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クマ担当行政のみなさんへ
最近、所によっては、クマと人との遭遇事故が相次いでおり、行政担当者のみなさんの心労は、大変なものだとお察しします。いつも本当にありがとうございます。
私たち日本熊森協会は、日本における野生ツキノワグマ研究の第一人者、長野県在住宮澤正義先生(今年82才)の指導を得て、18年間、この国でクマと人が今後も共存できるようにするにはどうすればいいかを学び、保全のための実践活動を続けてきました。
また、クマに詳しい方や、クマを滅ぼしたくないと願っている猟友会のみなさんからも、多くのアドバイスをいただいています。
現在、クマの保護飼育も行っており、クマという動物に日々ふれています。
みなさん、ご存知のように、ツキノワグマは平和愛好者で、見かけと違いたいへん臆病な動物です。クマによる人身事故は、以下のときに起こります。
1、母グマが、人間に子どもをとられるのではないかと恐れ、子どもを守ろうとしたとき
2、 クマ自身が、人間に襲われるのではないかと恐怖を感じ、人間から逃げようとしたとき
クマは、前足で人をはたいたり、爪でひっかいたり、口でかんだりします。人はふつう軽傷を受けますが、時には重傷を受けたり、まれには死亡事故という痛ましい事故もおきます。
人身事故をなくすために、猟友会に連絡してクマを獲って殺してもらおう、二度と人前に出てこないようにおしおきをして人間の怖さを教えてやるなどという発想は、あまりにも短絡的で逆効果です。
山にえさがなければ出て来ざるを得ないし、山にえさがあっても大好物の蜂の巣があることがわかれば、何とか食べようとして出てきます。ただし、クマは人間を避けて行動するので、クマの方から人間に近づくことはありません。人里近くでは、早朝や夕暮れ後から夜にかけて動いていることがふつうです。
行政側の対応が、クマの人間に対する恐怖心を増長させ、さらなる人身事故を誘発するものが多くあり、懸念しています。クマにも人間にも不幸な人身事故を防ぎ、住民の安全をはかるため、以下のような対応をお願いします。
〜不幸な人身事故を減らすためのクマ対応〜
●住民や山に入る人への広報の徹底を
人身事故が起こるのは、クマと人間がお互い気付かずに、遭遇してしまったときです。
この時期、クマは、タケノコ、アザミ、イタドリ、キイチゴなどを食べるために、山すそに
来ています。
森に入る際は、
@クマに、人間の入山を音でしっかりと知らせる
新潟県のクマ生息地に住む会員のAさんは、山に入る前に「今から入りまーす」と大声で叫ばれます。これだけで、クマに何十年も会わずにきたと言われます。音を出すものを身につけて入山してください。クマ鈴もありますが、鈴は止まっている時は鳴りません。常に音を出す携帯ラジオを持つか、意識的に時々笛を吹くことが効果的です。
Aクマに会わない時間帯を選んで入山する
早朝には、森に入らない。クマは早朝は人間のいない時間帯だと考え、安心して行動しています。早朝はクマに出会う可能性が高いので、森に入る時は、早朝を避けてください。
B子グマを見かけたら、すぐその場からゆっくりはなれる
近くに必ず母熊がいます。子どもを守ろうとして飛び出してくる恐れがあります。臆病な母熊の場合は、人間が立ち去るのを繁みの奥でじっと待っています。子グマがいても、絶対に連れ帰らないこと。保護ではなく、誘拐になります。連れ帰っても、飼ってくれるところなど皆無です。
●原則クマを捕獲しないでください
捕獲すると、クマは大変なストレスを感じると同時に、人間に対する必要以上の恐怖心が植え付けられます。人間がクマを捕獲するのを見ている他のクマがいます。クマの国に入った人がクマと出会ったからといって、行政がクマ生息地の山の中にハチの巣入りワナを仕掛けて、クマを獲るのは、言語道断です。
人身事故が起きたから行政として何かしなければならないのはわかりますが、人里にハチの巣入りワナを仕掛けてクマをとることは避けてください。においをかぎつけて何キロも先から、他のクマがやってくるなど、クマをおびき寄せることとなり、新たなクマと人との遭遇事故を誘発する恐れがあります。遭遇事故があった場合は、看板を立てるなどして、人間の方に注意喚起をするしかありません。
●どうしても捕獲せざるを得ないときは放獣を
えさのありそうな場所に運んで、扉にかけたロープを車の中から引き、そのままそっと放獣してやってください。
箱ワナ(鉄格子)は、逃げようとしてクマが鉄格子をかじり歯を全て折ってしまうので不適です。ドラム缶などの歯をいためない檻を使用してくださるようお願いします。
麻酔をかけてクマを引きずり出し、歯をぬいたりすることは、クマの寿命を短くするだけで、してはならぬことです。
クマの立場に立ってクマの心理を理解することができない研究者たちが、人間の怖さを教えてやればもう出てこないとして、トウガラシスプレーや爆竹等でクマを脅す「学習放獣(お仕置き放獣)」を、行政のみなさんに指導していますが、クマに人間への必要以上の恐怖心を与え、新たな人身事故の原因をつくっていると思われます。なんとしても止めていただきたいことです。クマは、檻にかかっただけで、心臓が止まりそうになるほど恐怖におののいています。
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