど、シーズンも押し迫ってトーナメントが近くなると戦い方も変わって来るやろう。みんなが考えてプレーするっていうのはええ事なんとちゃうかな?今までも順位というものは決まってたけど、トーナメントを実施する事によってそこで勝ったら順位が上がる、逆に負けたら順位はそのままあるいは下がる事もあるっていうのを意識して出来るのはええ事やと思う。」

Q.「決勝トーナメント制はVBの11連覇を阻むものであると思いますか?」
A.「だんだん接戦の数も負けの数も増えて来てる事実がある以上楽観視は出来へん。トーナメントの性質上1回負けたら順位が大きく変わってしまうから、全てのゲームに総力をもって臨まなあかん。そういう事を考えるとより連覇は難しくなったんとちゃうかな?」

Q.「最後に今シーズンの目標と抱負をお願いします。」
A.「個人タイトルを獲りたい。これまでKリーグでプレーして来てまだ1回もタイトルを獲得してないから、今年は是非何かしらのタイトルを獲りたい。ただチームの勝利が第一やから、狙える時はそうして行こうと思う。決して無理な位置に居てる訳やないし。今年はキャッチャーという定位置があるから、そこでしっかりやって行けば評価されると思う。ゴールデングラブとベストナインは栗谷には渡さん!(笑)」

 今回の独占インタビューは約45分に及ぶ長いものだったが、それを感じさせない密度の濃いものだった。自らと所属チーム、そしてKリーグに対する思いを熱く、時に笑いを織り交ぜて語る姿は、毎回グランドで見せてくれる彼のプレー同様真剣そのものだった。近年、彼の様なユーティリティプレイヤーの存在はプロ野球の世界でも多く見られ、その需要は増すばかりだ。しかもそれぞれのプレーがハイクオリティであればある程、チームをあずかる監督としては頼もしい事この上ないだろう。VBの監督である政田(兄)も彼に対する期待は大きく、今シーズンも様々なポジションで起用している。またムードメーカーとしてチームを引っ張る立場であり、今やVBにとってなくてはならない存在となっている。個人的な感想で恐縮だが、彼の様な全てにハイレベルなプレイヤーは、筆者の様な一ヶ所しか出来ない者にとっては非常にうらやましい限りだ。彼自身、いずれはスペシャリストの道を進みたいと考えている様だが、チームメイトの1人として言わせてもらうならば、この際「KリーグbPのユーティリティプレイヤー」を目指して欲しい。そしてこれからもVB、そしてKリーグをを引っ張って行く選手であり、若い選手達の手本であって欲しいと願っている。
 チームで常に頼りにされる選手、松尾 年弘の活躍から今シーズンは目が離せそうにない。
 (文中敬称略)

P.S
 現在彼は彼女(大)募集中との事。彼に興味のある方、1度彼の勇姿を御覧になりたい方、その他御質問のある方は、Kリーグ掲示板もしくは筆者か管理者まで御一報下さい。お待ちしております。                                                 m(_  _)m

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